第63話 異世界の森の冒険①
第63話 異世界の森の冒険①
063 2 004
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迷宮広場でティツィアーノが無様な逃走をしていた頃、ギルド死霊秘法は森の泉のほとりで合流し休憩を取っていた。
この旅は長い道程となる為、合流前に夜通し徒歩で移動して来たヘルガ達の疲労回復を考慮し、追撃の様子もないと判断して翌朝から移動する事を決めていた。
「鹿だ」
「箆鹿だね、なかなか凶暴だからあまり刺激しない方がいいね」
ヘルガとヴィルヘルミーナをテントに寝かせる為、テントの使用方法を説明していた時である、美里の視界に箆鹿の巨体が飛び込み、つい興奮してしまうとヴィルヘルミーナが視界に入った生き物の説明をしてくれる。
小さな湖沿いでキャンプをしていた為か、ほんの20m程度の距離に水を飲みに来た箆鹿と遭遇した。
「デルーカ周辺にも居るんだね、初めて見た」
「あぁ、ヘルガ姉嫁様はかなり南の出身だったね」
「うんアリオアだよヴィーは?」
「タリンだ」
「デルーカの隣の領地だね」
「まぁ孤児だから家族もいないから、故郷って訳ではないけどね」
「あはは、あたしも家族は父親以外みんな流行り病とか飢えてとかで死んじゃったよ」
「笑えねえよ、親父さんはどうしてんだい?」
「娼館に売られそうになったから逃げて来たんだよ、その後は知らない」
「なるほど、女冒険者あるあるだね」
「でも結局娼婦に成っちゃったけどね、あははは」
ヘルガとヴィルヘルミーナの会話は美里にとって全く笑える話ではないし聞いてるだけで気まずい会話である、2人とも幸せになってほしいと思う、いや自分がしなければいけないのかと思い直し、不安になる美里であった。
「でも大きい箆鹿だね」
「30人くらいで食べても余るね」
眼の前の箆鹿は体高だけで3mを超えている角の高さまで入れれば6mは間違いがない。
圧倒的な威圧感を感じるがヘルガとヴィルヘルミーナには食料に見えているようで、今だ現代感覚が残っている美里には軽いカルチャーショックである。
「旅の間の食糧の問題もございますので狩りましょう」
エーリカが現実的な理由を述べ提案すると美里も了承する。
エーリカが塊魂へ指示し、塊魂が即死の魔法を唱えれば、箆鹿は巨体を一瞬ブルリと震えさせその場に崩れ落ちる。
「「「おぉおお!!」」」
美里、ヘルガ、ヴィルヘルミーナは塊魂の魔法に思わず感嘆の声をあげてしまう。
「ヴィルヘルミーナ、捌き方は解りますか?」
「もちろん」
「アタシもそれくらいできるよ」
エーリカの質問にヴィルヘルミーナが答えるとヘルガも解体が出来ると元気よく手をあげる。
「では可愛らしいお嫁さんたちから皆教わりましょう」
クロアの提案に賛同し何故か塊魂を始めとした骸骨死霊も集まってくる。
魔眼を持つヴィルヘルミーナは不可視化していてもアンデットが見えている為、その光景に慣れていないのもありアンデット達に囲まれると言う冒険者として洒落にならない状況に少し恐怖を感じているが、可愛いお嫁さんと言う言葉に舞い上がり周囲が見えなくなっている見えていない子のヘルガは鼻歌交じりであった。
エーリカが骸骨死霊に指示し箆鹿を逆さに持ち上げ宙に浮かせる。
「完全に死んでるな、心臓が止まってるからさっさと内臓を取り出しちまおう」
そう呟くとヴィルヘルミーナがエルクの首を手際よく落とす。
エーリ、オリガ、クロアが自分も捌き方を覚えたいと作業を手伝いだすが、現代っ子の美里は状況のグロテスクさに目を背けてしまう。
