第83話 そのころデルーカでは?
閑話です。
083 2 024
ところ変わってここはデルーカ
『迷宮広場での一幕』
冒険者:バッチコーイ!
骸骨死霊:フィアーLV3!!
観衆A:おおおお耐えた?!
骸骨死霊:ほほうよく耐えたな冒険者よ!
冒険者:へへへ、よ、余裕だぜ!
骸骨魔術師:ふふふ、もう限界ではないのかな?
冒険者:舐めるな!さあレイズだ!
冒険者は横に立つ骸骨へと銀貨を1枚を渡すと骸骨魔術師も小さな魔石を一つ渡す。小さいと言っても市場で購入するとすれば銀貨3枚相当の価値がある。
骸骨の手に持たれた盆には銀貨4枚、魔石が4つ置かれていた。
冒険者:バッチコーイ!
骸骨死霊:フィアーLv4!!
ぎゃあああ!
冒険者は恐怖に錯乱し走りだそうとしたが、周囲の冒険者仲間達に制止される。
冒険者仲間:大丈夫だ落ち着け!
抑えろ!!!!!!聖職者!聖職者!
ミーカ:ほらディスペルマジックじゃ、LV4に耐えられる者はそうはいないのぅ。
骸骨死霊:昨日はLv4を耐えた男が2人おりましたぞ。賢しいかなLV5は無理と判断して魔石を4個持ってサッサと切り上げていきましたがね
ミーカ:ほう、凄いのう、名前は判るかのう?無所属なら勧誘してもよいのう。
骸骨死霊:あれは多分軍属の魔術師でしょう、素性の良さげな対魔術コントロールをしていましたからね。他にもそれらしい者が紛れておりますからね。
ミーカ:ほっほっほ偵察かのう。
骸骨死霊:ミーカ殿ももう一度レバーテイストゲームはいかがかな?
ミーカ:年寄りをいじめるな。初日で懲りたわい。
骸骨死霊:私がこの商売を始めてLV7まで耐えたのはミーカ殿だけですよ、張り合いがないのですよ。
ミーカ:あれを耐えたと言えるかは自分の事乍ら苦笑いしでないがのう。
観衆B:LV7?!ざわざわ。流石は魔石土竜のミーカ!!
ミーカ:(耐えきったが、お陰で実を漏らしてしもうたぞぃ)じゃが、ティツィアナ嬢には及ばぬようじゃからのう、ワシももう一線級からは遠のいたと言う事じゃな。
観衆A:ざわざわ。ティツィアナ様が!?迷宮主に敗れ去ったのでは?
ミーカ:馬鹿をぬかすな、敗れたとはいえティツィアナ様はLV10を超えた最上位の精神魔法、抵抗をしくじれば死にも至る恐ろしい秘術、死の恐怖付与を何度受けても倒れず、部下の命を守り切った英傑じゃぞ。
しかも迷宮主殿だけではなく、彼女の様な高位死霊や無数の骸骨に囲まれてなお孤軍奮闘で戦い仲間を守り続け生きて生還じゃ。ワシが若い頃でもそんな真似はとてもじゃないが出来んわい。
聴衆B:ざわざわ。ティツィアナ様はそんな凄いのか?
骸骨死霊:はっはっは、モノポリー様も「1対1であればかなりの強敵となったであろう。しかし指揮官としてはまだまだ未熟、倒れた部下等見捨てれば勝機もあったであろうに」と仰っておられたからな。
聴衆A:ざわざわ。ティツィアナ様本当はそんなに凄いのか?ざわざわ。迷宮主やこのアンデットの大群を相手に倒れた仲間をを守って?!
魔石土竜の下っ端:ミーカ様なら見捨てて絶対逃げていたろうに
ミーカ:こら!今ぬかしたのは誰じゃ!
骸骨死霊:はっはっは。結局は彼女の力を認めて対話に応じた所、諍いの原因が彼女ではなくあの臆病な貴族と判り命までは取らなかったが、部下を守り切ったと安心した途端に意識を失ってしまったのは残念だったがね。
ミーカ:何を言うか、全員生還させるなんてこたぁ軍の大将として真似できんほどの大業じゃぞ。おっと、それ次の挑戦者がまっとるぞい。
骸骨死霊:ふむ、よし次か、こほん。ハッハッハ、オロカナル勇者ヨ我ガ試練ニ挑ムトハ良イ度胸ダァ~!(棒読)
受付係(魔石土竜関係者):では参加費は1レベル辺り銀貨1枚でーす。何LVからいきゃすか?
