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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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54 マーガレット回想


     *     *     *


 私の名前はマーガレット。

 苗字なんてないわ。気が付いたらこの教会の修道院にいたんだもの。


 最初は戸惑ったわ。全く見たことない建物の中にいたんだから。状況を理解するのに結構時間がかかったと思う。突然人が変わったようになって周りの人たちも驚いていたくらいだし。


 自分がいる場所は、恐らく教会みたいなところかなと最初は思った。シスターの格好をした大人の女性が何人か立っていたから。でも、他は子供達だけだった。お世辞にも綺麗とはいえないけど、所々直してあったり、人によっては破けていたり。そんな服を着ていた。

 どうやらここは託児所とか児童養護施設。あるいは孤児院みたいなところらしい。


 確か自分は大学に通う学生だった筈だが、こんなボランティアに参加した覚えはないし、そんなサークルに入った覚えもない。ましてや変な新興宗教に参加なんて以ての外だった。


 少し落ち着いて、周りを見渡すと、どう見ても日本人じゃない。ヨーロッパ系だと思う。ただ国ごとの違いなんて分からないから、漠然とそうなのかなと思ったんだけど、どうも違う気がする。

 まず、髪の毛と瞳の色だ。こんなにカラフルな色使いありえない。まるで漫画やゲームの世界みたいだ。でも、普通なら違和感があったりするんだけど、その髪色や瞳の色が自然と似合っていたのよね。


 そんな感じでキョロキョロと周りを見回していたら、隣から声を掛けられた。

 「どうしたのマーガレット? そんなにキョロキョロして何か変なものでも見つけたの?」

 マー…ガレット……?

 はて? それは一体どこの誰なんだろう…。

 隣で私に声を掛けた子は確かにマーガレットと言った。


 「大丈夫? 気分悪いなら休んだ方がいいんじゃない?」

 気分は…、そうね。ちょっと悪いかも。何もかも分からない。

 ちょっと目眩を覚え、額に手を当てようとして気づいた。この手は一体誰の手なんだろう? 私の手ってこんなに小さくて白かっただろうか?

 そのまま両手で両頬を触ったり、髪の毛を触ってみた。

 私は誰? これは夢? 目の前で少女が何か喋っているが、よく聞き取れない。視界がだんだんとボヤけ、暗くなっていく。私の意識は一旦そこで途切れた。


 目を覚ますと、見覚えのない天井だった。いや、天井なのだろうか?

 やたらと近い木製の天井が近くにあった。首を横にすると、先ほどの少女が心配そうにしていた。私が目を覚ましたことにより、少し覗き込むように声を掛けてきた。


 「大丈夫? 気分は?」

 「あ、あぁ…うん。だい……じょうぶ……」

 ん? 待って…。この声は誰? 私? こんなアニメキャラみたいな声だったかしら?

 しかし他にはこの少女しかいない。というか、目を覚ましても状況が変わらないなんて、これは悪い夢? それとも………。


 「ひとまずは大丈夫そうね」

 「あの…」

 「どうかした?」

 「ここはどこ?」

 「え? もしかして何も覚えてないの?」

 「…うん」

 「まぁ大変。さっき倒れた時にどこか頭を打ってしまったのかしら? 先生を呼んでくるわね」

 「あ、まっ………」

 言い終わる前に少女は部屋を出て行ってしまった。これはめんどくさいことになるかもしれないと思った。


 先生と呼ばれ連れてこられたのはシスターの格好をした妙齢の女性だった。うーん。やっぱり日本人じゃない。

 それから、いろいろと聞かれたが、何一つわからなかった。

 「神はあなたに試練をお与えになったのですね」

 なんて言っていたけど、まぁ、確かに今の現状だけ見るとそうかもしれない。


 しかし困ったな。テレビもスマホもパソコンもゲームも何もない。というか、本当に何もない。あれ? これ私詰んでない? この状況でどうやって生きていけばいいんだろう。そして、いつまでこうしていればいいんだろう。


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