ヴィルヘルミーナは直ぐさまエルクの股間から胸にかけ腹を縦に切り裂くと内臓を全て取り出し、手際よく4つの足首部分も切り落とした、話によると心臓が止まっていると首を落とすだけでは血が抜けないらしく直ぐに内臓を取り出さないと血液が肉の中に残り臭くなるらしい。
野生の生き物であれば、表皮のみならず内臓にも多種の寄生虫が潜んでいるため可食に向かず、穴を掘り今回は心臓や肝臓を含め内臓は全て埋めてしまう。
エーリカは一つ一つの工程を確認をすると切り落とされた箆鹿の耳部分を見て少し思案するとクロに寄生虫を取り除けるかと確認する。
クロは小さく鳴くと肉塊となった箆鹿に近づき、幾度か放電を放った、クロの権能の一つの様だが、いつも犬のダニや蚤を殺している方法を試したようである。
「わん」
クロが可愛く吠えれば、エーリカが肉塊を見つめ、ふむと納得した様子を見せ、どうやらエーリカの確認できる範囲で寄生虫は取り除けた様である。
「凄いですね」
クロアが感心してクロを撫でるとヘルガ達もあまりの便利さに感嘆の拍手を送る。
「クロはえらーい!」
「わん!」
クロエがクロに抱き着き撫でまわす、美里も一緒に撫でまわすとクロのしっぽは激しく振られた。
その後ヴィルヘルミーナとヘルガは箆鹿の四肢を切り落とすと大きいため骸骨死霊へお願いして剝皮していない状態の箆鹿の各部分を湖の浅瀬に沈め、肉に残った血や、毛についた寄生虫の死骸をの洗い流す。
「ヴィー、肉の中に寄生虫はいないの?」
「いっぱいいるよ、特に毛皮と肉の間にウジャウジャ。今回はクロがやっつけてくれたみたいだけど、普段は見分けつかないからよく焼いて食べるしかないね」
「なるほど。クロみたいに寄生虫を除去できれば畜産業も視野に入るなぁ」
美里は冒険者への興味も持っているが基本は平和主義の安定志向である、地に足がついた仕事に目が向くのだ。
「旦那様はこの箆鹿のお肉を食べた後の残りカスでもアンデットに出来るのかい?」
ヴィルヘルミーナの質問にハッとする、美里は死霊秘法で死体、もしくは骨だけでもアンデット化が出来る。
箆鹿を食料としてしか考えられ無かったのだが、可食部分は消費して残した骨はアンデット化させれば有効な戦力になる、牛や馬なら荷物持ちや馬車引き、農作業にも転用可能だ。
「出来ると思う、クロだって最初は骨だけだったし」
「それって凄くない?」
ヘルガが目を丸くして驚きの声をあげる。
「私の住んでいた村で牛とかを農耕に使ってるんだけど、怪我したり歳をとって働きが悪くなると潰して皆で食べるんだよ。でもカオルの魔法があればお肉を食べても餌を食べない骸骨にして働かせる事が出来るんでしょ?お肉を食べても!」
食べてもを2回言った、きっとヘルガには大事な事なのだろう。
「はははははっヘルガ姉嫁様は食いしん坊だなぁ。それなら肉だけ取って回復させればお肉も永遠に食べ続けられるよ!」
「ヴィルヘルミーナって天才!?」
ヴィルヘルミーナとヘルガは笑う。
しかし帝国では属する州や都市により差もあるが、農民は収穫の8割から9割を税として徴収されると言う。
きっと牛を潰すというイベントは飢えた子供達にとって空腹を満たしてくれる夢のイベントだったのかもしれない。
農耕用の廃牛、しかも老牛はスジが固く、臭いが強く味にも癖が出て美味しくはないと言われる。
そもそも食肉用に品種改良された牛ではないので味に期待が出来る筈もない。
とはいえ老廃牛も実際は不味い訳ではない、筋が増え歯ごたえが悪いならばミンチ肉にしてしまえば解決する、臭みや癖は煮込み料理すれば若い牛よりも美味しく仕上がる事もある。
「確かに、ある程度育てた所で肉は食用にして、骨をアンデット化すると言うのはかなり効率のいい産業になりそうだね」
「でしょ!」
美里の肯定にヘルガは飛び跳ねて喜ぶ。
「でも、回復魔法で肉を増やすのは倫理的にアウトだと思うぞ?」
