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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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08 きょうは家中どこも大忙し


 調理場へ行くと、まだ、お昼前だというのに、戦場のようになっていた。

 「あ、クリス様、助かりますー」

 調理担当の使用人さん達が、ほっとしたような顔つきでえげつない量の食材の下準備をお願いしてきた。

 ちょっと、これ一人でやる量じゃないでしょうに。半端ないわね。

 とりま、ジャガイモの皮剥きから始めようと思ったんだけど、珍しい人物がいたので、思わず声を掛けてしまった。


 「お父様が料理出来るなんて知りませんでした」

 「いやぁ、若い頃は結構自炊してたんだよ。簡単なものだけどね」

 軽くこっちに振り向いて、笑顔で話すお父様。

 というか。この家の使用人は使えるものは何でも使うのね。そのうち、猫や犬がメイド服着て、掃除していても驚かないわよ。

 しかし、簡単なもの……ねぇ…。


 お父様がコンロで大鍋をゆっくりと焦げ付かないようにかき混ぜているんだけど、何を作っているのか皆目見当もつかない。

 横の調理台には幾つかのスパイスの小瓶が置いてあった。


 カイエンペッパー、ハラペーニョ、ハバネロ、ヒハツ。おっと、胡椒も白黒赤緑と四色あるわね。他には、わさび、マスタード、生姜、山椒に花椒。

 そして、山盛りの唐辛子。私には違いが分からないけど、多分種類が違うんだろうな。どれも真っ赤で、見ているだけで舌や喉が痛くなりそうだ。

 あ、でも、緑とオレンジ色したのは違うってのだけは分かるわ。


 一体誰を殺すつもりなんですかね、お父様……。

 「あの、一体何を作っているんです?」

 「あぁ、これかい? ほら、夏って暑いじゃない? だから、辛いもの食べて汗を一気にかいたら気分いいかなって思ってね。だから、夏に合う激辛料理を、ね」

 多分、普通の人は、一口で走馬灯が見れるようなものだと思うんですが。

 というか、名前を言えないってことは、お父様も何を作ってるのかわかってないんじゃないかな。


 「死人が出ますよ?」

 「またまたー。このくらいの辛さで死ぬわけないだろう? 所詮食べ物だよ?」

 しかし、お父様の近くにいるだけで、目が沁みてきたので、早々に立ち去った方がいいだろう。

 「あの、ご主人様…、そういうのはちょっとお出しできませんので……」

 「えっ!」

 だよねぇ…。お父様のお遊びスペースは本人ごと撤去されました。めでたしめでたし……と。

 いやぁ、うちで死人が出るなんて嫌だものね。


 さて、話しながらでも、ちゃんと仕事してましたからね。

 とりあえず、ジャガイモの皮剥きは終わったんだけど、終わった途端に今度はえんどう豆の筋取りをお願いされた。


 あの後、玉ねぎの皮剥きに始まり、飴色玉ねぎを作らされ、エビの殻むき、背ワタ取り、魚をおろして、芋を茹でて揚げて炒めて………と、最終的には二割くらいの料理を作らされ、終わったのは夕食の数分前だった。

 もうこれ完全に料理人と同じ仕事量なんだけど?


 着ていたメイド服はもう汗でべちょべちょ。早く着替えてゆっくりしたいわ。

 料理を運ぶのは、使用人に任せて部屋へ戻ろうと調理場を出ると、満面の笑みの目メアリーが立っていた。

 「お疲れ様ですクリス様。大急ぎでお支度しましょうね」

 あ、これまだ休めないやつだわ。


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