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第42話 異世界の生活は臭くて汚いが面白い

第42話 異世界の生活は臭くて汚いが面白い

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基本的には迷宮ダンジョン帰りの冒険者は汚れている,

そして臭い。

現代日本人の意識がまだまだ強く残る美里薫には、汚れと臭いを我慢するのは酷である。


否、この世界がそもそも何処も彼処も臭くて汚いのだ。


臭いも汚れもそのうち慣れてしまうものだが、ふとした瞬間に気になる、特に自分のインスラへ出入りする時には凄く気になる。


とは言え体を洗うには迷宮(ダンジョン)広場の脇にあるかけ流しの打込み井戸位である。

多くの冒険者はそこでザックリと汚れを落とす、今回も広場を出る際に濡らしたタオルで軽く拭いたが、臭いも汚れもそうそう取れるわけではない。



となると当然どこかでちゃんと体を洗い流したい、むしろ毎日シャワーだけでも浴びたいのが本音である。

転移以降ば、時間があれば井戸で水を汲んで部屋の中でタオルを濡らして体を拭くというのが美里の重要な日課である。


美里から聞いた衛生観念に対しては強い興味を示し、それを普段見ていたヘルガもタオルで体を拭く習慣を身に着けた。

ヘルガに関しては愛する男に身綺麗に出来ていないと見られるのも羞恥の極みであったが、清潔にするという行為がとても気持ち容易と言う事に気づいてしまったのだ。


得に娼婦をやっていると色々不衛生な物に対して気になっていた部分も多く、公衆衛生の説明を行うと清潔への欲求が日々増していた。


更に美里の起す下水事業、公衆トイレや公衆浴場(テルマエ)建設の話をするとその内容にも興味津々である。


特に公衆浴場(テルマエ)に付属する美容やエステ的の事を話すと興味を持ったようで実に女の子らしい理由である。


なにせこの世界は中世以前の文化レベル、お貴族様はどうなのか知ら無いがヘルガもヴィルヘルミーナもヘリュもクロアも腋毛ボーボー、下もボーボー、タオルでお尻を拭けば拭き残しだってチョロッとある。


美里個人としては割とアリではあったのだが、美容関連に関してはヘルガが喜びそうだと考え、今後着手したいと考えていた。






食事を終えた死霊秘法(ネクロノミコン)のメンバーは、インスラの近くの井戸まで来ると美里が軽く体を洗うと言うので、結果パーティーメンバー全員が井戸端で体を洗いはじめた。


今の時期、夏場に井戸端で水浴びをする人間は老若男女問わず多いのだが割と羞恥心が少なく、堂々と浴びている。

美里も13歳くらいの女の子が裸で水浴びをしているのを見かけた時は、事件が起きないのかと驚いた物である。


主に美里自身が犯人になりそうであったのだが。


そして体を洗うのであればやはり石鹸の類が欲しい所である。

高価ではあるがこの世界にも石鹸は存在しておりヨシフの店で購入済みである。

大学の講義で古代ローマ帝国では洗濯や歯磨きをおしっこでしていたという小話を聞いていた為、少し怖かったのだがヨシフにその話をしたらどんな蛮族だとドン引きされて恥をかいたのはいい思い出である。


その後ヨシフから帝国では一般的に食器は灰や泥、衣類は重曹や炭酸ソーダを使うのが一般的と言う事も教えてもらえた。


石鹸も何個か購入したのだが、流石にパーティーメンバー全員で使うと直ぐに無くなってしうが、美里としては夜の事も考えるとここでケチることも出来ない。


だが意外にも歯磨きに関してはこの世界でも浸透しており歯木しぼくや歯ブラシを使い灰に酢を混ぜた物を使って磨くのが一般的である。そんなやり方で歯が綺麗なのは食生活に起因しているのかもしれない。

今はヘルガが美里の持ってきた歯磨き粉が(いた)くお気に入りで量に限りがある為、2人で大事に使っている。


そういった衛生用品は早めに代替品を見つけなければならないだろう。


「はやくカオルの言っていたお風呂に入りたいなぁ」

「風呂ってなんだ?」

体を洗いつつヘルガが風呂と口にすればヴィルヘルミーナも興味を持つ。


美里から聞いた公衆浴場(テルマエ)や公衆トイレ、下水の話を聞くと、娼婦の経験もあり悪所暮らしの長いヴィルヘルミーナも強い興味を示す。


サッパリした所でインスラに戻り公の場で話せなかった話や領主様のお家騒動の話、今日の収益に今後の迷宮(ダンジョン)探索(ダイブ)について相談しなければならない。


 


 

クロをラヘイネンペラヘ帰し、インスラに戻ると正味600を超える骸骨(スケルタル)死霊(レイス)は不可視化したままインスラの周辺で勝手に待機するように指示し、4号のみ部屋へ招き色々話を聞く事にする。


