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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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18 死んだほうがマシらしい


 その後、いくつか聞き取り調査をし、頃合いだと判断した将軍が衛兵たちに一言告げる。

 「えー、お前たちは今日付けで全員左遷です」

 「「「「「⁉️」」」」」

 「調べていくうちに、ここでの違法な取り調べや、賄賂の強要など問題点が数多く見受けられました」


 パジェロ将軍が、理由を話していくと、衛兵達の中から責任を押し付ける声が漏れ聞こえてくる。

 「お前が怪しい。手柄になるっていうからしょっ引いたんだぞ! どうしてくれんだ!」

 「うるせぇ! お前だってボーナス確定とか言ってたじゃねぇか!」

 「ふざけんな! 嫁と娘はどうなんだよ!」

 みんな自分のことしか考えてませんね。まぁ左遷ってなったらこうなるか。


 醜くも責任のなすりつけ合いが始まり、所々で小競り合いが発生している。本当にこの人たち治安を守る衛兵なんだろうか?

 そんな様子を見て一際大きく咳払いをする将軍。


 「おほん…。そもそも、盗賊と断定して、襲われたという可能性を加味しなかったお前達の落ち度だ。その後も結論ありきで話を進めたのがまずかった」

 「「「……………」」」

 「そして、そこのお前とお前。あと、そっちのお前。手を出そうとしたな?」

 「いや、違うんです。紐を解こうと思っただけなんですよ」

 「そうですそうです。かわいそうだなって思って」

 「やましい気持ちなんて微塵もありませんぜ」

 「成る程。意見の食い違いが見られるので、お前達にはこの後話し合いを設けよう。いいな?」

 「「「ぐっ……。はい」」」


 私に手を出したであろう男と、もう二人知らない男が膝をついて地面に座り込む。ここの風紀どうなってんのよ。

 三人がパジェロ将軍の部下に連行されるのを見届けると、続けるように語りだす。

 「ここにいるのは、公爵家、辺境伯家。伯爵家のご令嬢方だぞ? 本来ならば無礼が過ぎるので、お前達の首を持って手打ちとするところだが、こちらのエリザベス嬢の寛大な御心によって、お前達を預かり、身心共に鍛え直してくれるとのことだ。良かったな。首の皮一枚繋がったな」

 「「「ひっ………」」」

 「まぁ、左遷というよりは研修扱いになるから、経歴には傷は付かないようにしておいてやるから安心しろ」

 「安心出来ないです…」

 「寧ろ処刑された方が良かったのでは?」

 「俺食べられるんか?」


 チラッとエリーを見ると、唇の周りがビショビショになるくらい舌なめずりしている。唇カサカサにならんかね?

 「んふっ。みーんな美味しそう。素材がいいのかしらね。ちゃーんと、美味しく料理してあげるからねぇ」

 「すいません! 俺あそこからジャンピング土下座するんで勘弁してもらえませんか?」

 「お、俺も」

 「お、俺だって、それで済むんなら…」

 「何言ってんだお前ら? あんなとこから飛んだら死ぬだろう? 命を大事にしたほうがいいぞ? 別に死ぬってわけじゃぁないんだから…」

 「そうよぉ。預かるんだからちゃーんと、隅々まで丁寧にしてあげるわよぉ」

 「だそうだ。良かったな」

 「………終わった……」

 「…くっころ……」

 衛兵たちはこの世の終わりのような表情で、その場に立ち尽くすもの。頽れるもの。或いは仰向けで寝転がっているものもいる。


 まぁ、自業自得だからしょうがないね。

 しかし、多分あの一番騒いでるのが言い出しっぺなんだと思うけど、よく公爵家、辺境伯家。伯爵家相手に強気に出れたな。

 でもまぁ、あんなボロ馬車で来たら疑っちゃうか。でも、一応貴族なんだけどなぁ…。そんなにオーラ無かったか。うん…。盗賊はともかく劇団員くらいには見えてもおかしくないと思うんだよなぁ。何でこんなに待たされるのかホント謎だわ。


 衛兵の皆さんには、今回の件で人は見た目で判断しちゃいけないよって分かって良かったんじゃないかな。この経験を次に繋げていただけたらいいと思います、まる。


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