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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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09 いざ王都へ


           *      


 男の使用人さん達が壊れた馬車やズタボロになった道の破片を回収している。私は悪くない筈なのに申し訳ない気持ちになる。

 これはもう王都には行けないので、後でソフィアが個人的に行ってヒロインと話し合ったらいいんじゃないかな? そんな事を期待していたんだけど…。


 「これは王都に一泊しないといけないわね」

 代わりの馬車が既に用意されているらしく、もう出発の準備が出来ている。

 そんなに王都に行きたいの? あんな目にあったのにメンタル強くない?

 でも、一泊と言ったら着替えとか必要よね? 着替えを取り行くフリしてドロンしましょう。


 「あ、お姉様? 一泊するならお着替え必要ですよね? ちょっと取りに戻りますね?」

 「あら、大丈夫よ。さっき取りに行ってもらったから、既に馬車の後ろに積んであるわ」

 なんですと?

 「え? 私着替え持ってきてない…」

 ナイスソフィア。もう一度逃げるチャンスが巡ってきたわ。


 「サイズはクリスとそんなにかわらないでしょ? クリスので申し訳ないけど用意したわ」

 は? お姉様普段気が利かないのに、どうして今日は前もって準備が出来ているんですか?

 「え? 本当ですかお義姉様! ちなみに下着とかは……」

 「ごめんねぇ。嫌じゃなかったらクリスの使ってね?」

 「ありがとうございます。お義姉様!」

 ありがとうございますじゃないんだよなぁ。え? 普通他人の下着使うとか嫌じゃない? 

 なんかソフィアが「あとでバレないように交換しましょう」とか言ってるけど、何を交換する気なんだろうか? 全部聞こえてるんだけど、意味が分からない。


 流石に私たちだけで王都に行くのは問題があるのか、お父様がメイドを一人つけてくれる事になった。

 さっきのエリーの視線に気づいたのか、自分への興味を躱すためなのかロザリーがつくことになった。

 そんなロザリーは憮然とした表情で立っている。まぁ、気持ちはわかる。

 エリーがロザリーを上から下まで舐めるように見るが、あまり好みじゃなかったのか興味を無くして明後日の方を眺めだした。


 「カレーの煮込み作業が終わってないのですが?」

 「ベルシック辺りにお願いしときなさいよ。私のメイドなんだからちゃんとついてきなさいよ」

 「チッ」

 堂々と舌打ちしたわね。メアリーといい、ロザリーといい自分の都合優先しすぎじゃないかしら?

 「はぁ…。まぁいいです。王都の店の視察も兼ねて、仕方なくですが今回はついていきます…」

 前からこんなに気だるげなキャラだったかしら?

 急に言われたのに、ロザリーも一泊分の着替えなどを準備していた。あれ、もしかしてツンデレなんだろうか?


 とりあえず、この六人で王都へ行く事になったのだが、またもやエリーが不満を口にする。

 「三時間もただ座ってるなんて勿体無いわぁ」

 一人先に王都へ走っていくんだろうか?

 そう思っていたら、馬車の上の方を眺めていたエリーが良いアイデアが出たとばかりに満面の笑顔になる。


 「ねーぇ、私ぃ、この上でぇ、王都に着くまでの間、腕立てふせをしていてもいいかしらぁ?」

 「いいわよ」

 言い終わる前に被せるように、速攻でお姉様が了承する。はっや。

 もうここまでくると、筋トレが趣味なのか、ただ落ち着きが無いのか分からないわね。


 「じゃあ、私この上にいるから、何かあったら呼んでねぇ」

 そう言って、馬車の屋根によじ登るエリー。プロフィアさんはそれに対して無言で眺めている。どうしてこの人はエリーに付き従っているのか不思議でしょうがない。


 「いいじゃない。中が広くなって」

 お姉様はポジティブでいいね。屋根で腕立てする人を乗せた馬車が走っててたら何て言われるか分からないわよ?

 まぁ、みんなそれでいいならいいか。

 そうして、私達五人は普通に中に入って王都へ向かうのだった。



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