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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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11 エリーの魅力に止まる馬車

 

 小腹も満たされたのか、暫くはみんな無言になる。ウトウトしてきても天井からは相変わらず、「フン、フン」という声とギシギシという音がするので気が気じゃない。


 プロフィアさんは残ったお菓子を美味しそうに食べてる。よっぽど気に入ったらしい。ちなみにカレーパンにはもう手をつけていない。

 ビーフカレーパンの方は、いつの間にかソフィアのお腹の中に収まっている。

 「あぁ~、満足ぅ~」


 お腹をさすりながら、ソフィアがだらしなく姿勢を崩す。

 そんな時に、天井からコンコンと音がして、ハッと姿勢を正すソフィア。パブロフの犬みたい。


 「ね~えぇ、前の方からぁ、王家の紋章のついた馬車が来るわよぉ?」

 あぁ、きっとレオナルドの馬車だろう。今日は珍しく遅いんだな。

 ここで、レオナルドに捕まると、この後の予定でちょっとめんどくさくなりそうなので、ちょっと隠れながら窓の外を見る。


 確かに、王家の紋章が馬車の側面に描かれている。うちの馬車にも我が家の紋章が描かれているはずなので、もしかしたら、確認のために止められるかもしれない。

 そんな王家の馬車は、速度を落とすことなく過ぎ去っていった。

 それを見てホッとしたのも束の間。大きく左に弧を描くようにしてグルッと転回してきた。そして、そのまま馬車の後ろにピッタリとくっついた。


 「うわぁ…。ストーカーってやーねー」

 そんな風に軽口を叩くソフィア。自分のこと棚に上げてない?

 そうだ、いいこと思いついたわ。


 天井にいるエリーに向かって声をかける。

 「ねぇ、エリー聞こえる?」

 「聞こえるわよぉ。どぉしたのぉ?」

 「後ろになんか馬車がくっついて来てるじゃない?」

 「そぉねぇ。もしかしてぇ、私に気づいたのかしらぁ?」

 これはいい流れだわ。そのまま勘違いしてもらおう。


 「そうかもしれないわね。ちょっと、後ろの馬車に手を振ったり、投げキッスしてみたらどうかしら?」

 「あらぁ、それいいわねぇ。私の愛を受け取ってくれるかしらぁ」

 さて、どうなるかな?

 「あなた、えっぐいことするわね…」

 「そうでもなくない?」

 「まぁ、あなたがそう思うんならいいけど」

 ソフィアと一緒に目から上だけを出して、こっそりと確認をする。後ろから、覗くようにお姉様も見ている。


 「あ、止まったわ」

 「止まったわね」

 「御者の人、なんか震えてない?」

 「よく見えないけど、御者の人が中に確認取ってるわね」

 レオナルドが乗ってると思しき馬車は、その場で止まって動かなくなってしまった。

「心中お察しするわ…」

 後ろの方でお姉様が小さく呟く。振り返ると合掌していた。いや、まぁ、確かにレオナルド的には不幸だけれども…。窓の外を再度確認すると、馬車はどんどんと遠ざかっていく。まったく動く気配が無いのが逆に怖い。

 私も軽く同情していると、天井からコンコンと叩く音がした。


 「どうしたの? エリー?」

 「おかしいのよぉ? 投げキッスと、セクシーなポーズをとったらぁ、馬車が停まっちゃったのよぉ。おかしくない? 全速力で走ってきてもいいのねぇ? なんでかしら?」

 「中の人が違ったんじゃない?」

 「そぉかしらぁ? ざーんねんっ!」

 エリーの口調からは、本当に残念がっているのかは分からなかった。


 「なんか、レオナルドかわいそう…」

 「えっ!」

 「そうね。クリス、今回はちょっとやりすぎよ」

 「えぇ……」

 「でも、面白かったからいいわ」

 二人とも実際そんなこと思ってないだろうに。

 プロフィアさんは下を向いて、ロザリーは横を向いて笑いを堪えていた。

 笑いの沸点低くないかしら?


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