第40話 異世界で再びダンジョンへいこう⑤
第40話 異世界で再びダンジョンへいこう⑤
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「ヴィー、今から俺たち血盟デスマーチ軍団、ギルド死霊秘法の秘密を見せるよ」
「う、うん」
覚悟はしていたとはいえ、既に想像の範疇を超え過ぎた出来事を目の当たりにしているヴィルヘルミーナはこれ以上に凄い事が有るのかと少し緊張していた。
「エーリカ、号令を」
「承知しました我が主様、デスマーチ軍団の僕達よ可視化しここへ集え!」
エーリカが号令を発すると一斉に可視化した薄緑の光で構成された骸骨死霊達が天井いっぱいに現れると次々と地に降り立ち美里へ向かいに座をつく格好をし礼を取る。
当然ながらヘルガとヴィルヘルミーナは本来は任類の敵と認識される死霊の更に上位種と思われるものが安全地帯一面を埋め尽くしているとなればいかに覚悟をしていたとしても恐怖に抗う事は出来ず言葉一つ発することが出来ずにいた。
「これが俺たちデスマーチ軍団の主戦力になる骸骨死霊君たちです!どう、2人とも?」
ヘルガもヴィルヘルミーナも互いに抱き合い硬直したままで美里の言葉が耳に入っていない様であった。
「......骸骨死霊達、この2人は俺の嫁さんだ何かあれば最優先で守ってくれ!」
「「「「「「「「御意」」」」」」」」」
一糸乱れぬ一斉の返答にヘルガとヴィルヘルミーナはビクリと体を跳ねさせる。
「2人とも大丈夫?」
美里の確認に無理やり頷く2人にちょっと面白くなってしまう。
「お前達、2人が怖がってるじゃないか!怖くないって判って貰う為にマイムマイムだでもてなすのだ!」
そして唐突に始まる300を超える骸骨死霊のマイムマイム、
「「ひいいいいいいいいいいいいいいいいい」」
安全地帯に2人の悲鳴が轟く
「エーリカ、折角なので骸骨死霊を増やしたいんだけど、増やしても管理できそう?」
「はい、そこに問題はございません。1万でも2万でも主様の為に見事指揮をこなしてお見せ致します」
「万て...そんな召喚したら俺が死んじゃうって」
等と話をしている間も2人の悲鳴は続く。
「じゃあとりあえず無理がなさそうな一気に100体行ってみよう」
美里は死霊秘法を取り出すと『死霊召喚』で骸骨死霊を100体召喚する、しかし問題は無い。
2人の悲鳴は続いている。
もう100・・・
成功
もう100・・・
成功
「今日はこれくらいにしておくかな」
既に安全地帯には600体の骸骨死霊が生れ、召喚されると直ぐにマイムマイムの輪に加わっていく。
「カオルーたすけてー!はやく!!」
ヘルガの悲鳴に、自分で止めいないと延々をマイムする事を得理解するが、600体の骸骨死霊が地面のみならず円形の縦穴全体を覆うようにマイムしている姿は壮観であった。
Ushavtem mayim b'sason♪
mimainei hayeshua♪
Mayim♪ Mayim♪ Mayim ♪Mayim ♪
Hey, mayim b'sason♪
Mayim♪ Mayim♪ Mayim♪ Mayim♪
Hey, mayim b'sason♪
Hey♪ hey♪hey♪hey♪
Mayim♪ Mayim♪ Mayim♪ Mayim♪
Hey, mayim b'sason♪
Hey♪ hey♪hey♪hey♪
骸骨死霊達も何故かノリノリでマイムっている。
「主様!何をされているのです!!」
「え?!」
唐突にオリガが激怒してしまい美里も吃驚だ。
「ヘルガが泣いているでしょう!」
「あ...みんな~マイムマイム終わりで~す...」
骸骨死霊をかき分けオリガがヘルガを慰める。
「カオルはもう!カオルはもう!!」
「ごめん...」
後でヘルガを慰めるのは大変そうである・・・意地悪はしないに越した事はないと美里はそっと心のメモに残す。
ヴィルヘルミーナは美里の持つ秘密については事前に幾つか聞いていた。
