第76話 異世界の秘境!うんちダンジョン⑨
076 2 017
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ヴィルヘルミーナが見えた文字を拾った小枝を使い地面に描いていく 。
美里も見た事がない文字である、あるいは記号なのかもしれない。
複雑な文字は規則性のある形状をしているが、文字と言うよりもQRコードのような図形型のデジタルコードにも見えた。
知らない文字の意味を探ると言うのは謎々やパズルを解くのとも違い非常に難易度が高い作業に思えた。
しかし文字の持つ意味を理解出来れば魔術を解明する大きな手掛かりになる、
美里は冒険や戦いよりもこういった事に興味を持ったのか徐々にのめり込んでいく。
「ヘルガ?」
オリガはヘルガの表情から感情が失われていく様子に不安を感じ声をかけたがヘルガは上目遣いに感情なくただ美里を見つ眼ていた。
その様子に気づいたロリガもヘルガの顔を不安そうに覗き込む。
ふたたびオリガが口を開こうとした時である。
「主様、どうやら迷宮内で骸骨死霊が怪物と遭遇したようです」
エーリカの報告に衆目が集まる。
「迷宮に入ったみんなは無事?」
「戦闘には至っていません、言葉を解す知性ある人型の怪物の様です」
「人型?言葉?」
「人間ではない様ですが複数体、そして衣服を纏い言葉で仲間と連携をとっているようです。不可視化している骸骨死霊達には気づいていないでしょうが伴わせていた霊魂をみて警戒を見せているようです」
「凶暴そう?」
「見た目は非常に温厚そうな姿の様です」
「どんな姿をしているんだい?」
ヴィルヘルミーナが興味を持つ、この世界の知識があるヴィルヘルミーナに確認をすれば何かが解るかもしれない。
エーリカが数秒沈黙する、迷宮内の骸骨死霊へ念話で確認をしているのだろう。
「背丈はクロエと同じ程度かやや低く、白や灰色の毛並み..........獣の頭を持っている様です...........装備は.....ナイフ.....短剣の様な獲物と....籠?を持っている程度で戦う者の装いではない様です」
伝えられた情報ではヴィルヘルミーナにも判断がつかない様子である。
「友好的に接触できそう?」
「言葉で接触を試みますか?」
「平和的に、平和的に頼むよ。もし争いになりそうなら一回撤収ね」
「かしこまりました」
「話が通じる様です、争いにならず非常に従順な者達の様です」
「え?従順?何か脅したりしていないよね?」
「................紳士的に対話を持ち掛ける様に指示は徹底しております」
「そっか、この迷宮に住んでるのかな?どういう種族なんだろう?」
エーリカが数秒沈黙し迷宮内の骸骨死霊と再び更新を行う。
「狗頭人と言う種族だと申しているようです」
「狗頭人きたあああああああああああああああ!」
突然の美里の叫びに一同が目を丸くすると美里は赤面し咳ばらいを一つする。
「狗頭人?ほんとかい?」
ヴィルヘルミーナがエーリカに確認するとエーリカも軽く頷く。
「そうか、この辺りでは狗頭人ってどんな存在なの?」
「どんなって、そうだね、あったかい南の大陸に住んでいる妖精種って話だったと思う。南大陸じゃ人間と一緒に暮らしてたりもする犬の顔の頭のいい怪物だよ」
美里の質問にヴィルヘルミーナは彼の腕を軽く掴み揺すると、やや興奮気味に答える。
「へぇ、なら友好関係作るチャンスはあるか」
「でもって凄く可愛いらしい!」
笑顔で続けるヴィルヘルミーナの言葉に一同が興味を示す。
「会ってみたいな」
「連行いたししますか?」
美里の感想にエーリカが不穏な言葉で問い返してきたのだがサラリーマン経験者の美里としては宜しくない。とはいえエーリカ達も生まれて間もない事もあり色々な言葉や知識を有して生み出されたとは言え、人の感情の機微や状況に応じた使い所等は経験が必用なのだろうかと思案してしまう。それともロリガの天邪鬼な理由とは別に意図があるのだろうか、はたまた『この世界』での通常なのだろうか?
