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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第3章

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03 柏餅の葉っぱ


           *      


 エリーとプロフィアさんを応接室に案内する。

 私とソフィアに話って事だけど、何故か当然のようにお姉様も付いてきた。それに対してエリーは特に気にした様子はない。


 折角なので、柏餅をお茶菓子としてお出しした。いっぱい作ったからね。余らしても仕方ないし。

 「あらぁ、美味しそうね……。プロフィアもそんなとこ突っ立ってないで一緒に座って食べましょう?」

 「よろしいのですか?」

 おずおずと尋ねるプロフィアさん。

 「別にいいと思うわよ。畏まった場じゃないもの。うちのメイドなんか真っ先に座って我先に食べるもの」

 それはそれでどうなんだろうか。きっとメアリーの事なんだろうけど。


 「そ、そうですか。では失礼して…」

 テレテレと嬉しそうにエリーの横に座り、柏餅を一つ手に取り、葉っぱを剥がし頬張る。パアッっと周りに花が見えるような感じで喜んでいる。満足していただけたようで何よりだ。


 エリーはというと、一つ手に取り、葉っぱの付いたままバリッと音を立てながら食べた。

 「「「「えっ?」」」」

 エリーを除く全員が驚き固まってしまう。


 「な、何よ…。何かおかしい?」

 「普通、柏餅の葉っぱは食べないわよね…」

 「そうね…」

 「え? う、嘘でしょぉ? だって巻いてあるんだから一緒に食べるんじゃないの?」

 確かに、ほんの一部柏餅の葉っぱごと食べる人もいるらしいけど、大多数は剝がすんじゃないかな? 稀に剥がす時に少し葉っぱが餅にくっつくこともあるけど、まぁ食べるとしたらそれくらいよね。

 しかし、何のためらいもなく食べたな。そういう家系なのかな?


 「もしかして、桜餅と混同してない?」

 「あぁ、桜餅は一緒に食べるわね」

 「え? 私、あれも剥がしてたんだけど……」

 私とお姉様はそのまま食べるけど、ソフィアは剝がすらしい。勿体無い。


 桜餅は長命寺と道明寺ってあるけど、道明寺の方は剥がしづらいからそのまま食べるわね。その流れで長命寺の方も葉っぱごと食べるようになったわ。けっこう塩味が効いてて美味しいのよねアレ。

 季節外れだけど、今度作ってみましょうかね。何故か桜の木が生えてるし。

 ところで、佐野で売ってるあんぱんにも葉っぱ入ってるけどあれも食べるわよね?


 カルチャーショックを受けたであろうエリーは半分齧った柏餅から葉っぱを取り外し、餅だけを食べる。

 「うーん。やっぱりぃ、私はぁ葉っぱ付きのが好きねぇ」

 そうなんだ。まぁ、好みは人それぞれだからね。

 初めて柏餅を作った時、お姉様も葉っぱごと食べたので、指摘したら、誤魔化そうとしたのか同じことを言っていた気がする。涙目で柏の葉っぱを食べていたわね。今考えるととてもワイルドね。


 エリーの横で、幸せそうに柏餅を十個以上は食べたであろうプロフィアさんが、そんなエリーに剥がした葉っぱを差し出していた。

 「エリー様、そんなにお好きなら、どうぞ……」

 「いや、葉っぱだけでは食べないわよ…」

 語尾を伸ばす事を忘れたエリーが、その申し出を拒否していた。

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