『無詠唱魔法』と『アンデットの創造と使役』、すでに中層には300を超えた大量の骸骨の死霊レイスを配置している事もだが、しかし聞くと見るとではは大きく違う。
「ふっ...ふはははははははは!」
ヴィルヘルミーナが突然笑いだす。
「ヴィーもごめんね?」
「いや、いや、いやいやいやいやいや、カオル!貴方は凄い私の旦那様はこんな事が.....こんなの最強じゃないか!」
ヴィルヘルミーナが美里に飛びつくと頬を摺り寄せて歓喜の声をあげる。
眼の前にいる骸骨死霊全てが美里の配死する霊体だと言うのだ、美里の力の限界がの底は見えず、まさに神の如き雄にヴィルヘルミーナはl心の底から見惚れてしまう。
「ちょっと!ヴィルヘルミーナ!だけずるい!」
ヘルガも負けじと美里に飛びついてくる、これでヘルガの気も紛れていると良いのであるが。
「2人とも、今は中層の突入が先です、発情するならば帰ってからゆっくりとなさい」
エーリカからお叱りを受け2人は今の状況を思い出す居住まいをただす。
「と言ってもこれだけの上位死霊がいるなら中層も簡単に殲滅できちゃうな」
「我らの目的は元より貴方の肩慣らしですよ」
「そうだ、じゃあエーリカ適当な通路をひとつみつくろってそこに入ろうか?その間に空いている骸骨死霊は中央通路の怪物だけ殲滅させられる?」
「それであれば下の安全地帯から中央通路の怪物と中層全体の霊体系統の怪物のみ殲滅しましょう、それならば2人への危険を最小限に出来ましょう。その後は骸骨死霊達に目ぼしい素材を回収させて集めておきます」
「そっか、中層の怪物を殲滅する必要もないし、これだけの戦闘した後に下層まで行くのもおかしいもんなぁ。じゃあ中層の安全地帯と中央通路のだけ制圧して骸骨死霊達に中層にいる霊体系怪物だけ倒してもらおうか?」
「お望みのままに」
「ついでに骸骨死霊達に採取とかもさせられるかな?人のいない今ってとり放題じゃない?」
「素晴らしいお考えです、採取は良質な魔石と魔水晶、魔鉱石に絞ってよろしいでしょうか?」
「OK!じゃああとはヘルガとヴィーの訓練用に手頃な枝道も探しといてね」
「承知いたしました」
「さて、エーリカさんや、サクッと中層側の安全地帯を奪還しますか」
「それでは直ち.....」
エーリカが骸骨死霊へ命令をする前に再び起きた。
「アララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ―――――――――――――――――――――――――――――――――――ァァァイ!」
「「「えええええ!?」」」
美里、ヘルガ、ヴィルヘルミーナの3人が声を合わせて驚いてしまう。
もちろん雄叫びの犯人はクロクロコンビなのだが、何より驚愕させられたのが、40mは有ろうかと言う中層への大洞穴を階段を使わずに文字通り飛込した事である。
「クロエ~~~~~~~~~~!」
美里は悲痛な叫びを上げ階段まで走りだし遥か下の中層安全地帯をのぞき込む。
「「わああああああああああああ」」
ヘルガとヴィルヘルミーナも美里の後を追う。
エーリカは少しムッとした表情で、クロアは両手で顔を覆って恥ずかしそうにしている。
美里が中層をのぞき込んだその直後に下から轟音が鳴り響く。
霊魂により煌々(こうこう)と照らされていた中層の安全地帯の中心が大きくえぐれまるで爆弾でも投下されたかの様そうである。
そのクレーター内では僅かに生き残った怪物をクロクロコンビが元気に虐殺をしていた。
「いまあの子達は何をしたの!?」
「どうやらクロエの権能とクロの権能を使った攻撃を行った様です」
美里の質問に状況を俯瞰で見ていた骸骨死霊から状況を聞き取りをしたエーリカが呆れ顔で報告をしてくれる。
「あの2人?の権能ってなに?!」
「クロはブレス、クロエは魔素で周辺にバリアを張る能力があるようです」
「クロエは以前マナを使ってパンを切っていましたので、他にも能力があるかもしれません」
エーリカの報告に次いでクロアが答える。
「まじすか....クロエ恐ろしい子」
