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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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66 お父様は語る②


 「まぁ、当主の代理というのはあってるね。次期当主。()()()()()()()()()()()ルイスが成人になるまでと考えていたんだよ」

 まぁ、お兄様が長男だしね。私も継ぐ気ないし、お店経営出来ればいいかなと思ってるんで異論はない。


 「最初はね…」

 軽く鼻を鳴らすように笑うお父様。この話になってから初めて感情が露わになった気がする。

 「そのために、クリスにいろいろ仕込もうと思っていたんだがね…」

 困ったような顔で笑い肩を竦めるお父様。


 「いつどこで知ったんだろうね。ルイスとサマンサが私の仕事を引き継ぐからクリスにはさせないでほしい、とね」

 「お兄様とお姉様が?」

 「あぁ。だが、そういうわけにもいかないから、三人とも教える事にしたよ。だからあの二人はメキメキと実力をつけていったよ」

 「その言い方からすると私はダメだったみたいな言い方ですね」

 「そうだね。馴致不能だった」

 なんの事はないと即答される。傷つくなぁ…。


 「能動的な二人と違って、受動的なクリスには無理だったんだろうねぇ」

 どこか他人行儀な言い方だ。お父様の目には誰が映ってるんだうか。


 「いろいろ経験していく過程で、いろいろ変質してしまうことはよくあるものでね。ルイスもサマンサも程度の差こそあれいろいろ変わったねぇ。まぁ望んで選んだんだから仕方ないよね」

 およそ親とは思えない物言いだと思った。でも、あながち間違いじゃない気もする。だって、貴族の家ってそういうところもあるだろうし。

 でも、お父様の言ってる話はそれと違うんだろうな。


 「そんなある日、レイチェルとサマンサがね、クリスに女装を強いたんだよ。どうやら、女の子ならやらなくてもいいだろうって事らしい」

 そこが始まりだったのか。


 「まぁ、私としてはそっちのが使えると思ったんだがね…」

 そこで一旦区切って、椅子の背もたれに深く凭れ掛かった。


 「もともと癇癪が激しかったんだが、より手がつけられなくなったんだよ」

 そこで一呼吸おいて、再び腕をテーブルに乗せた。少し前かがみになって私を見てくる。さっきまでとは違って、少し笑ってるようのも見える。


 「でもね、ある日、あんなに女の子の格好を嫌がっていたクリスが、()()()()()()()()()()見事なカーテシーを披露したんだよ。流石に私もびっくりしたよ」

 「え、えっと、それは…」

 「ふふっ…。別に今のクリスの中身が誰だって構わないさ」

 「もしかして、知って……」

 「さぁ……どうだろうねぇ…。別にそこは重要じゃないんだよ。誰だってある日変わったりするからね」

 多分知ってたんだろうなぁ。


 「これを言うのは初めてなんだけど、私もあの日以降変わった気がするんだよ」

 よくわからない。首を傾げると、お父様はさっきまでの冷たい表情からいつものお父様の顔つきになった。


 「あの日からクリスが自分から進んでいろいろやったよね」

 「え、えぇ…。まぁ、そう…ですね」

 「そんな畏まらなくてもいいよ。寧ろ助かってるんだからね」

 「そうなんですか?」

 「そうだよ。私はどうも当主の仕事に向いてないようでね。初めはルイスにそれとなく教えてはいたんだが、どうやらクリスの方が向いてるらしい」


 うん。まぁ、はい…。そうですね。お世辞にも上手とは言えなかったですね。ちょっと変えるだけで改善できるポイントがいっぱいありましたしね。

 「ルイスもそれは認めてるようで、次期当主はクリスのがいいなんて言い出す始末だよ…。困ったね…」

 それは私も困るわ。


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