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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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40 ロザリーはホント自由でいいですね


           *

      

 これはお姉様に叱られるだろうか。

 結構重要な案件だと思うんだけど、結構好き勝手動いてしまったなと今更ながらに思う。

 後ろで見ているだけでいいって言ってたけど、やっぱりいなくなるのはダメよねぇ。何て言って謝ろうかしら。

 そう考えていると、階段を登るのはあっという間で、変な匂いのする広間についた。


 何の匂いだろう。何ていうか、夏場にずっとお風呂はいってない職場のおっさんの匂いみたいな。あれ何なんだろうね? あのエリアだけ匂いが篭ってるし、動くと香るし……。寝汗かいてそのまま来るのか、服をちゃんと洗ってないのか、着替えてないのか。梅雨時なんて生乾きの服着てくるし散々よね。挙句、タバコと缶コーヒーの匂いが混ざってもう大変。


 しかし、これはそれよりなんか生臭い匂いが強いのかな。

 あの部屋の中にお兄様とお姉様がいるのよね。行かないといけないんだけど、入りたくないなぁ。


 ロザリーに視線で合図すると、何かの布を渡してきた。ハンカチかな?

 広げるとパンツだった。こいつ……。


 「これで鼻と口を覆えば臭く無いですよ?」

 「ねぇ、これパンツよね?」

 「そうですが、何か?」

 「何か? じゃないわよ。お姉様じゃないんだから、こんなので覆わないわよ」

 「姉妹なのに不思議ですね」

 「不思議でも何でもないわよ」

 「まったく、クリス様は文句ばっかりですね」

 「これは文句って言わないわよ。ところでこれ洗ってあるの?」

 「記憶にないですね」

 「返すわ…」


 不満そうな顔でパンツを受け取り、どこかにモゾモゾと仕舞い込む。顔につけなくて良かったわ。

 こんなバカな事やってないで、そおっと中を覗き込むと、お姉様とお兄様がSM縛りされた教皇の前に立っていた。


 「えぇ……」

 どういうこと? そんな趣味があったの? というか、よく縛ったね。

 そんな状況を臆せずにロザリーは中へ入っていく。

 私もここにいる訳にもいかず、ロザリーの後ろに隠れるようについていく。

 どんどんと匂いが強くなっていくが、もしかして教皇の下がビショビショになっているのが関係あるのかな。近づきたくないなぁ。


 ロザリーがある程度の距離まで近づくと、お姉様が声をかけてきた。

 「ロザリー、遅いわよ。それとクリスも勝手にどっかいっちゃダメよ」

 「誠にごめんなさい」

 「はい」

 ロザリーのはちゃんと謝ってるのか怪しいわ。というか、前メアリーもその謝り方してたけど、メイドの間で流行ってんの?


 「ところで何でクリスはロザリーの後ろに隠れてるのよ。そんなキャラじゃないでしょうに」

 「いや、その…。お姉様。或いは、もしかしたらですけど、お兄様にそういう趣味があるのかな、と」

 「「え?」」

 振り返り、教皇を見下ろし、慌てて否定しだす。


 「ち、違うよ。入ったらもう縛られてたんだよ」

 「そうよ。こんな汚いおっさん縛ったって何の得もないもの」

 「えぇ。その通りです。ちなみに私がやりました」

 今なんて?


 そろーっとロザリーから距離をとる。

 「どうしたんです、クリス様? そんなあからさまに距離をとって」

 「いや、私はそういう趣味はないんで」

 「私もありませんよ?」

 「嘘ね」「嘘だね」「嘘でしょ」

 三者三様に即否定する。


 「ふむ。では、今後は趣味の一つに加えましょうかね」

 顎をさすりながら、大仰に考える仕草をするロザリー。縛る相手はちゃんと選んでね?


 「まぁ、冗談はさて置き、昼間に経路確認で侵入した時にお酒に薬を仕込んだんですが、まぁ効きが強かったのか、お酒に弱かったのかは分かりませんが、直ぐに寝ちゃいましてね。それなら部屋にあったこれで縛っとけばあとが楽かなと思いまして」

 「いやいや、ロザリー…。そんな事して他の人に気付かれたら台無しになっていたじゃないの! ちゃんと考えてやりなさいっていつも言ってるでしょ」

 お姉様の言う事は尤もです。どうもロザリーは自分の趣味や欲に忠実なところがあるからね。


 「普通はそうでしょうね。でも部屋にこんなものが散乱しているんですよ?」

 ロザリーが指さした方にはいかがわしい物が床や机に散乱していた。

 「なので、何かあった際にはちゃんと対応するつもりでした」

 つもりでしたって過去形なんだけど?


 「残念ながら、普段からそういう事に勤しんでいたようで。『今日はかなり上級者な事やってたぞ』『あれやってる間は近づくと怒られるからな』等と、皆さんご存知だったようです」

 「それたまたま結果オーライだっただけの話よね」

 「まぁそうとも言います」

 のらりくらりとお姉様の追求を躱すロザリー。いや、これ躱せてるのかな?


 「ま、まぁ、普段の行いが悪いから、たまたま上手くいっただけで、次はこうはいかないよ?」

 「善処します……」

 お兄様がやんわりと窘めているけど、ロザリーには反省の色がない。無表情だからよく分かんないけど。

 「な、なぁ…、そろそろこの縄を解かないか! さすがの私もつらいぞ」

 ずっと放置されて半分忘れかけてた教皇が、痛みを訴えだした。

 半日以上縛ってたら所々異常が起きてもおかしくないよね。でもなぁ……。


 「「「触りたくないんだよなぁ……」」」

 「という事で、諦めてください」

 ロザリーが締めるように告げた。


 「ふざけるな! ふざけるな! なんで私がこんな目に合わないといけないんだ!」

 ロープで縛られていても左右に少し動けるようで、ジタバタと悪あがきをする。

 暫くしたら疲れたのか、動きを止め荒い息を吐く。


 「はぁ……。はぁ……」

 「気が済んだのかしら」

 「ぐぅっ」

 最後の抵抗とばかりに睨みつける教皇。


 「でも、これどうやって運んだらいいのかしら? 私触りたくないわよ」

 「いや、僕もちょっと…。というか、重くて一人二人で運べないよ」

 全員で教皇を見下ろすがいい解決策が出ない。あまりにも巨大で押すのすら難しいかもしれない。

 ………いや、ロザリーはどうやって縛って吊るしたんだろう。


 「ねぇ、ロザリーはどうやって吊るしたの?」

 「そうよ。吊るせたなら運べるわよね」

 三人の視線が集まる中、ロザリーは事も無げに話す。

 「潜入した仲間全員で縛りました」

 「そんな事言ってなかったじゃない。一人でやったものだと思ってたわ」

 「そうだね」

 「まぁ、皆さん面白がってやりましたね」

 「パンツを被せたのも?」

 「はい。あ、これは私のアイデアですが」

 「別にそこ強調しなくていいわよ。褒めるところじゃないし」


 何か教皇がかわいそうになってきた。ほんの少し。小さじ1くらい?

 「そうか。でも、それだけの人数がいれば出来るか…。でも、みんな他の仕事振っちゃたしなぁ…」

 「あ、いい事思いついた。エリーに運んでもらったら? 怪力だからいけるんじゃない?」

 「なるほど。じゃ、呼んでこよっか」


タイトルを考えるのってホント難しいですね。30分くらい悩みます。

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