「ふむ、戦力は正しく把握しなければなりませんね、後程しっかりと確認いたしましょう。しれに命令系統の順守が重要である事を教えなければなりませんね」
「エーリカ、それは私から行ってもよろしいでしょうか?」
「お任せしましょう」
「あ!」
ヘルガが下を覗きながら声をあげると、全員が一斉に中層の安全地帯を確認する。
既にそこにはクロエの姿は無く、恐らく中央通路を制圧に行ったのであろう。
「っていうか階段は大丈夫か?」
「どうやら『使える』ようです」
美里の心配に対して、エーリカが答える。
「カオル様、娘が本当に申し訳ありません、念のため私が先に降りて安全を確認致します」
「お、お願いします。」
クロエも美里も唯々気まずい様子である。
暫くするとクロアが中層側の安全地帯に降りた姿が確認出来、手で大きく丸を作る。
パーティーが恐る恐る階段を降りると中程からは破砕した石が散乱し木の柱の一部に傷をつけていた。
土台に至っては柱の一つの土台部分のしたが抉れ宙に浮いている。
これはもう少し威力があれば正直危なかっただろう。
「主様、ただいま骸骨死霊から報告があり、クロエ達が中央通路の制圧を完了しこちらに戻ってきているようです」
「早くない?」
「枝道に居た霊体系怪物も全て『食べ尽くした』様です」
「マジか~」
階段を恐る恐る降りてきたとはいえ、命令を出してから15分程度しか経っていない、500mはある中層の中央路を大量に湧き出した怪物を倒して?
ヴィルヘルミーナはここへ来るまでの道程で死霊秘法のメンバー達の見せた人外の強さに、死霊秘法加入時に自らが放った言葉を思い出して羞恥の心がこみ上げる。
『荷物持ちでもいい、最悪パーティーの危機には犠牲になる事も厭わない』と言って加入を懇願したものの、現実は『荷物持ちしかできない』『最悪パーティーの邪魔はしない』の間違いであったのだ。
今朝のインスラ出発前、装備の確認をしていた時に、オリガよりヘルガとヴィルヘルミーナにだけ採取品の回収用のズタ袋を大量に渡された。
当然その時には『馬鹿にされた』とかなり頭に来たのだが、今となっては荷物持ちをさせてもらえるだけ最高の環境なんだと理解する。
なんなら、これから帰る迄に、どれだけの採取が出来るか楽しみになってもいた。
「ヴィーごめんね、本当なら今日は肩慣らしの為に色々楽しんでほしかったのに護衛ばっかりで。」
美里は戦えない事に不満を持っているのではないかと気を使いヴィルヘルミーナの浮かない顔に気を利かせたのか優しく声を掛ける。
「代りに帰ったら慰めてくれよ」
「それは任せとけ、今夜も泣いてもとまんないよ」
「ちょ...一階満足できればいいって...この前のはゴニョゴニョ」
ヴィルヘルミーナもジョークで返すが、彼女の後ろで殺人鬼予備軍が嫌なオーラを発していた事に2人は気づいていなかった。
「大丈夫アタシはブランクも長いし、このギルドに入れてもらったのは荷物持ちの様な物なんだから」
「少しづつ間を取り戻していってね」
そうこうしているとクロクロコンビが中層安全地帯へと戻ってくる。
戻るなりクロアのゲンコツが苦労の脳天に落とされる、美里は強化されたリビングコープスの本気のゲンコツとなるとどんな事になるのかと一瞬背筋が凍ったが、コツリと可愛い音がする物だった。
うん、いいお母さんである。
ただ怒っている事にはクロエもクロも理解しているのかとてもしょんぼりとしている、クロの巻いたしっぽが可愛い。
「カオルお兄ちゃん勝手に遊びに行ってごめんなさいいいいいい」
「く~~ん」
クロアが一通りお小言を並べるとクロエとクロが美里の前まで近寄り、クロエは抱き着きクロは擦り寄ると反省の様子を見せる。
「次からはちゃんとお母さんかエーリカに行って良いか聞くんだぞ!」
「はい!」
「わん!」
「じゃあ、クロエ隊員とクロ隊員に指令を与えます。」
「はい!」
「わん!」
「上に居るミーカさんに中層の安全地帯を奪還したって伝えてきてもらえるかな?」
「はい!」
「わん!」
「さあいってこい!」