冒険者:おう!もちろんLV1からお願いします。
観衆A:1LVでも耐えれば純度の高い小魔石が貰えるのはお得だな。負けても耐えた分は貰えるんだから美味しいな。
観衆B:耐えた分は掛け金が戻ってくるんだから下手に探索に入るより美味しいぜ!何度でも挑戦出来るんだから美味しいんだぜ!
◆
骸骨死霊:いらっしゃいませ~。現金でしょうか?交換でしょうか?
一般市民:代物交換でお願いしたいのですが。これでも大丈夫でしょうか?
骸骨死霊:ほぅ状態が良さそうな服と生地ですね、では査定いたします。
従業員(魔石土竜関係者):これなら大銀貨14枚と銀貨2枚分ですね。
骸骨死霊:それでよろしいかな?
一般市民:え?ええ、勿論です。
骸骨死霊:レジ袋は必要ですか?あ、いらない?では骸骨君、相当分の屑魔石をお客様のマイバックに入れて差し上げて。
一般市民:いやぁ、迷宮直売所は安くて屑魔石なのに純度が高くって助かります。
骸骨死霊:ありがとうございます。純度が低いものは広場の運営で使用している魔道具の燃料にして純度が良い物だけを皆様との取引で扱わせていただいています。大きい物や高品質の物は一般に下せませんが、出来るだけ良いものを提供したいと思っております。これからも何卒ごひいきに~。
ミーカ:ほっほっほ、こっちも大行列じゃのぅ。
骸骨死霊:ミーカさんのお陰で大繁盛ですよ。感謝感謝です。
ミーカ:ほっほっほ、なぁに手習い程度の商売知識が役立ってくれて何よりじゃよ。
骸骨死霊:まさかデルーカ行政との仲介だけでなく近隣住人と軋轢の解消まで骨を折っていただき、歓迎される市場にまでしていただけるなんて吃驚仰天ですよ。
ミーカ:なあに、これでおぬし等の『主殿』も喜んでくれるといいのじゃがのぅ。
骸骨死霊:きっとお戻りになりこの広場をご覧頂ければお喜び頂けるでしょう。
ミーカ:領主殿も冒険者供も、強大な『不死者の王』と争うよりも、楽しく共存できるのならそれに越したことはないからのぅ。
◆
商人:骸骨さん注文品の納品っす。
骸骨はぺこりと頭を下げると、両手で商品の納入にやってきた使いにその場で待つよう合図する。すぐに振り返りいそいそとテントの奥で仕事をする店舗管理を取り仕切っている骸骨死霊を呼びに行く。
骸骨死霊:ありがとうございます。えーっと、〇〇商会さんの分の納品ですね、お支払いは魔石でございましたね、ありがとうございます。骸骨君、大きい袋7つと中くらいの4つお渡しして。
商人:ありがとうございます、それと商会長から継続した商いのお話が出来ないかとの相談なのですが。
骸骨死霊:ええ、ええ、でしたら席を設けましょう。とはいえ我々は広場からはあまり出ない方が宜しいのでこちらに来ていただくことは可能でしょうか?
