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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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05 みんな自分のことしか考えてなくない?


           *      


 「なるほどねぇ。ま、ホントかウソかは置いておいて、私はどんな役なの? ラスボス? 悪の大王? デストロイヤー?」

 あれ? 意外な事にお姉様が食いついてきた。てっきり『ふーん』って感じで興味なさそうにするもんだと思ってた。というか、何でそんな物騒なものに憧れてるんだよ。目をキラキラさせて聞いてくる役所じゃない。

 しかし、悪の大王か…。魔王って言わないあたりちょっとかわいい。


 「え、えっと、すいません。モブです」

 「モブ……………」

 それを聞いたお姉様は意気消沈して、がっくりと項垂れてしまった。

 「(で、実際はどうなの?)」

 「(あなたとの恋路を邪魔する悪役令嬢よ。でも、クールでカッコよくて、たまにお助けキャラになったりするのよ)」

 「(じゃあ、別に言ってもよくない?)」

 「ダメよ!」

 こそこそ話していたのに、最後だけ声が大きくなる。一体何がダメなんだろう…。


 「何がダメなのぉ?」

 両方の拳を顎に近づけ考え事をしていたエリーが、その声に反応する。

 「や、何でもないの。ちょっと、変な事を思い出しただけだから」

 「あら、そうぉう?」

 「え、えぇ…。何でもないのよ。おほほほほ…」

 ソフィアは誤魔化すの下手くそなんだから、あんまり喋らないほうがいいんじゃないかな。


 「そっかぁ…。乙女ゲームねぇ。私やった事ないんだけど、逆ハーレムを作るゲームよねぇ…」

 口角を上げて、指折り数えるエリー。

 「リアムきゅんでしょ、レオちゃんでしょ、あれ、あと何人いるのぉ?」

 「基本五人で隠しキャラが三人ね」

 「あら〜。八人も平等に愛せるかしらぁ」

 何でエリーが、逆ハー狙いしてるのよ。


 「そのうちの一人はクリスだから諦めなさい」

 「えぇ! そんなぁ。ねぇクリスちゃん。男装する気ないかしらぁ?」

 「いやー……。予定にないですねぇ…」

 「あら、残念。七人で我慢するわっ」

 簡単に諦めてくれて良かったー。ホント、本当に良かったー。


 隣から物凄く深いため息が聞こえた気がしたが、気付かないフリをしておこう。

 「(ちなみに、攻略キャラのテオはショタで男の娘よりだし、隠しキャラのロザリーは女装メイドしてるから五人がいいとこでしょうね…)」

 「(ふーん。ねぇ、隠しキャラのあと二人って誰?)」

 「(あなたのお兄様ルイス様と、レオナルドの兄、第一王子のライオネルね)」

 お兄様には様付けなのに、王子には様付けしないんだ…。


 「(じゃあ、四人だね。今お兄様女装してるから)」

 「なんですって!!」

 だから、またそんな大きな声で叫んで……。って立っちゃったよ。


 「どうしたのよ。さっきから落ち着きないわね」

 流石に二回も叫んだら気になるよね。お姉様が訝しげにこっちを見つめてくる。

 「い、いや、その…あの、なんか、クリスがパンツが脱げそうだって」

 「何ですって?」

 私じゃなきゃ見逃してたね。今お姉様の目が妖しく光ったわよ。


 「ふぅ…。仕方ないわね。私が見ててあげるからここで直しちゃいなさい」

 ほらね。こうやって真顔で堂々とセクハラ発言するんだから。どうするのよ。

 睨めつけるようにソフィアを見ると、ばつが悪そうに口をモニョモニョしている。

 ここからどう切り返すのかお手並み拝見といきましょうか?


 「すいません、お義姉様。私も脱げそうです」

 もっといい言い訳思いつかなかったの? みんなポカーンてしてるわよ?

 「そ、そう? じゃあ、その、えっと直してくる?」

 「あ、はい。すいません。ちょっと失礼します」

 そう言ってソフィアは私の袖を掴んで引っ張る。


 「えっ!」

 「いいから、ちょっと来て」

 「あっ、はい」

 そのまま引っ張られながら、部屋を後にする。

 出てくるときにちらっと見たけど、なんか生暖かい視線を感じたのは気のせいだろうか。


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