皆が4階の美里の部屋に戻ると霊魂(ウィルオウィスプ)を召喚して部屋を照らすと狭い部屋に寿司詰めで部屋に入る。


美里はキャンピングチェアに座るとヘルガがベッドの美里のすぐ脇に陣取る、その横にクロア、ヴィルヘルミーナ、オリガの順で座ると、衣装ケースにエーリカが座り、ヘリュと4号と4号を殺気の籠って居そうな目で凝視したロリガが扉前に立っている。



流石に手狭に過ぎたが、毎度ラヘイネンペラヘを使う訳にもいかない為、エサイアスに頼んでいるインスラの調達が待たれる。

予定では手に入るだけのインスラを手に入れてくれる予定であったが何棟手に入るのだろうか?



「では、今日の反省会をいたします」



「えっと、今日の反省だがヴィーの感覚を取り戻す為の迷宮(ダンジョン)探索と言う予定だったが、これは達成できたのかな?」

「あぁ、カオルのお陰で刺激的な体験もできたしな、満足だ!むしろこんな安全に戦えたのはありがたかったよ、皆ありがとう!」

ヴィルヘルミーナとしても、中層のモンスターと戦い体慣らしには満足できていた様で何よりである。


「じゃあ次だが...今日もなんだかんだで普通に探索にならなかったけど反省点としてはやはり情報の収集の不足とか計画性が無かった事だろうか?」

美里の2回の迷宮(ダンジョン)探索(ダイブ)2回ともにイレギュラー発生と言うのは、タイミングもあるが情報収集の不足が大きい所である。



「前回の魔石土竜ませきもぐらに関しては私が見落としていたからだよね」

「都市軍の訓練については現役の冒険者が居れば前もって確認できたかもしれませんが、今日の様な事態はどうしようもありませんね」

「都市軍の横暴も魔石土竜(ませきもぐら)の横暴もデルーカの冒険者の中ではよくある事だ、気にする程でもない、情報収集は何度も通っていると幾らでも融通は利くし、あのミーカが配下に居れば今後は問題ないだろ?」

ヘルガ、クロエ、ヴィルヘルミーナそれぞれの意見が出たが、今回はただの結果オーライである。


しかし別にミーカは手下ではないと訂正だけしておく。


「今後は死霊レイスどもに広場や内部で24時間365日情報収集をさせましょう」

「そうなると今回の異常現象との関係を調べなきゃ駄目だよなぁ...」

オリガの提案を参考に美里は考えた。


「確かに迷宮(ダンジョン)迷宮(ダンジョン)外からの想定外の遺物を排除を考えたとすれば、大きな原因になっているやもしれませんが今は確実な原因とは断定出来ません。冒険者に発見される様子もなければ迷宮(ダンジョン)のモンスターに害される様子もありませんでしたので今後色々な調査は必要でしょう」

「今は何もわからないからね、知らない事は怖いから、調べられる事は優先して調べた方がね、一通り任せて....いや専門部隊を作ろう」

エーリカの提案に美里は肯定したが、ふと思いつく。


「4号、君さぁ迷宮(ダンジョン)の情報を色々調べてもらえるかな?」

「承知」

ヘルガの声を重々しくしたような声で、彼女が不機嫌な時の声に似ていて少し怖い。


「ひとまず連れ帰った骸骨(スケルタル)死霊(レイス)を100体連れて迷宮(ダンジョン)に潜伏をお願いするよ、内容的には広場での噂話の収集と迷宮(ダンジョン)中層迄の監視かな」

ロリガに睨まれている4号は、ロリガを完全に無視し、美里の命令に恭しく(こうべ)を垂れ了承をする。



「あと4号は何で1人だけそんなに強くなったんだ?」

「特にと言う理由は有りませんが下層の入り口付近には稀に死霊(レイス)級が出現するので中層に上がってきた者が向かってくる事があり殲滅していた結果、アストラル量が増加した為と思われます」

単純に経験値によるレベルアップなのだろうか?


「じゃあ、下層の冒険者の出入り監視も含めて下層の入り口付近でアストラル系のモンスターは片っ端から食べてみてくれる?一応頻繁に状況を報告しに来てほしいんだけど特に4号の成長に関しては今後のデスマーチ軍団レギオンの方向性にもかかわるからねって....あぁ、忘れないうちに4号にも名前を付けなきゃいけないね」

「後輩にはまだ早い!」

ロリガが反対をする。


「却下!」

「はぅ!ロリガのあいでんてぃてぃがうすれてゆくぅ.....」

このチビッコは何処からそんな言葉を覚えて来るんだ・・・


「4号、交代とか休憩とかどんなペースがいいかな?」

「主様そんな、(ワタクシ)にその様な物は一切不要です、24時365日闘えます」

ブラックすぎる・・・まさにデスマーチ軍団(レギオン)



