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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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27 怒りより食い気


           *      


 「なっによ、アイツ。マジムカつくわ!」

 ダンダンと床相手に地団駄するソフィア。

 「何が一番ムカつくって、私のクリスを寄越せですって? 寝言言ってんじゃないわよ! あんの糞豚ぁ!」


 尚も地面をダンダンと足踏みするが、白亜の石畳には傷どころか汚れもつかない。

 教会の敷地内でこれでもかと汚い言葉を吐き捨てるソフィアは、あるいみ勇者なのかもしれない。

 しかし、一体いつから私はソフィアのものになったのだろう。

 もしかして、メイド服を着ているからかしら? 勘違いしちゃってまぁ…。寝ぼけているのかしら?


 「ソフィア…」

 「あ、お姉様。私ったらはしたないですよね。アハハ…」

 「いや、私も腹立たしいのは一緒よ。でもね、一つ間違ってるわ。クリスは私のよ?」

 んー……、お姉様のものにもなったつもりは無いんだよなぁ…。

 「私は誰のものでもないですよ」

 「「えっ!」」

 何を驚くことがあるのだろうか。

 二人とも私をペットか何かと勘違いしてるんじゃないだろうか?

 

 教会を出た時には、もう信者以外は誰も広場に居なかった。やっぱり、他の人も気分が悪いんだろうな。やっていることが拝金主義的なものじゃ、誰も寄り付かなくなるって分からないのかな?

 まぁ、明日来たらもう来ないからいいけど、他の子達がかわいそうね。

 しかし、こんな気分の悪いところにはいつまでも居たくないので、足早に敷地外に出る。


 移動している間も怒りが収まらないのか、ソフィアとお姉様。そこにエリーまでもが話に加わりカオスな内容になる。

 「もぉっ! 私がぁ、チャチャを入れる前にお金を投げつけるなんてぇ、せっかちすぎるわよぉ!」

 「しょうがないでしょ? 本当に頭に来たんだから。あの場であいつの頭をカチ割らなかっただけでも褒めて欲しいわ」

 「いいえ、お姉様。グッジョブですわ。でもいいんですか? 白金貨なんて。あの中身だけでも王都に屋敷は立てられるくらいあるんじゃないですか?」

 それを聞いて、悪戯っ子のような笑みを浮かべる。


 「普通ならそうよね。でもあれチョコレートよ。うちの商会で販売してるメダルチョコよ。普通持ったら重さでわかると思うんだけど、あんなブヨブヨの指じゃ分からないでしょうね。まぁ、綺麗に包んであるからぱっと見じゃ分かんないでしょうねどね」

 「それ、気付いたらヒロインがやばいんじゃないの?」

 「だーいじょうぶよ、クリス。あの手の輩は大事に取っておいてすぐには確認しないもの」

 「そうねぇ。大抵は夜遅くに数えてニマニマするわねぇ…」

 じゃあ、ダメじゃん。


 「そんな顔しなくてもいいわよ。明日には全部解決するから」

 ホントかなぁ……。

 「あら、その顔は疑ってるわね」

 「まぁ、お姉様なんで…」

 「信じてもらえないなんて、お姉ちゃん悲しい……」

 さめざめと嘘泣きするお姉様。勿論いつものことなんで相手にしない。


 「しっかし、チョコレートかぁ…」

 「何? 食べたかったの?」

 「うん」

 食欲旺盛なソフィアさんは食べ物に関しては素直だ。一体誰に似たのかお姉様を見やる。

 「あら、私になにか?」

 「いや、なんでもないです」

 「そう。ちなみにあのチョコレートはいくつか種類があって、白金貨のはピスタチオ、アーモンド、バニラ、チーズケーキの4種類ね。まぁメダルだしお金じゃないから模様で分かるはずだけど、白金貨と勘違いした時の顔は傑作ね。節穴も節穴よ」


 「もうないんですか?」

 「残念ながらないわね。ホテルにはあるんじゃない? 卸してるし」

 「そうですか…。あ、お店は無いんですか?」

 「まだ、建ててる段階だから…」

 「あぅ……」

 後ろから聞こえたなと思ったら、まさかのプロフィアさんだ。ソフィアが言ったのかと思ったけど、まさかこっちだとは。私たちの周りの女性って食べ物に目がない人多いよね。何でかしら?


 「チョコレートってぇ、体に塗ったら食べてくれるかしらぁ?」

 「熱いから火傷するわよ。それでもいいなら」

 「うーん。私の柔肌が傷つくのは嫌だわぁ」

 「「「……………」」」


 女性陣は黙って明後日の方向を向いてしまった。私一人でこんな会話続けるの嫌なんだけど。

 ソフィアもそう思っていたのか分からないが、パンと手を叩き提案する。

 「イライラした時は何か食べましょう!」

 「そうね。王都には屋台街もあるからそこに行きましょう」

 無理やりに話題を変え、屋台のあると言われている方へ歩みを進めた。


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