だとすれば美里が注意するのは逆に無様をさらしてしまうと思うと注意もし難い所である。
「あーいや、人目もあるしダンジョンが安全なら俺からうかがうよ。迷宮がその子達の住処なら、勝手に入った事はデスマーチ軍団の代表として謝罪もしたいからね」
「謝罪など不要です」
エーリカきっぱりと言い切るのだが小市民美里薫が受け入れられるわけもなく首を振って否定をするが、その様子にエーリカはただ微笑みを返す。
「言葉が通じるみたいだし、仲良くなれる相手なら礼節は大切だよ?それに地上だと他の冒険者の目もあるし、もしこの迷宮が狗頭人達の大事な隠れ里だったら物凄い迷惑をかけちゃう事になりかねないからね」
「かしこまりました、では骸骨死霊達へその旨を伝え話合いの場を準備させましょう」
「あはは、本当に旦那様は優しいねぇ。これだけの力があるって言うのに少しも偉ぶらないんだからね」
優しいと言うよりは平和な現代日本の中で可能な限り無難に生きてきた美里は臆病なのだ。可能な限り危険や揉め事は避けたいし、罪のないものが自分の為に不利益を被るのも気が咎めてしまう。そんな小市民気質が死霊秘法と言うチートを持っていても横暴な殺戮者や簒奪者に成る事を許さないのだ。
気づけば空は夕暮れを過ぎ、周囲は暗くなり始めていた。美里が腕のスマートウォッチを見ると時間が19時を過ぎである。
この国の人間は日が暮れる前に帰宅し、日が落ちれば就寝するのが基本である。ダンジョンの入口へ近づけば『うんち迷宮』に潜っていた冒険者達が探索から帰ってきた姿が見とれた。
骸骨死霊からの情報では、いま出てきた連中以外は上層付近に冒険者の姿はなく更なる奥で探索中の冒険者が入口へ戻る様子もないと確認できた。これは隠し通路に入るにはタイミングが良いと美里達は早速移動を始める。
迷宮から帰還した冒険者は入り口を見張っていた男と幾度か言葉を交わすと美里達を値踏みするように視線を向け、改めて見張りと言葉を交わした後に自分たちののキャンプへと戻っていく。
「なんか睨まれてたね」
「まぁ、迷宮探索は許可は不要って言っても、縄張りに入ってこられるのは不快だろうしね。生活が懸かっているからしょうがないよ」
ヴィルヘルミーナが不快そうに帰還者の態度に不満を漏らすが、美里は軽く彼女を諫める。
美里は見張り番に軽く挨拶をすると、エーリカ、オリガ、ロリガ、ヘルガ、ヴィルヘルミーナと不可視化した無数の骸骨死霊を伴い『うんち迷宮』へと潜る。
最初の窪みの隠し扉を開きく。安全が確認された隠し通路へ入ると、やや冷やりとしているだけで、息苦しさも埃っぽさもなく湿度も程よい。印象的には非常によく整備されていた人工的な地下通路である。
罠や戦闘が行われるような迷宮と言った雰囲気はなく、美里の感想としては浦安にあるテーマパークのアトラクション内の通路と言われても納得しそうな迷宮である。
現在まで行っている骸骨死霊達からの探索報告ではこの通路は縦穴の周囲を囲むように作られ、複数の階層で形成されている。当然窓はないのだがどの階層も通路外周に規則的に部屋があると言う。
部屋には扉が無く、中を覗けば何れの部屋も大部屋であった。だが通路と違い、内部からは土や草木の香りがしていた。
美里達が部屋を幾つか探索をしたが、どの部屋も内部は植物が密集してた。それはまるで畑の様に手入れをされているように見えた。部屋の中には作業道具のと思われる物も整頓され置かれている。
美里達が3階層ほど下へ降りたところ、一つの部屋に5体の人型の生き物が多数の骸骨死霊達に囲まれ座る姿があった。
穏便な雰囲気ではない・・・
最近感覚が麻痺しかけているが、大量の骸骨死霊に囲まれて明るくお話ししましょうなんて状況を笑って受け入れる事がある筈もない。