「えええええええええ!?」
「旦那様の言うとおりだな。確かに寿命で死ぬまで何度も何度も肉を削がれ続けるって言うのは流石のアタシでも非道な所業だと思うね」
「えええええええええ!?」
美里の駄目出しにヴィルヘルミーナが同意するがヘルガは納得がいかない様子である。
「でもアンデットを使えば昼夜問わずに仕事がさせられるって事を考えると過酷な農作業もかなり楽になるし耕作面積も果てしなく広げられるなぁ」
「カオルが王様の国ならみんなが楽できるね!」
ヘルガの屈託のない笑顔をみてヴィルヘルミーナは美里の顔を見返す。
「王様....王様か....」
魔眼を得たヴィルヘルミーナにはその言葉が当然のように感じられていた。何故ならその魔眼を通して見てしまった美里から感じ取った魔力の大きさは魔術の知識を持たない彼女から見ても異常であったのだ。
「2人とも、後はやっておくからご飯の時間まで少し仮眠を取りなさい」
皮の剥ぎ方を確認すると美里に促され2人は美里のテントの中へ潜り込み、直ぐに可愛い寝息を立て始めた。
◆
「「「「「ただいま戻りました主様」」」」」
ヘルガ達と合流時、骸骨王へ合流地点と今後の移動予定を伝えに行った塊魂である。
「お帰りなさい、骸骨王の方はどうなってたかな?」
「「「「「迷宮の封鎖は完了、予定通り内部に残っていた都市軍兵の大半は生きて追い出したのですが、中層から下層へ繋がる大坂路と言う場所で都市軍兵の指揮官を発見した為、骸骨王様によって尋問と調整を行った後に地上へ送り返したとの事で御座います」」」」」
「尋問と調整ってなにそれ怖いんだけど、何したの?」
「「「「「居合わせた雑兵は己が価値を判らせてやったたけで御座いますが、指揮官らしき者には主様の偉大さを説き懐柔を試みた結果、快く受け入れてくれたようでございます」」」」」
「それ絶対快くないよね?」
「「「「「ふふふ、詳細までは判り兼ねますが、今後デルーカを支配する布石になりましょう」」」」」
「え?支配?ナニソレコワイ!!」
美里は想定外の報告につい声を大きくしてしまう。
「平和裏に事を運ぶには好ましい駒が手に入ったと言う事で御座いましょう、骸骨王はよい働きをしたやもしれませんね」
「平和的な話ならいいんだけどね、平和的なら......後は何かあった?」
美里は大きな不安を感じつつも、確認をつづける。
「「「「「主様に不敬を働いたティツィアーノ為る愚物を迷宮広場へ呼びつけた所、迷宮(ダンジョン)広場の手前には現れたのですが、骸骨王様の姿を見るや悲鳴を上げて逃げ出してしまい、骸骨王様も呆気に取られ取り逃がしたとの事です」」」」」
「あーあいつかぁ、もうほっといていいよ。デルーカにはしばらく戻る事もないしね」
「最期に各門を監視していた骸骨死霊の報告では主様へ追手を掛ける様子は無い様でございます」
「おーそれは朗報だね、ありがとう。骸骨王王の所に戻って何かあればまた教えて、明日の朝までは此処でキャンプ予定だから。移動するときには別の塊魂を送るよ」
「「「「畏まりました」」」」」
連絡事項を伝えると塊魂はデルーカの方向へと消えてゆく。
そうこうしているうちにAppleWatchのアラームが鳴る。
日が暮れる前に食事を済ませる予定の為、手早く食事の支度を終えると、美里はテントで仮眠をとっている2人を起こす。
ヴィルヘルミーナは寝覚めは良く直ぐに起きるのだがヘルガはどうも寝覚めが悪い。
「ヘルガ、ご飯できたよ」
「ん~もうちょっとだけねるぅ~」
それでも起きないヘルガに美里もやれやれとエッチな起し方をする事を決める、皆の前で躊躇なくヘルガの服を捲る。
「ふにゃ!?」
流石のヘルガも....
