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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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46 それは朝帰りに失敗した時のような感じで


           *      


 ホテルに着いたのは完全に明るくなってからだった。

 お兄様達がなかなか離してくれず、こんな朝帰りみたいになってしまったのだった。


 結局、お姉様達が裏で何かやっているってことは分かったんだけど、私が行く意味があったのか甚だ疑問だわ。

 そもそも、あんなに緊張感のないやり方でいいんだろうか? キリッと今から任務開始! みたいのは最初だけだったわね。

 まぁ、気になることはたくさんあるけれど、お姉様に聞いてもはぐらかされてしまうだろうから、帰ってからお父様に問い質しましょう。


 別に今めちゃくちゃ眠くて、もうどうでもよくなってるとかでは、断じてないわ。

 「ふぁ~あ」

 今日何度目か分からないあくびを漏らす。


 まだ早朝だけど、流石にソフィアは起きていないだろうから、今のうちにお風呂に入って着替えたい。

 念のため裏口から入って、部屋へ行く途中でソフィアに見つかった。

 えぇ、まだ六時過ぎくらいなのに。


 「あ、あらソフィア。おはよう。随分と早いのね?」

 「何言ってるの? いつもクリスのところに通うのに早起きは当然じゃない。というか、今日は寝過ごした方よ?」

 「そ、そうなんだ。へ、へぇー…」

 あんなに自分勝手に食べている人間が早起きできるわけないと決めつけてしまったわ。偏見はよくないわね。


 そんなソフィアは、私たちをジロジロと不審そうに見る。

 「ねぇ…、何でそんな格好してるの?」

 「い、いやぁ、そのぉ…。(お姉様どうするんです?)」

 「(イベントやってたって言えば何とかなるわよ)」

 「(ホントですか?)」

 「(ホントよホント。私と性格似てるから簡単に信じるわよ)」

 えぇ…。それ自分で言っちゃうんですか? まぁ、言うけどさぁ…。


 「え、えーっと…。その、忍者コスプレの集会みたいのがあったのよ」

 「ホントにぃ?」

 めちゃくちゃ疑ってますがお姉様?


 「本当よ。だから、夜にイベントがあったのよ。ソフィアも起こしたけど起きなかったから、私たちだけで行ったのよ」

 「うわぁ…。マジかぁ…。行きたかったなぁ……」

 本当に信じたよ。もうちょっと疑おう?


 「でも何でそんな、ガチ目のアサシンなのよ。クリスならもうちょっとかわいい衣装とかあったでしょ? くノ一みたいな際どいのとか」

 何のくノ一の衣装を想像してるのか知らないけど、あれどう考えても潜入に向かないわよね。水着というかレオタードみたいなの。


 「次回はクリスはその格好にするわ」

 「ちょっ!」

 「大丈夫ですよ、クリス様。次回は私もそういうのを着ていきます」

 「ロザリーはただ露出したいだけでしょう?」

 「そうですよ」

 「あら、じゃあ、よく分からないけど、私もそういうのを着ていくわぁ。お兄様もきっと喜ぶわねぇ」

 クライブさんは卒倒するんじゃないかな?

 というか、次回はあるのか分からないし、ソフィアも連れて行くことはないんだよなぁ…。

 廊下でずっと立ち話をしているわけにもいかず、各々部屋へ戻り着替えてくることになった。


 「結局これ使わなかったなぁ…」

 赤灰色のアサシンダガーとクナイとかぎ爪ロープ。他にも細々としたものがあったけど一切使わなかった。使う場面もなかったんだよね、ロープ以外は。


 しかし、自分の身体能力の上がり具合に驚いてるところもあるのよ? そのうち空でも飛べるんじゃないかしら?

 なんてことを考えながら、服を脱ぎ、一旦お風呂へ向かう。

 やっぱり埃っぽいし、何より洗ったけど手が汚い気がするからね。


 しっかし、ロザリーのなんと自由なことか。いくら浴槽が大きいからって仰向けで大の字に浮かぶことないと思うの。

 勿論、足は私の方に向いてるし。お陰で肩身の狭いお風呂になったわ。


 お風呂から出て、髪の毛をタオルで拭きながら部屋へ戻ると、机の上に着替えとメモが置いてあった。いつの間に部屋に入ったんだろう。

 というか、お姉様がお風呂を覗きに来なかったことが一番の衝撃だわ。まぁ、覗かれないのが一番なんだけど、普通の概念がおかしくなってる気がするわ。


 とりあえず、メモを読むと簡単に一文だけ書かれていた。

 『このあと教会に行くから、そのメイド服を着てきなさい』

 もうあの変態教皇は居ないんだから従者のフリする必要もないと思うんだけどね。

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