美里達一行がやってきた姿を見るや、既に可視化された骸骨死霊達が一斉に頭をたれ礼を取る。その様子に狗頭人を名乗る者達の目には明らかな恐怖が浮かんでいる。
美里は部屋の緊張感に気圧されつつも、そろりそろりと室内へと入る、美里達の来訪に気づき顔を上げた狗頭人の要望を目にした美里も目を見開く。
狗頭人
その名前は鉱石のコバルトの語源ともなったこの怪物はドイツやデンマーク周辺で広まる民話を原典とする鉱山に住み着く妖精である。民話の中ではノッカーやノーム、と言った小さな妖精等と容姿や行動が似ている為、別の妖精達と境界が曖昧な表現で語られている。某TRRPGで犬頭の怪物として紹介されたのを始まりに、某パソコンRPGの祖ともいえるWIZARDRYでの出典で犬の様な頭と小柄な体躯を持ち、人間の様に器用な手指を使い道具や武器防具を装備し、高位の者は人の言語を解し魔法を使う姿が決定づけられた。現代ゲームでは比較的序盤に登場する弱めのモンスターである。
そして今、美里は、この部屋に座る彼等狗頭人の顔に大きな衝撃を受けていた。
「ちゃうやん....」
「?」
美里の呟きにエーリカ達パーティーメンバーが首を傾げる。
「ぬ....ちゃうやん....」
美里の目線を追って一同が狗頭人達へ目を向けると、囲まれていた狗頭人達が体を恐怖に跳ねさせる。
「犬ちゃうやん!」
美里が大きな声を上げてしまうと、狗頭人のみならず、骸骨死霊迄もが体をビクリとさせた。
「それ兎頭じゃん!」
「ごごごごめんなさいいいいい!」
狗頭人達は美里の勢いに、思わず謝罪の叫びをあげ、何体かは思わず泣き出してしまった
「え?兎?ほんとだ」
ヴィルヘルミーナも美里の声に待ちきれず部屋へと入ってくる。この世界の狗頭人を知っている彼女も彼らの容姿には少し驚いているようであった。どうやらこの異世界でも一般的に狗頭人は犬頭で間違いはないらしい。
どうやら骸骨死霊達は彼らが狗頭人と名乗ったその言葉をそのままエーリカへ伝えた様であり、誤った情報を流したのかとエーリカにひと睨みされ恐々としていた。
「俺たちは兎頭人(シュメ-ルコボルト)族だ...です...犬顔共みたいな野蛮な連中とは違う....ます」
兎頭人(シュメ-ルコボルト)と名乗られた事で情報が間違いではないことを知り、骸骨死霊は一様に安堵の様子を見せ、美里も思わず大きな声を出してしまった事を反省する。
「え、あ、そうなんですね、すいません。狗頭人の方と会うのが初めてだったんで色々な種族があるのわからなくって。まずは突然の訪問をお詫びします。俺は魔術師のカオルと言います、この幽霊達の代表者とお考え下さい」
兎頭人(シュメ-ルコボルト)の代表が恐る恐る美里へ答えを返してくれたのを受けて、まずは友好的にと考える美里が慌てて丁寧な答えを返す。
「あんた様がこのおっかない連中の親玉なのか...ですか?」
「言葉は気を使わなくていいですよ、友人と話す感じで気軽く話してくれればいいですから」
思わぬ美里の言葉に兎頭人(シュメ-ルコボルト)はキョトンとしてしまうがすぐに居住まいを正しミサトへ質問を続けた。
「そ、そうか。では遠慮なく....で、俺たちは....その、これから食われるのか?」
「え?」
今度は兎頭人(シュメ-ルコボルト)の言葉に美里は素っ頓狂な声を出してしまう。美里の価値観には人の様な姿形をしている生物を食材に分類する感覚はない、何より言葉で意思疎通が取れる相手を食べるとは禁忌中の禁忌と言えるだろう。
「まさか!食べないですよ?」
「お前達の肉は美味しいのですか?」