【自主規制】
「ふひゃえぁ!?あ...あああん!」
ヘルガが冷め切らない頭で自分の体を襲う快楽に抗えず体を跳ねさせる。
【自主規制】
「もう!カオルはもう!」
ひとしきりの悪戯を終えると、美里は満足そうにテントから出ると、テントの中からヘルガがブチブチと文句を言いつつ服を着る音がする。
「ヘルガ姉嫁様もちゃんと女に成れたと思うと感慨深いねぇ、旦那様様々だね」
「カオル様の御寵愛を独り占めできるなんて果報者ですね、でもクロエの前では少し声を抑えていただけると助かるのですが...」
テントから出て来たヘルガは周囲を見渡し状況を理解すると顔を紅潮させ羞恥に悶える。
なにせギルドメンバーと数百の骸骨死霊の衆目の中で破廉恥な行為をしてしまったのだ、テントの中とは言えあれだけ大きな嬌声を出し、美里に言われるがままの台詞までも口にしているのだ、まごうことなき痴女である。
「旦那様、余ったお肉はどうするんだい?」
「干肉にしたいところだけど、あまり時間もないしどうしようか?塩とハーブがあるし乾燥させるなら魔法で出来ないかな?」
「魔法で?」
「風に当て続ければ乾燥出来るんじゃない?試して成功すればラッキーな感じだけど」
「いやいや旦那様、魔法で作れる風なんて瞬間的な物だよ、ずっと魔法をかけ続けるなら団扇で扇いだ方が現実的だよ」
「そうなの?」
美里はエーリカへと話を振る。
「長時間そよ風を作る魔法は持ちえませんがこれだけの数の骸骨死霊がおりますので一晩中扇がせるのは可能です」
「なるほど!不死怪物だから疲れないし...ひいっ」
ヘルガの言葉に骸骨死霊は自分達の仕事かと一斉に可視化していた。
「ミーカの爺さんじゃないけど何滴か出ちゃったかも...」
「旦那様の種では?」
「ヴィー!!」
「あはは、姉嫁様もやっとそう呼んでくれたな」
女性耐性の低い美里的には女性同士のシモネタには突っ込みにくいが、2人が仲良くしてくれる事は非常に嬉しく感じた。
「そうだカオル!なんか幽霊が更に増えてない?」
「幽霊じゃなくて骸骨死霊な。何があってもいいように朝起きてから少し増やしたんだ」
「えっと....骸骨死霊?は心強いんだけど、ロリガやクロエみたいに可愛い子は召喚出来ないの?見た目が怖いんですけど.....」
「あ...そうか!何となく召喚してたから思いつかなかった!」
美里はポンと手を打つと直ぐに死霊秘法を開き霊魂召喚の項目をパラパラ捲りつつ顎に手を当て少し考える。
毎度外見に関してはおざなりにしていた為、エーリカから塊魂迄の霊体系召喚は全てヘルガベースである、そのせいで声もヘルガ似となり、目を瞑って聞けば一瞬判断に迷ってしまう事もある。
「よし、ちょっと実験してみよう」
美里は骸骨死霊の一体を手招きをして呼び寄せると、実験体にする了承を得る。と言っても美里が召喚した骸骨死霊である為、例え死ぬ様に命令しても従うのではあろう。
「ヘルガはどんな感じの見た目が良いのかな?」
「どんなことが出来るの?」
「わかんないけどイメージ通りの見た目に出来るか初挑戦。希望があればこの形から変化できるのか試そうと思う」
「白銀の狼」
ヴィルヘルミーナが声を挟む。
「狼?好きなの?動物かぁ」
「ち、小さな時に憧れてたんだ、大きな白銀の狼と一緒に狩りをする事。えっとクロの群れを見ていていいなぁってずっと考えてたんだ」
ヴィルヘルミーナは少し照れ臭そうに子供の頃の憧憬を口にする、そんな彼女はクロエがクロ達と街を走り回る姿を見て羨ましく思っていた。
「わん!」
「クロはクロエのパ-トナーでしょ?」
「わん」
クロは自分が居ると主張したのであろうか真意は解らないがヴィルヘルミーナは自分専用のパートナーが欲しい様である。
「わかった、骸骨死霊はそれでもいいか?」
「御心のままに」
「よし....狼....ん?」
美里は狼のイメージをしていた時にファンタジーの狼と言えばと思いつく。
「フェンリスヴォルフ.......」
「え?何それ」
「フェンリスヴォルフ、えっとフェンリル狼を思い出してた」
