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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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09 今夜はパーティー


 その後、メアリーとお風呂に入り、イブニングドレスを着せられたのだけど…。

 「ねぇ、当たり前のように一緒にお風呂に入るのは、百歩譲っていいとして、なんで私とお揃いのドレスなのよ」

 「そりゃあ、クリス様の専属ですよ? 同じ色でアピールしないと」

 私は水色の髪だから、ピンク似合うけど、メアリーは髪の毛もピンクだから、存在感が凄い。まぁ、本人がいいならいいけどさ。


 普段中々来ないタイプの服だからね。どんな感じかなって思って鏡の前でポーズを取ってみる。

 意外と大人っぽく見えるんじゃないだろうか。

 「ふふん。意外と大人っぽく見えるわね」

 「えぇ。今日のクリス様も素敵です」

 褒められると悪い気はしないんだけど、私とメアリーを交互に見ると、やはり凹凸の差がでかい。

 まぁ、こういうのって、もっと体のラインが出てる人じゃないと似合わないわよね。どうせ、私はただの丸太ですよ。まな板ですよ………って、自分で言ってて悲しくなってきたわ。

 ひらひらで薄手の衣装と相まって不安になってきちゃったわ。


 そんな時に、扉が急に激しい音を立てて開けられた。

 「クリスが脱いでいると聞いて」

 「クリスの生着替えは見れると聞いて」

 案の定、アリスとメタモが入ってきた。

 二人とも、可愛らしいドレスを着ていた。今日は使用人はメイド服とかじゃないんですね。


 「あぁっ! もう着替えてる! 一回脱ぎなさい!」

 「やだよ」

 「なんでよ。私が着替えさせてあげるから」

 「そういうのいいから」

 この二人の相手をしているだけで疲れちゃうわ。

 この後、どれだけヒートアップするんだろうと思っていたら、急にしおらしくなった。


 「あっ…、め、メアリーお姉様……、こ、これはその……」

 「クリスが明るくなればいいなって思って…その……」

 まさかメアリーを慕っているとか? 嘘でしょ? でもまぁ、二人が落ち着くなら今はこのメアリー大明神様に一緒に居てもらう方がいいかもね。


 「あら、アリスにメタモ。いつ戻ってきてたんですか?」

 「あ、今日の朝です」

 「挨拶が遅れてごめんなさい」

 「いいんですよ。でも、クリス様にちょっかい出すのはダメですよ。クリス様は私のなんですから」

 「…ぅうぅ………」

 「……でもぉ………」

 これあれだ。お嬢様学校のお姉様って感じより、レディースの総長に手下が気を使ってるような感じだわ。


 「私がいるときならいいから、ね。そんな顔しないで。これからパーティーでしょ」

 「は、はい」

 「お、お姉様ー」

 あのメアリーがアリスとメタモの頬に手を当て、今まで見たこともない表情で接している。誰だお前状態なんだけど。顎の下を撫でられてゴロゴロ鳴らす猫のようだ。


 それを見ていた私に気づいたのか、メアリーが近づき、こっそりと耳打ちする。

 「(もしかして、クリス様もこういうのが好きなんですか?)」

 普段と違うメアリーにゾクゾクとしてしまった。

 おかしい。普段の食って寝るだけのメアリーと違う…。


 棒立ちで呆っとしていると、また誰か入ってきたようだ。

 「そろそろパーティー始まりますよ。行かなくていいんですか?」

 これまた異常に丈の短いドレスを着たロザリーが入ってきた。

 よくもまぁ、毎回逆セクハラになりそうな服を着てくるわね。足が長いからスカート丈が短いとエロく見えるわね。


 じっと見ていたら、ロザリーが近づいてきて、顎にに手をやり考えるように見てくる。

 「ろ、ロザリー、どうかしら? 今日は随分と大人っぽく見えるでしょ?」

 「そうですか? 子供が背伸びしたようにしか見えないですが」

 お前一回しばいてやろうか? よくもまぁ、そんなズケズケと歯に衣着せぬ物言いができるわね。


 「そんなことよりも、私はどうです?」

 ちょっと動くだけで見えるパンツが気になる。ワカ◯ちゃんじゃないんだからさぁ。もう少し、長めのドレスを着なさいよ。

 そこで、ふと気になったことを尋ねる。


 「ねぇ、なんでみんなドレス着てるの?」

 四人とも目をパチパチさせながら、何言ってんだこいつみたいな顔をする。

 その疑問にはロザリーが答えてくれた。

 「あの人達もなんちゃって貴族なんで、歓迎会と前回の任務の慰労を兼ねてみんなで親睦を深めましょってことですね。それに、あの方達は形式ばったパーティよりこっちの方が好きでしょうから」

 あぁなるほどね。会社の飲み会みたいなものか。

 前世でも飲み会あったけど、無礼講と言いつつ、結局お酌して回ってばっかだったなぁ。


 「彼ら達ての願いで、使用人のご家族や孤児院の子供達も参加しますよ」

 「そんなに大勢の人が集まれる部屋なんてあった?」

 「庭の横にあるのは、全員入れないんで、今日は庭でやりますよ。当たり前じゃないですか。パーティーとか普通庭でやるじゃないですか。行ったことないんですか?」

 「呼ばれたことないから知らないわよ」

 「あぁ、そうでしたね」

 鼻で笑うように言われた。

 仕方ないじゃない。何故かそういう機会に恵まれないんだから。


 「ロザリー、クリス様はそういう世俗にまみれた場所には行かないんですよ」

 ここのがよっぽど世俗にまみれてると思うけどね。

 そう思って、一番煩悩だらけのロザリーを見たら、いつの間にかお姉様が入ってきて、ロザリーのパンツを眺めていた。

 「お姉様なにやってるんです?」

 「遅いから呼びに来たのよ。まったく、揃いも揃って何をやっているの?」

 「いえ、そうじゃなくて、なんでロザリーのパンツ見てるんです?」

 「? 変なことを聞くわね。私がロザリーのパンツを見るのは普通のことでしょ?」

 「そうですよ。今日のは、サマンサ様にいただいた勝負用のパンツですよ」

 「一回私が履いて気に入らなかったやつよ」

 「「「えぇ………………」」」


 その意味不明なやり取りを、私とアリスとメタモが信じられないといった感じで見ているが、期待に満ち満ちた目でメアリーが私の顔を覗いてくる。

 ここは気がつかないフリをしておきましょ。少しでも反応したらこれからメアリーと下着の交換日記が始まってしまうからね。流石にそこまで変態じゃないもの。


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