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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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22 密室からの脱出


           *      


 朝。

 カーテンが閉まってなかったのか、窓からの朝日で目がさめる。

 どうやら二日酔いにはなっていないようで良かった。まぁ、あんだけの酒量でそんなんなる訳ないのよね。

 ただ、体が動かない。あれ? もしかして、昨日長歩きしたせいで全身が筋肉痛?


 動かせる首だけを右、左と動かす。

 左側にはいつ入ってきたのか、ロザリーが私を抱き枕にして眠っていた。

 しかも、がっちりホールドしてるせいか完全に動けない。指の先くらいしか動かせない。これは困ったわ。というか、何で誰も彼も私を抱き枕にするのかしら? 本当に不思議よね。


 今、抱き枕になっているということは、一回起きてベッドに入ったってことよね。

 え? お酒弱いけど、酔いが醒めるのも早いの? マジかぁ…。この方法次回以降使えないじゃん。

 しかし、この状況どうしようか。


 昨晩お風呂に入る前に扉の前にロザリーがバリケードを築いてしまったので、外部からの助けは期待できない。

 いや、お姉様ならば、扉か窓をぶち破って……。流石にホテルでそんなことする訳ないわよね。いくらなんでも……。ないよね?


 と、いうことはなんとかしてこのロザリーから脱出しないといけないのだけど、どうしようかしら? ガチで寝てるからちょっとやそっとじゃ起きないわよね。

 一つ案があるけど、こんなバカみたいな方法で起きるかしら?

 まぁやってみましょうか………。


 「…ふぅ~っ………。あらいやだ、カレーの鍋が焦げてしまうわ!」

 言い終わると同時に、布団を蹴飛ばし立ち上がるロザリー。

 辺りを見渡し、カレーが無いことに気づき、足元を睨む。

 よく今ので起きたわね。しかし、不可抗力だったのよ? あのままだとずっと寝ていたでしょう? って、いつまでそんな目で睨んでるのよ? 私はずっと抱きしめられてたせいで、ちょっと痺れて起きれないだけよ。

 呆れた様子でベッドを降りようとするロザリー。


 ちょ、ダメよ? 今動いたら絶対とんでもないことになるわ。絶対に触るなよ。ホント、お願いよ。マジで…。、ちょっ……。

 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!」

 ベッドの上で死にかけの魚の如く、悶える私。

 降りるときに足に軽く触れたのだけど、想像を絶する痺れ。


 そのままヌボーッとベッドの周りをウロつくロザリー。もしかして、ただ寝起きが悪いだけ? さっきのは条件反射かしら?

 扉の前にうず高く積まれた家具を呆然と眺めながら後頭部を掻きながら欠伸をしている。

 そのままベッドに向かって倒れ込む。と、同時に痺れから解放された私が飛び退く。

 危ない危ない。あのまま寝ていたら、またベッドから脱出できなくなるところだったわ。


 寝息を立てて再び寝始めるロザリー。なんて自由なのかしら。

 というか、どうするのよあの家具。私の力で動かせないんだけど?

 そう思っていたら、扉の方からドンドンと叩く音がする。


 「ちょっと、クリスー、ロザリー、朝よー。ご飯食べないのー?」

 ガチャガチャと扉を開けようとするが開かないらしい。

 「何でまだ開かないのよっ! 食べないんだったら知らないわよ!」

 どうやら、諦めて何処かへ行ったらしいが、私は部屋から出れない。


 とりあえず、カバンから着替えを出し、身だしなみを整える。うん。今日も可愛い。

 鏡の前で軽くポーズを取る。

 持ってるドレスだと一人で着替えられないため、入っていたシャツとハイウエストのスカートを着て、胸元に細めのリボンを縛る。所謂童貞を殺す服だ。そんな服を童貞が着るなんてね。

 

 バルコニーに出て、軽くステップを踏む。下は芝生なので飛び降りても大丈夫だろう。

 後ろに二、三歩後退り、助走をつけて飛び降りる。三回転半。無事に着地し、そのまま入り口から中に入る。

 はしたないなんて言わないでね。窓しか出口が無かったのよ。

 昨日の夜はお酒しか飲んでないから、すごくお腹がすいたわ。勿論、お酒を飲んだことは内緒だ。


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