ヴィルヘルミーナにはどちらも聞き覚えが無い様であった。
「ふぇんりる狼?」
ヘルガも初耳の様で可愛らしく首を傾げた、その横でロリガもヘルガをまねて首を傾げる。
うんヘルガはやっぱりかわいい、しかしロリガはあざとさしか感じない。
「えっと俺の住んでた所でのお話で神様も食べちゃう大きくて強い狼だよ、こっちではそういうお話とか怪物とかいない?」
ヘルガもヴィルヘルミーナも心当たりが無かった様で大きく首を振る。
フェンリルは北欧神話に登場する神ロキと女巨人アングルヴォザの間に生まれた巨大な狼でファンタジーでも人気の怪物である。
大地を覆う巨大蛇のヨルムンガンド、疫病の女神ヘラ等の兄として『神々の運命』で活躍し、主神オーディンを噛み殺したとされる最強級の怪物だ。
「神を喰らう狼、カッコイイね!」
ヴィルヘルミーナは呟きつつ目を輝かせ、死霊秘法のメンバーも少し興奮気味である。
「よし!先ずはフェンリルをイメージしてみよう、一度確定した形状の変化をするには物理構成を行って肉体を構成するか階位値構成をする必要があるみたいだけど階位値構成をあげるのは少し怖いので物理構成でためそう!準備良いかな?」
「何時でも」
強化付与の美里の確認に被検体となる骸骨死霊は膝をつき首を垂れる。
美里が被検体を対象に物理構成を発動する、被検体の体が黒い靄に包まれると直ぐに霧散する、暫くすると渦を巻き始め少しづつ新しい肉体が形成されていった。
しかしそこに現れたのは狼ではなく人間の姿、ヘルガによく似たアンデットであった。
「ロリガ?」
「ヘルガ姉嫁様だね」
其処に現れたアンデットは今までの例に洩れずヘルガベースの亡霊で、ヘルガとロリガの中間程、JKヘルガと言った処である。
「亡霊だな」
「亡霊?」
「エーリカやオリガ達と同じ霊体系の召喚霊に肉体を与えた時に進化した状態の名前なんだが.........だけど階位値を与えていないとリビングコープスと見た目は変わんないみたいだね」
肉体を与えられた亡霊は嬉しそうに体に触れ、受胎した喜びを静かに甘受していた。
「つるぺたもおなじ」
ロリガが指をさして指摘すると、ロリガの言葉に反応したであろうヘルガの方向から冷たい空気が流れる、美里は悪寒を覚え冷たい空気の出所は確認できないでいた。
「本当にカオル様はヘルガさんがお好きなようですね、しかし何でもかんでもヘルガさんにしてしまうのはどうかと思いますよ?」
クロアがフォローを入れると同時にオリガがロリガの頬をひねり上げる。
当のヘルガも一瞬瞳からハイライトが消えていたが、クロアのフォローに頬を染めてモジモジしだす、実にチョロいしギルドメンバーの思いのままに反応するヘルガは既にロリガの玩具と化していた。
「霊体から召喚出来るのは人だけなのでしょうか?」
「そこは要検証だなぁ、変にヘルガに似たアンデットが増えるのも困るしね」
エーリカの質問には美里も答えを出すことが出来ない。
「旦那様、クロの召喚はどうやったんだい?」
ヴィルヘルミーナ的には子供の頃の憧れはぬぐえないのであろう、狼の召喚を模索したい様だ。
「クロは死体と言うか道に落ちていた骨がベースなんだよ、他の犬達は墓場で襲ってきた野犬の群れを返り討ちにして、その死体を触媒にして召喚してみたんだ」
「わん!」
美里が説明していると突然クロが森の奥へ走り出す。
「あれ?クロ!どこ行くの?」
クロはあっという間に森の奥へ消えてしまった。
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いつも拙作『異世界のんびりネクロ生活』をお読みいただき、心から感謝を申し上げます。
誤字脱字も多く、申し訳ありません。
誤字報告いただけた方々には感謝しきれぬほど感謝しております、また作者も頭から読み直し修正しておりますので、生暖かくお見守りいただけると幸いです。
改めてイイネやお気に入り登録をいた皆さまへ感謝を申し上げます。
その一つ一つに癒され寿命が延びている思いでございます。