「はい!」
「わん!」
美里の指示を受けるや否やクロクロコンビは階段を駆け上がらず、階段塔その物、手すりなどを足掛かりに垂直に駆け上がっていくと瞬く間に姿が見えなくなる。
「すっげ~」
「ちょと、クロももしかして物凄い怪物なのかい?!」
ヴィルヘルミーナは本日何度目になるかの驚愕の顔を見せる。
美里はただ肩をすくめて笑顔を作る。
20分程度するとクロエ達が戻り、ミーカ達が此方に向かっている事を確認する。
怪物が極端に減っている今の状態であれば30分程度で到着できるだろう。
折よく報告を受けている間に中層側からズタ袋を抱えた骸骨死霊たちがに集まり始める。
骸骨死霊も気にする様子は無く、戦利品を嬉々として美里へと献上する。
取りに取ったり米俵程ある大きな袋8つ分を抱えている、魔石や魔水晶は軽石程の重量の為大した重さが無いと思われたが、内2つの袋がやけに重い。
「これ凄く重くない?」
「数日前に冒険者が貴重な物だと言っていた『魔鉱石』と言う物が見つかりましたので回収いたしました」
骸骨死霊から発せられた声はヘルガによく似ていてかなり驚いてしまったが、どうやら貴重な功績を集めてくれたようだと骸骨死霊へ礼を言う。
「魔鉱石だって!?」
「うそ!?」
ヴィルヘルミーナが叫ぶと続いてヘルガも驚きの声をあげた。
「中層で魔鉱石が取れるのかぁ........これは大収穫よ」
ヴィルヘルミーナの驚きを見るに、かなり高価な物だと判る。
「これってやっぱり魔法の武器とか防具が作れるやつ?」
「そうだよ!でもあれだね、広場に居る貴族や軍に見られたら面倒だね」
「え?なんで?」
「え?」
「え?」
「ヴィルヘルミーナ、我々はこの国の在り方に疎いのです、理由を主様へ説明してください」
「あ、そうか。魔鉱石は加工して魔鋼に精錬できるのは判るよね?希少でこのダンジョンも下層の深部まで行かないと見つからないし、簡単に見つかる物でもないんだけど貴族が魔法武器の精錬の為に独占してるんだ。見つかれば安く買い叩かれるか因縁を付けられて献上させられちゃうんだよ」
「こわ!」
エーリカに促されてヴィルヘルミーナが説明するが内容が酷い。
迷宮の掃除したうえで収益を巻き上げるとかドンな屑貴族だ。
「いざとなったら殲滅すればよろしいかと」
「「............」」
エーリカの台詞にヘルガもヴィルヘルミーナも何とも言えない顔をしている
「出来る限り穏便に頼むよ、もめ事はかんべんしろ下さい」
「善処いたします」
エーリカは主の命に恭しく首を垂れる。
「では主様、そろそろヘルガとヴィルヘルミーナの訓練に出ましょう」
「じゃあ俺は荷物番してるよ」
「え?カオルはいかないの?」
「荷物を放置する訳にもいかないでしょ?」
「じゃあ、クロエがカオルお兄ちゃんと残る!」
「ワン!」
「じゃあギルド魔石土竜が到着するくらい迄頑張ってきてね!エーリカ、オルガよろしく!」
「「承知足しました」」
エーリカ、オルガが
「クロアさんもヘリュも怪我しない様にね」
「「畏まりましたカオル様」」
返事をすると6人は戦闘訓練へと向かい、美里とクロクロコンビは出来立てのクレーターが痛々しく残る中層安全地帯へ残る。
美里はギルド魔石土竜が到着する迄の間に、自らの権能と言えるチートスキル死霊秘法を開き、基礎理論を読み返す。
文字化けや、詳細不明な部分を読み込むことで何か新しい発見があるのではないかと考えていたがファンタジー知識がゲーム程度の彼には中々理解は難しく理解は遅々として広がらない。
更に30分ほどすると上層から物音と人の声がし始めると暫くしてミーカを先頭に魔石土竜の主力の面々が現れる。
「こりゃあ凄いのぅ、カオル殿の魔法と考えてよいのかのう」
「ミーカさんお疲れ様です、まぁそんな感じですね。霊体系統のモンスターは排除済みですけど、虫型はいっぱいいますんで注意してください」
「ほっほっほ、中央通路は粗方片付いてるんじゃろ?」
「はい、後は枝道に残ってるだけですが、中央道に出て来てるとは思うんで注意してください」
