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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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06 違いが分からない

 

 応接室から少し離れた廊下で、ソフィアがものすごい剣幕で訪ねてくる。

 「ルイス様が女装してるってどういう事?」

 「いや、なんか気づいたらドレス着てました……。ゴスロリの…」

 「何て事! 何て事なの! え、今すぐ会いたいんだけど」

 「いや、今学園にいるからいないし」

 「じゃあ、今すぐ学園に行きましょう!」

 「いや、無理でしょ。基本関係者しか入れないんじゃないの?」

 「そう…ね……。あぁ〜………。もっと早くに来るべきだった〜…」

 床に四つん這いになりながら、がっくりとしている。


 そして、「うがーーーーーーっ!」と叫びながら立ち上がる。

 どうしたんだろう。今日のソフィアはいつも以上に情緒不安定だ。


 「ねぇ、ルイス様の女装姿ってどんななの? 想像つかないんだけど…」

 まぁ、確かに中性的な顔立ちしているけど、初めてゴスロリ服着てきた時は、中二病だったなぁ…。中二病の女の子のコスプレしてるって感じ。

 それに、髪の毛は肩に掛かるくらいだったから、ボーイッシュな子が女の子の服を着たなぁ…ぐらいの感じしかなかったかな。

 でも、気づいたら、髪の毛は伸ばすし、眉毛は細く薄くなるし、風呂上がりの化粧水と乳液は欠かさないし、マニキュアは塗る。化粧品は私より充実しているし、下着は上はブラジャーまでつけているものね。

 ミルキーさんが最初は戸惑ってオロオロするくらいには、変化があったわね。その甲斐あってか、普通に女性にしか見えないのよね、お姉様以上に。

 誰に影響を受けたのかしらね。まぁ、お母様や他のメイド達は喜んでたし、まぁいっか。


 そんなお兄様を見たら、例のパケ写と違いすぎて卒倒してしまうんじゃないだろうか?

 ………………。

 うーん。今までのソフィアを見て一つの可能性が出てきた。でも、これを聞いて怒ったりしないかしら?

 「ねぇ、質問で返すようで悪いんだけど、ソフィアってもしかして女装男子が好きなの?」

 「えっ………………」

 「いやだって、こういう話題に異常なほど食いついてくるから、そういうのが好きなのかなって…」

 そんな事言われるとは思ってなかったって顔している。

 そして、少し頬を赤らめながら、視線を彷徨わせながら呟く。


 「半分正解よ」

 「半分…」

 何が半分なのか分からない。

 「じゃあ、うちの領の子供たちは大体該当するのか…」

 「いや、まぁ…そうね。連れて帰りたいくらい素敵ね…って、違うわ。いや、まぁ眼福になっていいとは思うけど、違うわ」

 可愛ければいいってもんじゃないのか…。益々分からない。

 うーん。可愛い服を着てればOKなのかな?


 「じゃあ、エリーはどうなの?」

 「論外。あれは、筋肉にフリルが巻きついてるだけでしょう。それにあれは女装男子ですらないわ。寧ろ冒涜よ」

 散々な言われようだ。


 「えぇ、全然わかんないなぁ…」

 「どうしてあなたが分かんないの?」

 分かんないも何も、私はただ女装して普通に平穏に暮らしたいだけで、それで何かしようなんて考えてないんだよね。まぁ、それで色んなものが出来ちゃったのは不可抗力なんだけど。


 一つ溜め息をついたソフィアは、片手を腰に、もう片方の手を顎の前あたりに持ってくると、片目を閉じやれやれといった感じで答えを言う。

 「いや、私が好きなのは、男の時の姿を知っているキャラがイベントとかで女装するのが好きなんであって、別に、ただ女装している男子が好きってわけじゃないのよ?」

 「えぇっ! だってお兄様の女装姿を想像して興奮するから」

 「いや、想像できないから悶々してんのよ」

 理解されないと思ったのか、再度膝から崩れ落ち、四つん這いになる。


 「ちょっと、大丈夫なの?」

 そんなに時間が経っていないと思うんだけど、お姉様が気にして部屋から出てきたが、四つん這いで震えているソフィアを見て、何かを察したのか、そのまま部屋へと戻っていった。


 「なんか…、誤解されたみたいよ?」

 「えっ!」

 あのお姉様が素直に戻るなんて、後々面倒な事にならなきゃいいけど。


 あっ、そういえば、ソフィアのテンションがおかしいから聞きそびれていた事があったんだわ。

 「ねぇ、隠しキャラのうちの二人がうちの関係者って、比率おかしくない?」

 3/8がオパールレイン家の関係者なんだもん。

 四つん這いの状態のソフィアが顔だけを上に向ける。


 「あぁ、そんなこと…」と言いながら、膝のあたりをパタパタと叩きながら立ち上がる。

 「もともとロザリーはロジエって名前なのよ。で、もともと孤児でアーサーの従者だった気がする。どうしてここにいるのかは知らないけど」

 実際聞いてないから分からないけど、お姉様が何か関係してそう。そのアーサーって教皇の息子さんだよね。わぁ、何かドス黒いものがありそうでやだなぁ。


 「で、もともと学園内しかストーリーないからね。ルイス様は教師なのよ。教育実習生だけど。唯一の大人枠ね。たしか、婚約者がいたわね。誰だったかしら…」

 想像できないなぁ。あの無口なお兄様が教鞭を執るなんて……。全部自習になりそう。


 ん、待って。婚約者? お兄様に? あの無口で女っ気のないお兄様に婚約者?

 それミルキーさんが聞いたら発狂するんじゃないかな? 時と場合によってはその婚約者さん亡き者にされそう……。

 しかし、後から出るわ出るわ。乙女ゲームの情報小出しにしないで欲しいわね。あとで、設定資料集とかくれないかしら…。


 しかし、嘘とはいえパンツを履き直すだけでこんなに離れていると、何を言われるか分からないので、そろそろ戻ろうと思うのだが、ソフィアがうんうん唸っててなかなか戻ろうとしない。

 戻って、また叫ばれても面倒なので、今ここで全部吐き出してもらいたい。


 「ダメね。あともう少しのところまで出ているんだけど…」

 お兄様の婚約者の事だろうか、それとも他の事かな? 主語がないから分からないや。


 とりあえず、待たせている応接室に戻ると、テーブルの上には柏の葉っぱだけが残されていた。結構な数置いてあったんだけど、全部食べたんだ。みんなよく食べるね。

 指に付いた餅をペロペロ舐めながら取っていたエリーが、こちらをみてニッコリする。

 「ねぇ、ここが乙女ゲームの世界だって言うんならぁ、ヒロインもいるのよね?」

 「それだわ!!!!!!」

 戻った瞬間にこれだよ。真横で大声出すから耳がキーンとなる。今日はやたらと叫ぶね? 



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