表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/543

04 エリーも転生者らしい


           *      


 あらかた食べ尽くして満足したのか、佇まいを正したエリーが話しを切り出す。

 「実はね、あなた達二人もそうだと思うんだけどぉ…」

 やたらともったいぶった言い方をする。そんなに言いづらそうな雰囲気はしてないんだけどな。


 「私ぃ、転生者なのぉ…」

 「「…………えっ?」」

 急に衝撃の事実を言われて反応が遅れてしまう。

 お姉様もプロフィアさんも特に反応はない。もしかしてだけど、ソフィアの事も知っていたんだろうか。

 一体いつの間に……。


 しかし、言った側のエリーは『キャー☆言っちゃったわ』みたいな事を言いながら両頬に手を当てながら上半身を左右に振っている。

 そんなエリーを見ていると、一体どんな前世だったのかちょっと気になってしまう。


 「エリーは前世でどんなことしてたの?」

 ソフィアも気になったらしい。

 「んー、最初はぁ、こういう事してたわぁ…」

 そう言って、片方の頬を上から斜め下の方に指をスッとなぞる。マジか…。

 その後、昔を懐かしむように訥々(とつとつ)と語り出した。


 「私ね、最初は武闘派の組長をしてたんだけどぉ、そういう事なんかより、男同士仲良くしたいなって、ずっと思っててねぇ。それでぇ、男同士の友情を重きに置いた団体にシフトしていったら、上の方からそういう団体じゃないんでって事で辞めさせられちゃったのぉ」

 まぁ、そうよね。そういう人達が衆道に染まったらたまったもんじゃないわよね。


 「それでぇ、その後どうしようかなって思ったんだけどぉ、事務所のある街にあったぁ、バーで働く事にしたのねぇ。そしたらぁ、その街だけでなくぅ、エリア一帯で売り上げ一位になっちゃって。テレビにも出た事あるのよぉ」

 深夜に一般人に取材するやつかな?


 「でもね…。そんなある日、前の仕事で一番可愛がってた子に刺されちゃってぇ。鍛えてたんだけどぉ、刺さった場所が悪かったのねぇ…。でも愛した男に刺されて逝くのは悪い気分じゃなかったわぁ。で、気付いたら二歳くらいの男の子になってたってワケ」

 なかなかにディープな内容だったわ。端折ってこれなら、もっとドロドロしてそう。


 「あなた達はどうなのぉ?」

 急に振られるとは思わなかった。

 「か、会社員だけど…」

 「私もよ」

 「なぁんだ。つまんない。でも、あの時、間違って入ったサラリーマンの団体さんでかわいい子いたのよねぇ」

 なんだろう。自分じゃないとは思うんだけど、寒気がする。


 「でも今はぁ、今でとーっても充実してるわぁ。かわいい部下達を鍛えるとちゃんと応えてくれるものぉ。みーんな私と同じ格好していてねぇ。今は十個の小隊を任されるのぉ。みんなかわいいからぁ、今度会いに来てねぇ」

 「今まで一人も死者を出してない無敵の団体です」

 プロフィアさんが補足情報を付け足す。エリーみたいのが、三、四百人いるのか。凄いなぁ。敵も戦意を無くすんじゃないだろうか。


 でも、なんでこんな事を改まって言われたんだろう。

 「本当はぁ、あなた達から言ってもらいたかったのよぉ?」

 ん? どういう事?

 「良くも悪くもぉ、この世界って中世から近世あたりの世界だったのよぉ。それが、ここ数年で一気に生活水準が上がっちゃうんだもん。おかしいと思わないほうがおかしいわよねぇ…」

 まぁ、そうね。


 「前世の知識使ってこんなに発展したのよ? そんなとこにこんな世界観無視したフリフリのマッチョが来たらどうするぅ?」

 「逃げるわ。関わりたくないもの」

 ソフィア……。もうちょっと言葉選ぼう?


 「まぁ、酷いわ! って、違うでしょお? 『あれ、この人、素敵な格好ね。もしかして前世の知識を持ってるのかしら』ってならない?」

 「「ならない」」

 どう考え直してもその発想には至らないなぁ。やっぱり頭の中全部筋肉になってるんじゃ…。

 流石のお姉様もお茶を吹き出して横を向いてプルプル震えている。


 「もぉ、ひっどーい。折角意を決して話したのにぃ」

 エリーには申し訳ないが、あんまり前世の知識を持ってるって言いたくないんだよね。何となくだけど、色眼鏡で見られそうで嫌なんだよね。だからなるべく知ってる人は最小限にしておきたい。

 「まぁいいわぁ。実際、聞いてみたい事があってカミングアウトしたようなものだしねぇ…」

 なるほど。そういう事か…。で、聞いてみたい事ってなんだろう。


 「この世界って何なの?」

 いきなりストレートに打ち込んできたな。さて、何て答えるか…。ちらりとソフィアを見る。私より圧倒的に詳しいからだ。

 ソフィアも私の方を見て、こそこそと耳打ちしてくる。

 「(あなたのお姉様やエリーの従者がいるけど、乙女ゲームの事言っていいのかしら?)」

 問題なのはそこだよね。転生の事は知っていても、この世界が乙女ゲームの世界なんて言っていいんだろうか? 動物に鏡を見せるくらい危ない行為なんじゃないだろうか?


 「実は……」

 ソフィアが意を決して話していく。もちろん所々濁したり、掻い摘んだりしているが、この世界が乙女ゲームの世界観に準えてると伝えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