10 お昼はウノ
昼食の後―――――
件のウノをやろうと声を掛けたのだが、思いの外集まってくれた。
お姉様と、お兄様。メイドのメアリーにロザリー。
おっとこちらは初めて見るメイドさんだなと思っていたら、おずおずと自己紹介してくれた。
「あ、あのルイス様専属のミルキーでぅ…」
噛んだ!
ほんわかおっとり巨乳メイドさんミルキーさん。
あんまり自己主張しなそうな性格なのに自己主張の激しいボディですね。
そう思ってお姉様専属のロザリーに哀れみの視線を向ける。
「何を言いたいのか分かるけど、僕は男だからね。こればっかりはどうしようも無いよね」
無い胸を張って主張してくるロザリー。
でもね、まな板を見せられても別の方が気になって仕方ないんだよ。
「何でお姉様とメアリーはいつもの髪型じゃ無いんですか?」
「クリスがこの髪型が好きだって言ったからよ」
「右に同じです」
いや…。まぁ…。好きなんだけどね。こんな露骨にやってくるかね普通。
「サマンサ様の髪の毛の結いあげは私がやりました」
無い胸を誇らしげに主張してくるロザリー。
「そうなんだ…」
「ちょっと、もう少し嬉しそうにしなさいよ。ほら、ほら!」
「そうですよクリス様。ここは喜び勇んで私の胸に飛び込むところですよ」
「ねぇ、私のイメージってどうなってんの? ここは一度はっきりさせた方がいいきがするんだけど?」
しかし、都合が悪かったのだろうか。
「そんなことより、早くやりましょうよ! 私結構待ったんですけど?」
はいはいわかりましたよ。
と言っても、トランプと違って基本的な遊び方は一つしかないので、覚えたら結構簡単だよね。
なるべく分かりやすくルールを丁寧に説明していく。
お姉様以外は大丈夫そうかな。
とりあえずやってみていろいろと把握してもらった方が早いよね。
シャッフルしたカードをそれぞれ配って第一回戦スタート。
「はーい、ウノって言ってないーーーー」
どっかの大統領候補がドヤ顔で指差しながら言ってそうな感じでお姉様がお兄様に言った。
「うぜぇ……。うぜぇ…」
「何で2回も言うのよ!」
お兄様でもうざいって思うのね……。
結局、お姉様が記号カードで上がっての反則負けになった。
「なんでよ! 最近私こういうの多くない?」
「落ち着いてやればいいのではないですか?」
「くっ……。ちょっとクリス? 悔しいからハグさせて?」
「負けたからダメです」
「勝ったらいいのね?」
「あっ……。勝ってもダメです。そもそもそういう目的のものじゃないので」
どうしてこの家の女性陣はこうも欲望に忠実なのかな?
それから、二回三回と夕方になるまでプレイした。
主従の垣根を越えてワチャワチャしていたんだけど、不意にお兄様が感心したように話し出した。
「でも、クリス。これは凄いよ? 面白いし楽しい。売れるんじゃないかな?」
「そうよ。売れるわクリス。私たちで広めましょうよ。他にもあるんでしょう?」
「あとはトランプしかないですよ。もっと他にも作ってみたいんですけど、一つ作るにも時間かかるので…」
カードゲームだけでもまだまだ種類があるし、ボードゲームも作ってやってみたいのがいっぱいある。
問題は一人で作るのには限界があることなんだよね。
午前は稽古があるし、作るのは必然と午後になるんだよね。
あと、紙くずや木くずとかでドレス汚したく無いから着替えないといけないのが面倒臭いなって思うことくらいかな。
「じゃあ、ロザリー達メイドに手伝ってもらったら? あの娘たち手先とか器用だし、最近のクリスのお願いなら喜んで聞くんじゃないかしら?」
ふむ。と、顎に手をやって考える。
最近のって前置詞は余計だけど、メイドさん達に手を振るとにこやかに振りかえしてくれるし、お願いしたらやってくれるかな?
ただ、毎回メアリーが鬼の形相で睨むのがいただけないけど。
チラッとメアリーを見る。
「クリス様のお願いなら何でも聞くので是非命令してください。ふひひ…」
メアリーは絶対に勘違いしてると思うんだよね。
「ねぇロザリーはお願いしたら手伝ってくれる?」
「ちょ、ちょっとクリス様! ここは私に命令するところでは?」
だってメアリー変なことしか言わないんだもん。
「うーん…。僕はあんまり器用じゃ無いけど、そこまで凝ったものじゃないなら手伝ってもいいよ。あ、あと他の人にも声を掛けておくよ」
「あ、ありがとうロザリー。メアリーも見習って!」
「ぐぅ…。わかりました……」
一年中お花畑のメアリーがしゅんと項垂れた。
少しは下心を抑えてくれてくれたらいいんだけどな。
そして、この後は勝ち続けているから止めたくないとゴネるお姉さまを、夕食の時間にもなって来ないと、お母様が乱入してきたのでお開きになった。 この文、おかしいです