美里が慌てて否定したが、エーリカが悪い笑顔で兎頭人(シュメ-ルコボルト)の質問を返してせいで兎頭人(シュメ-ルコボルト)達は恐怖の表情が浮かべる。危険な発言は是非やめてほしい、あとできつく叱ろうと美里は心に誓う。
「ワシ等は同族を食べたりしないから、その、味は判らん....出来れば食わないでほしい」
兎頭人(シュメ-ルコボルト)の代表が慌てて答える、後ろにいる他の狗頭人が毛を逆立てて震えてしまった。美里の心は申し訳なさでいっぱいである。
「っていうかなんでこんな重々しい空気になっていたのかな?」
美里がエーリカを一瞥する。食べる食べないの話も原因の一端だが、そもそもこの場所へ到着した段階でテロリストに拘束された民間人レベルの構図で非常に空気が重かったのだ。
「攻撃を禁じ、話し合いの場を作るようにと指示をしております」
エーリカの答えは美里の指示したままであるが明らかに相手への気遣いはゼロ、いやマイナスと言っても過言ではない。しかし美里の怪訝な様子に怯える骸骨死霊達はエーリカの命令で行った言わんばかりに頷き無実を主張する。
実際に骸骨死霊達は言われるままに指示に従ったのであろう。
そもそもがどんなに丁寧に話しかけた所で骸骨死霊の姿はとてつもない化け物である、そのつもりが無くても一方的に威圧する形となった事は容易に想像出来た。
美里だって初見で骸骨死霊の集団に囲まれれば泣き叫ぶ地震がある。兎頭人(シュメ-ルコボルト)達には心の中で何度も謝罪していた。
「ふぅ」
事を察した美里はしばし考えを巡らせてから再び口を開いた。
「皆さんはこの迷宮に住んでいるんでしょうか?」
「いや、寝泊まりする事もあるが基本的には別の場所に住んでいる。ワシ等は地下通路を渡ってこのダンジョンの畑を整備しにやってきている」
話を聞けば、彼らは別の場所で集落を作り住んでいるのだが周辺の複数の迷宮で地下で育つ野菜を生産しているという。
この『うんち迷宮』も、彼らにとっては数ある野菜工場の一つであった。
育てている野菜、その多くはモヤシやウドと言った美里にとって既知の物や未知の食用苔や芋に似た植物、薬草等々複数の作物が得られると言う。
彼らは常に地下で生活している訳ではなく、地上でも耕作や家畜の飼育や狩猟も行い、驚くことに養蚕の技術迄持ち合わせていた。
ここにいた彼らはこの迷宮で育てている野菜の様子を見に来たチームで集落では野菜のエキスパートだと胸を張る。
集落や他の迷宮の話になると口を噤んでしまう。こんな骸骨死霊の集団相手では流石に集落へようこそともいえないのであろうことは納得するしかない。
しかしここで思わぬ情報が手に入る。
米である、麦ではなく米を育てている言うのだ。と言っても品種改良された現代の白米とは違う野生米らしく、赤黒い粒だと言うのだがお米で育った美里としては是非にでも食べてみたいものである。
米自体はデルーカにも流通はしていたが、安定供給は難しく、価格も高い。
彼らも米に関しては田畝を作り育てている訳ではなく、麦同様に種籾を巻いて勝手に育ったものを収穫するだけのシンプルかつ自然任せな農法らしい、しかし米の最大利点の収穫量の多さに重宝しているのだと言う。もし美味しい品種を育てているのならば仲良くしたい。
美里の中で兎頭人(シュメ-ルコボルト)の価値が一段階上がる。
「ワシからも質問をしていいか?」
兎頭人(シュメ-ルコボルト)代表で話をしてくれていた男の一言で、美里は今更ながら一方的に話していた事を思い出し兎頭人(シュメ-ルコボルト)からの質問の続きを笑顔で促す。
「あんたらは何者なんだ?見た所では単なる略奪者にも見えんし、従えている怪物を見るにとんでもない大物なのはわかる、目的はなんなんだ?」
