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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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17 やっぱ偉い人と知り合いになってると話が早い


           *      


 大体、三十分くらいだろうか。バタバタと忙しない音を立てながら、パジェロ将軍が部下を引き連れ入ってきた。

 それと、同時に右側の壁に大きな穴が出来た。

 ガラガラと崩れた壁穴の向こうでは、エリーがニコニコしながら手を振っていた。

 「あら、クリスちゃん。ヤッホ〜」

 エリーはのんきだなぁ…。


 ほんの少しだけ見えた向こう側はこの世のものとも、あの世のものとも思えないくらい死屍累々としていた。とりあえず、気づかないフリしておこう。

 エリーに向かってニッコリを手を振り返す。

 不自然な笑顔になってないだろうか。薄暗いから分かんないよね。

 そんな様子を見た将軍は一瞬言葉に詰まってしまう。

 将軍にもニッコリと微笑んであげるが、将軍はこれ以上ない程疲れきっており、何から処理すればいいのか分からないといった感じだ。


 「ク、クリスティーヌ嬢……」

 どうやら、これで本人確認が出来ただろう。

 呼びに行った方の男も、後ろの方に控えていたが、ほらやっぱりといった顔をしている。まぁ、肝心の疑い続けた男は、私のお尻の下で気絶したままなんだけどね。

 「あの、どうしてその男の上に乗っているんです?」

 「ちょっと襲われそうになったので、少し眠っていただいただけですわよ。座り心地は悪いですね…」

 おほほほほ…と、笑ってごまかすが、疑心暗鬼といった顔をしている。



 「「「「「「ほんと、すんませんっしたーーーーー!!!」」」」」」


 詰め所にいた衛兵たち全員が九十度のお辞儀で謝罪してくる。

 七割くらいの人は立っているのもやっとといった感じだ。生まれたての子鹿のようだ。


 空はもう、太陽が地平線に沈もうかというくらいの薄暗さになっている。

 ふと、城壁を見ると、余裕で馬車が行き交い出来るくらいの大きな穴。いや、トンネルが出来ていた。もし、修復するとなったら大変そうね。自業自得だから知らないけど。


 エリーとお姉様は明らかに不満そうな顔で衛兵たちを詰っているが、暴れられたからなのか、そこまでネチネチとは言っていない。

 寧ろ、ソフィアの方がヤバイ。カスハラかってくらい、理不尽な事をネチネチと言い続けている。まぁ、実際言われたんだろうね。私も言われたし。それを倍返しにしているだけだから、敢えて止めはしないけどね。


 「むぅ…。それくらいにしてやってもらえませんかね?」

 「なんでよ! こいつら私になんて言ったか知ってる?」

 「なんて言われたのですか? 後で私から口頭で注意しますが…」

 「〜〜〜〜〜! そんなの私の口から言えるわけないでしょっ! 恥ずかしい、もう最悪よっ!」

 パジェロ将軍が、ソフィアを宥めるが、よりヒートアップしているようにも見える。あんなに怒ったソフィアは初めてかもしれない。地団駄を踏みながら「もう! もう!」と怒っている。前の方にいる衛兵たちも居心地が悪そうだ。

 あんまり、止めようとしないのは、衛兵たちの方が悪いからだと理解しているし、ソフィアはあれでも公爵令嬢だからね。そりゃあ、扱いに困るでしょうね。


 天を仰ぎ呻く将軍。

 「なんで、こんな事に…。今日はウィリアムの手料理の日なのに……」

 それはご愁傷様です。

 そんな将軍と目が合ってしまう。将軍は苦笑いをしながら呟く。


 「普通、尋問されたらみんな怯えたりするもんだが、御者の人だけだそうだ。もし良かったら騎士団に入らないかい?」

 まぁ、御者のおっちゃんは一般人だし、仕方ないね。

 しかし、まさかの勧誘。しかし、汗臭そうなところは是非とも遠慮したい。正直、あの密室も微妙に臭かったし。


 「申し訳ありませんが、その話はお断りさせていただきますわ」

 「そうか、残念だ」

 「でも、将軍が来ていただいたおかげで、疑いが晴れましたわ。ありがとうございます」

 「なーに、構わんさ。もともといい加減な仕事をしていたこいつ等が悪いんだからな。寧ろ怪我とかをさせていなくてホッとしたよ」

 将軍って気遣い出来るんだ…。もっとガサツなイメージだったんだけどな。人って見た目で判断しちゃだめね。私の周りは見た目と中身一緒の人が多いからね。こまっちゃうね。


 しかし、貴族であるお姉様、エリー、ソフィアはあんなに感情を露わにして怒っているのに、流石従者。ロザリーとプロフィアさんは落ち着いているわ。

 そう思っていたんだけど、もしかしたら呆れてものも言えないのかもしれない。よく見たら、能面のように無表情だし、視線は明後日の方向だし。

 ある程度、ストレスを発散出来たのか、三人とも少し落ち着いたようだ。ソフィアに至っては、まだ肩で息をしているが、まぁそのうち収まるでしょう。

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