ミーカ:横から失礼するぞい、広場入り口近辺の店であれば問題ないじゃろう、ワシから衛兵には話を付けておくぞい。迷宮の中と言う訳にもいかんし、まだまだ広場に落ち着いて話せ場所がないからのう。
骸骨死霊:それはありがたい、都市行政との取り決めが調整中でして。あまり町中に出るのもよろしくないので。魔石土竜さんには色々ご迷惑をおかけします。
ミーカ:いやいや、冒険者達の安全も生活も守れるようになってこっちこそ助かっとる。何より冒険者が危険なく採取に入れるようになったのはありがたいからのぅ。
商人:ミーカの旦那とティツィアナ様が骸骨王様と交渉をして下さってダンジョン広場に大きな市場が出来てしまった。それも人間とモンスターが手を取り合ってですから。最早伝説級の出来事で御座いますよ。
ミーカ:ほっほっほ、冒険者や軍が怪物と話し合いと言うのも格好がつかぬ気もするがのぅ。圧倒的な力を持つダンジョンの方々が話が分かる方々で安心したわい。
商人:商人の間では神話の一説をこの目で見ているのだと、皆が話していますよ。それとミーカの旦那、南区の商人の方にも上手く仕事が流れる様に口添えいただけませんでしょうか?東区では色々と盛り上がっているのにとウチの商会長が物凄く歯噛みしていたオッカナイ状態でして。
ミーカ:ほっほっほ、東区の連中かノゥ、あそこはキヴァ・エラマ商会が上手い事やっとるからのぅ、手が回らず都市中の職人を呼び込んでるようじゃのぅ。迷宮広場での小さな商いの話ならば口も聞けるがのぅ。そうじゃ骸骨死霊よ、どうにかなるかぃのう?
骸骨死霊:そうですねぇ、行政との細かい話が進まないと何とも。迷宮の商業部門の代表には話してみましょう。
商人:ありがとうございます、会頭も喜びます。
骸骨死霊:東地区の方々は機に先んじて商談を持ち込まれたと褒めて差し上げてください。
商人:本当に見習いたいほどです。
◆
中堅ギルドの冒険者:ミーカ殿、迷宮内採取の人をもう少し増やせないでしょうか?今まで稼ぎのなかった連中や怪我で引退した連中も骸骨の護衛で安全に迷宮内で薬草採取が出来るようになったってんで希望者が殺到してるんでさぁ。
ミーカ:現金なモンじゃのう、まだまだ今後の迷宮側との関係を構築するために微妙な時期じゃ、あまり無理は出来んからのう。役人共と迷宮主殿との話し合いが落ち着かんとワシにもどうもできんよ。それより東地区へ行けば片手や片足が無い物にも仕事があると言う話じゃぞ?骸骨連中にも枠の話をしてみるが、そういう連中に教えてやってくれ。
中堅ギルドの冒険者:そうですか、話をしてみます。
ミーカ:うちのヴェスクと言う奴がキヴァ・エラマ商会と中立をしているから奴に詳しく話を聞くと良いぞ。
中堅ギルドの冒険者:助かります!
◆
魔石土竜構成員A:俺は、冒険者かヤクザ者しかなれないと思ってたよ。
魔石土竜構成員B:俺も、荒事しかできねえからなぁ……一生したっぱのまま人生が終わるんだろうなぁだと思っていた。
魔石土竜構成員C:今は頭目についてきて本当に良かったって思うぜ。
魔石土竜構成員A:うちの嫁がヨゥ、迷宮の怪物と仕事をするって話をしたらよぅ、心配だったみてえでこっそり迷宮広場で俺の仕事を見に来てたらしいんだわ。冒険者や商人達を仕切ったり都市兵とやりとりしてるのがみられてたみていでよ。なんだか出世したとか勘違いして泣きながら喜んでたんだよ。
魔石土竜構成員D:俺んとこも嫁と母ちゃんが頭目の口利きで東外壁区に仕事もらえたんだわ。日払いの給料は渋らねえし、その上すげえ旨い昼飯食わして貰えるらしくて、帰りには弁当?とかいう飯まで持たせてくれてよ。んで働いている間には、まだ小さい娘を預かってくれてな。そこじゃ子供達に文字の読み書き算術まで教えてもらえるんだぜ。
一同:まじか〜
魔石土竜構成員B:そういやあ怪我して引退してた連中も頭目のお陰でよ、東地区の商会で仕事が貰えたって喜んでたもんな。
魔石土竜構成員A:頭目は元々帝都で役人してた元貴族様らしいからなぁ、やっぱ貴族出身ってすごいなぁ
魔石土竜構成員BCD:カオル様のお力だろ。
魔石土竜構成員A:あの状況からそのカオル様と仲良くなっちまったって所がすげえんだよ
魔石土竜構成員BCD:確かに!!
いつも拙作「のんねく」をお読みいただき誠にありがとうございます。もしちょっとでも面白いかも?と思われたらイイネやお気に入り登録をいただけると作者の生き甲斐になったり更新頻度が増えたりしますので是非是非よろしくお願いいたします。