「じゃあ忘れないうちに名前も付けておかないとな」


牛若丸三郎t・・・ぃやこれは世界観が違うな・・・・


Regai・・・・・なんかよくない気がする・・・


「そういえば4号って性別はどっちだ?」

「御座いませんが、主様ぬしさまの御随意に」

部屋全体を見渡し、初心を思い出す。


「男にしてヘルガに目移りされると困る、女にしよう。俺は嫉妬深いんだヘルガは俺だけの女だからね」

と点数稼ぎを試みると、見事に成功したのかヘルガの目が丸くなり、みるみる顔が紅潮し俯いてしまう。


「カオル、アタシ達はどうでもいいのかぃ?」

「も、もちろんヴィーも俺の女だよ!?」

ヴィルヘルミーナの突っ込みに一瞬焦り言葉を追加する。



「じゃあ、先に4号の階位を一つ上げておこう」

「ええええええええええええええ!?」

これには、ロリガがかなり本気で動揺する、流石に可愛そうかとも思ってしまう。今の段階で4号はロリガに近い力を持っていると感じる、階位値ランクをあげれば間違いなくロリガの格上になってしまうのだ。



「ロリガは今後、悪さはしないか?」

「しないしない!ロリガこそ優等生のみほん!」

「優等生って意味わかってる?」

少し悩んだが、ロリガの階位も上げる事にする。


すげえ信用できないが、ロリっ子ヘルガだと考えると正直可愛いので憎めない。しかしもう少し大人になってほしい者である。



そして悩んだ末にエーリカ達と同等の『階位値構成(ランクコンポジション)』と『次元値構成(ディメイションコンポジション)』をロリガに付与する。


「ふぉおおおおおおおおおおおおおお,,,,,,お?」

「「「ええっ!?」」」

皆が一斉に驚いた、それも当然である。

半実体化したロリガの体は少し成長していた、今までは11歳程度つまりロリータだったのだが、今は15~16歳、ミドルティーンに成長したのだ。

しかしエーリカやオリガの様な角が無い、と思った処で額の生え際に小さな肌と同じ色の角が生えていた。


「ヘルガたんのティーン姿...イイ」

思わず呟いてしまう。


「ヘルガお姉ちゃんよりおっぱいある!」

ロリガの奴がとんでもない事を言い始めたせいで、ヘルガのさっきだった目が美里を射抜く。


このガキは体以外成長していない、まぁ三つ子の魂百迄と言うからね・・・



「よし!次は4号だ『階位値構成(ランクコンポジション)』!」

ヘルガの目線を胡麻化すかの様に大きな声で魔法を発動させる、しかしそこに居るのは美し女性ではなく迫力が倍加したあ骸骨であった。

そして明確な差異があり髪の毛が生え、頭には司祭様の様な帽子に衣装も司祭の様な艶やかな物に変化した。


「2人とも、結構変わったなぁ」


「恐らく創造された時の想像(イメージ)が成長の基盤になるのかと思われます。エーリカの力は主様を護る為に守護者としての強い権能(ユニークスキル)が備わっております。私にはパーティーを指揮する為に生まれた為、権能(ユニークスキル) 軍団(レギオン)祈祷(プレイア)が、4号は戦闘や情報の収集を行う骸骨(スケルタル)死霊(レイス)の上位種となる様に主様の思いが大きく反映したのでしょう」


想像が源なのか・・・オリガの言う事は非常に的を得ているのかもしれないそうなると転生特典の死霊秘法ネクロノミコンは生命そのものを生み出すとんでもないチート能力なのではないだろうか?


「ロリガは?」

「?」

「ロリガには何を求めた」

なるほど、そうすると何を思ってロリガを作ったのか?そういう事か!


確かに1号は警護の為に召喚した、それは間違いないし、そして階位(ランク)値を上げる時にはその内容が反映された。



2号・・・2号を作った時・・・・



「お....」

「お?」

「お留守番....」

「!!!!!!」

ロリガはがっくりと膝を落とす。


「あ、すこし大人になってほしいと思った」

「少し...ヘルガお姉ちゃんよりも大きくはなった」

そういえばロリガのヘルガの呼称が何かおかしい?


「おねえちゃん?」

「むっ、なんだかヘルガお姉ちゃん...て言いたくなった」

ロリガが自分でも不思議そうに言うとヘルガがロ映画に近寄りギュッと抱きしめる。


そういえば死んだ妹に似ていると言っていたのを思い出す。

もしかすると美里にあるをういった記憶や周囲の思いも取り込む事が有るのかもしれない。



「よし!済んだことは仕方ない4号!4号に名前を授けよう!」

















美里薫 享年36歳 やっちゃったことは仕方ないのでうやむやにすることに決めた。

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