表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

192/543

04 どこまでもついてくる二人


           *      


 朝からどっと疲れた。

 アンジェさんに連れられ部屋に戻ったのだけど、途中で会うメイドさんからの視線の凄い事。

 羨望や怨嗟の声が止まなかった。


 アンジェさんに見られながら、お風呂や着替えを済ませたんだけど、前ほど感情も昂りがなくなってしまった。

 心にぽっかり穴が開いた気分だ。

 そういえば、廊下に刺さっていた大量のクナイはどうしたんだろうか。

 絨毯に開いた穴すら無くなっていた。

 もしかしたら、うちのメイドさん達って、趣味や嗜好を除けば結構優秀なんじゃないだろうか。

 そろそろ朝食の時間だなと思い、扉を開けると、二人がモジモジしながら立っていた。


 食堂に行くと、珍しい事に、レオナルド殿下やソフィア達はいなかった。

 こうも暑いと、馬車での移動も大変なんだろうなぁ…。

 珍しく家族のみで朝食をとっていたのだけど、食べている最中ずっと後ろに二人が立っていた。

 ただ立っているだけならいいけど、あれこれ言ってくるのは止めてほしい。


 「ちょっと、納豆食べたら臭いじゃない」「刻んだオクラをどうするのよ! えぇ…かき混ぜるの?」「うわぁ…生卵……。え、それを混ぜてドロドロにして……」「白くてネバネバのとろろまで用意してるなんて!」「さっきからそういうのばっか。もしかして、ネバネバドロドロにされたい願望がっ……」「朝も汁まみれだったし、やっぱり…」


 やっぱりってなんだよ。別に私が朝に何食べようと自由でしょ。

 暑くて食欲ないから、喉越しいいやつ選んだだけでしょうに。

 そんなこと言うから、お兄様もお姉様もずっと、こっち見てるじゃない。

 この後何言われるか分かったもんじゃないわよ。


 「「はいこれ」」

 アリスからは練乳とマヨネーズ。メタモからは生クリームとヨーグルトを渡された。これをどうしろと?

 「クリス、私手伝おうか?」

 「お姉様、いいです。どうぞ、食事を続けてください」

 立ち上がって手をワキワキさせるお姉様を宥める。

 朝からどっと疲れたわ。正直、途中から味分かんなかったし。

 お兄様が練乳を手にしていたけど、何かをする前にここは退散させてもらいましょう。


 いつもの日課通り、今日もベルさんとお菓子作りをするために調理場に来たのだけど、

 「一体何を作るの?」

 「甘くてふわふわしたのにしなさい」

 「えーっ、あたし的にはプリンみたいのがいいんだけど」

 両隣にアリスとメタモがぴったりくっついて覗き込んでくる。やりづらい…。


 「あの、作りにくいから離れてもらえるかしら?」

 「えー、別にいいじゃん」

 「跳ねたクリームやバターがくっついてもいいんならいいけど」

 「じゃあ、それ舐めてあげるわ」

 どうしてそういう思考になるのかな?


 「邪魔ばっかりしていたら、お菓子あげないわよ。ごめんねベルさん。騒がしくて……」

 「い、いえ………だ、大丈夫です……」

 顔を引きつらせたベルさんが、精一杯の笑顔で返す。

 「ほら、大丈夫って言ってるじゃない」

 「そうよ。ここは抱きつかれながらでも作って見せなさいよ」

 一向に進まないお菓子作り。ベルさんが笑顔で私ごと三人を部屋の外に放り出した。


 「えっ! 何で私まで」

 「クリス様、申し訳ないんですけど、今日は私一人でやりますんで、どうぞ三人で楽しんでください。あと、これ昨日のですが、どうぞ」

 そう言って、小袋に詰められたお菓子とお茶の入ったポットを無造作に投げられた。

 なんか怒ってるようにも見えたけど、下手に言い訳して包丁投げられても困るから、二人を連れて調理場を後にする。


 「あなた達のせいで追い出されたじゃないの」

 「そんな事言われても知らないわ」

 「心が狭いのね。これだからババアは…」

 ガシャン―――――

 調理場の方から何かを落としたような大きい音が聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