「ほっほっほ、では時間までは枝道で稼がせてもらおうかの」
価値の高そうな物を優先に回収しているが、まだまだ価値の高い魔水晶、魔石はかなり残っている、入場1時間程度で取り返したなんて言う話は軍から見れば大事件になる為、後4時間程度は時間を潰そうと言う話になっていた。
「じゃぁ中央通路も灯り付けますね」
美里は霊魂を中央通路全体を照らす為に召喚すると霊魂に均等に並ぶようにと命令する。
霊魂はふよふよと中央通路に並んでゆく。
「「「「うおぉぉ.........」」」」
魔石土竜の面々も良さとの破天荒さに慣れ始めたとはいえ、長い距離がある中央通路全体を照らす魔法という異常な魔法を見せつけられれば開いた口が塞がらない。
「4時間くらいしたらクロエとクロが知らせに行きますので吠え声が聞こえたら撤収してください。お知らせしてから少ししたら軍にばれないように霊魂は消してしまうので早めに撤収してくださいね」
「ほっほっほ、カオル殿、何から何まですまんのぅ」
「じゃあ皆さんも気を付けてください、内の嫁も1パーティーで浅い所を探索中なんで気を付けてください」
「承知致しました、野郎ども全力で最奥からありったけさらって来い!聞いた通りモンスターが沸いたらでけえ声でしらせるんじゃぞ!残りカスぐらいは自分らでやれる所をカオル殿に見てもらうんじゃ!」
「「「「おう!」」」」
気合を入れた魔石土竜も中層へと消えていく。
◆
4時間後、死霊秘法と魔石土竜は各々の戦闘を終え安全地帯へと集結していた。
「カオルただいまー」
「カオル、ただいま」
「カオル様ただいま戻りました」
6人は一様に機関の挨拶を終えた
ヘルガが抱き着いてくると軽いキスをして頭を撫でてやる、ヘルガがそのまま離さないのでヘルガを抱いたままヴィルヘルミーナとも軽い口づけをした。
「ヴィーは久々の迷宮戦闘どうだった?」
「カオルありがとう、だいぶ動けた気がするけどマダマダだね、この目と指が無い分、戦い方も工夫しなければならないし感覚はまだ下層の敵には追いついていかない、もう少し中層で感覚を慣らす必要はあると思う」
だいぶ汚れ疲労の色も濃く見えたが、ヴィルヘルミーナのとヘルガの顔を見ると、満足の行く手ごたえを得た様だ。
続いてクロアとヘリュもキスを求めた為、キスをする。
ヘルガの目に一瞬殺意が籠ったのを感じて背筋に凍った物を感じたが、流れ的にそう言う物だとキスしてしまったが駄目だったようだ。
2回目の迷宮を探索も飛んでもないトラブルに見舞われたが、大成功と言えるだろう。
方や魔石土竜も採取し放題と言う笑いが止まらない状況で利益が出たのか、ミーカは笑いを隠せていなかった。
「さてカオル殿、ワシらの分け前は2:8程でよいかのう?」
ミーカが魔石土竜採取した物の分け前の話をしているのだろう、安全の確保したのはデスマーチ軍団であるので当然である。
しかし流石に分け前が2割と言うのも納得出来ないが、今後の都市政府と何かあれば全て彼に任せられると思えば多少の妥協は必要であろう。
なにせ魔石土竜のメンバーも最終的には17人も使役して奪ってしまっているのだから。
「3:7でどうでしょう?」
美里は欠片ほどの勇気をを振り絞り、少し値切る。
「ふぁ?!それでいいのですか?」
何やらミーカは驚いていたが、最初から吹っ掛けていたのかもしれない、つまり交渉だったのだ。
美里はしまったと思いつつも勉強をしたとして3:7の分配で了承をする。
「では7割はカオル様へお納めいたしましょう。どのような収穫があるかもわかりませんので計算次第、収穫物を書き留めた物をラヘイネンペラヘお届けします。その後現物か現金化かご希望の上でお渡しします。嘘偽りが起こらぬよう誓いましょう」
あれ?取り分の割合逆だったの!?
話をちゃんと聞かないと損をする、今更否定できる胆力が美里には無く、ミーカの言う通りにする事にした。
また1ついい勉強をした様だ。
その日はミーカでさえ見た事の内程の莫大な収穫が得られた。