兎頭人(シュメ-ルコボルト)の代表、ポタと名乗った彼が持つ疑問も当然である、何者かと言われれば美里としてはただの転生者であり普通の人間である。何者かと言う事はないし、この迷宮では目的と言える目的はない。もちろん彼がそんな答えを求めているわけでもないのは理解している。
何か肩書や自分が彼らにとってどういった存在に当たるのかを答えるなら・・・
「血盟デスマーチ軍団の代表してます、俺はただの魔術師です」
「軍団...軍隊なのか?!」
「いえいえ、軍隊と言うより私兵団です、あくまで俺個人の護衛見たなものですよ」
「個人.....」
兎頭人(シュメ-ルコボルト)達は周囲を見渡すが、どう見てもただの護衛の域を超えた化け物たちの存在に身を竦める。
美里は迷宮へ来た理由を、偶然見つけた通路に入っただけの物見遊山である事、北にある死者都市へ向かう旅の途中であると言う事を伝えると彼らも偶然の出会いで侵略が目的では無い事を理解し始めたのか色々と情報をくれた。
この世界に存在している兎頭人(シュメ-ルコボルト)は大きく分けて兎頭人(シュメ-ルコボルト)と狗頭人が存在するらしく狗頭人は主に山岳や森林地帯に生息し、兎頭人(シュメ-ルコボルト)は草原や砂漠地帯に生息していると教えてくれた。
迷宮内部や彼らの住む集落については口を開かなかったものの、彼らは大森林以北の情報を多く持ち、その中で死者都市についても教えてくれた。
「死者都市って一つじゃないの?」
ヴィルヘルミーナから驚きの声が上がる。
「うむ、不死怪物が支配する都市はこの近辺、我らが知るだけで3つ。話を聞くにお前たちが目指しているのはその中で一番大きい都市、ワシ等がエイントホーヘンと呼んでいる場所だろうな」
ポタはモコモコとした指を立てて死者都市について話し始める。
「知ってると思うが、かなり昔に人間の国々と魔王の達の入り乱れた大戦争があったであろう、その時に東の魔王が不死の秘法を使った場所だ、都市の外郭にはさほど恐ろしいモンスターも居ないが、都市中心では今も魔王と思しき者が彷徨っている。行くなら気をつけ.....ん?どうした?」
「魔王?魔王がいるの?魔王と戦争?」
話を聞くデスマーチ軍団のメンバーの驚きの表情に気づき言葉を切ったポタへ美里が質問する。
「そうだ、もう200年くらい前になる。ワシの爺さんの爺さんのそのまた爺さんの爺さんの更に爺さんから伝わった話だ、最初は北の人間達の国とこの地の人間の争いであった、そこに南から人間の国が攻めてきて仕舞には東の山を越えてきた魔王が割込んできてな。ワシ等のご先祖様達はそんな時に傭兵として雇われてやってきたそうだ」
ポタが語る話は、どうやらヴィルヘルミーナ達一般的な帝国臣民が知らない歴史であった。
戦争の切欠は美里達が目指す死者都市、旧都市国家エイントホーヘンに現れた強大なヒュム族の魔術師であった。
魔術師はエイントホーヘンの領主へ様々な知識を与え都市は見る見るうちに発展し豊かになっていく、その中で周辺の都市との軋轢が生まれ北部国家群との火種となる。
同時期に南部では群雄割拠を勝ち抜き支配域を拡大した神聖イース帝国がその版図を北部へと伸ばし、対抗するかのように北部でケイオシアム連合王国が誕生、そのどちらにも属さない小国家、小都市群を巻き込み強い緊張状態を作っていた。
戦争の火蓋を切ったのは今はもう帝国の歴史からは名前も忘れられた北東部の都市であった・・・。
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いつも拙作をお読みいただきありがとうございます。
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