第26話 異世界でダンジョンへ行こう⑦
第26話 異世界でダンジョンへ行こう⑦
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中層の安全地帯の門を出ると巨大な洞窟が直線に伸びていた、事前の情報では中層は天井が高さ30m、花は12~3m程ある直線の通路だ。
中央通路自体は500m程の直線が続き、途中左右に規則的に並ぶ数多い横穴、枝道と呼ばれる3m幅の細い通路が存在する、地図を見ると魚の骨の様な形状であった。
その枝道の先からは上下左右複雑な立体迷路になっているのだが、各枝道の入り口には枝道に割り当てられたの数字の看板が張り付けられていた。
また中央通路自体にも細目に看板が設置されており、帰り路、安全地帯の方向や距離が確認できるようになっている。
そして中層も長い年月の間に下層までの正しい道へ行政府により舗装が施されている。
しかし本日は舗装路付近の怪物は都市軍により綺麗に駆除済みである。
なるほど国内の薬品の原材料や魔石の鉱脈として、長年帝国と都市デルーカの経済に大きく貢献している迷宮である、労働力たる冒険者の利便性と安全性の向上の対策がしっかりとされている。
中層は結構強めのモンスターが出現する様だが、実力に見合わない冒険者が帰りうちに会う分は自業自得であろう。
入ってみて理解できたが大型の虫型怪物と呼ばれる生物だけではなく、鼠や通常サイズの普通の虫もかなりいる、死体等は短期間で跡形無く処理してしまうのだろう。
そして通路脇には大量の白骨が積まれている。恐らくは親切な冒険者たちが枝通路に残った遺骨を中央通路へ運んでくれているのかもしてない、何十年という期間にモンスターか又は何者かに殺されてきた歴史である。
まぁ装備の殆どははぎとられてはいるのだが、ここは召喚素材の宝庫ではないだろうか?
問題は労働者たる冒険者同士の抗争だろうけれど、魔力土竜が裏の支配者としてその治安を担保しているのかもしれない、良くも悪くもだが。
行政側は採取/採掘計画の生産量が足りて入れば、多少の不都合な問題はは許容されているのか、もしくは現場の役人や都市軍兵の小遣い稼ぎになっているのか。
どちらも有であろう。
ギルド死霊秘法は城塞都市デルーカの迷宮の中層通路を進む、入り口に近い枝に道はモンスターの出現率が非常に少ないが取り残しなのか帰りに採取予定だったのか採取対象の植物が散見され、ヘルガ達に色々と説明を受ける。
ふと枝道を見れば中層浅部の枝道の中に、冒険者達が採取や戦闘を行っているだろう明かりが見える。
今日に限っては都市軍訓練のお祭り参加の中層には慣れない連中が安全そうな場所を確保し浅部は満員御礼の様だ。
かなりのパーティーが参加しているお陰でかなり奥まで満室である。
およそ中央通路の2/3を過ぎた程の場所に下層へ向かう枝道の看板を見つけた。
しっかり地面に石畳の舗装が続いていた為間違いはないのであろう。聞く所に由れば中央通路のここから奥が中層の深部と言う事だ。
通常時であればここに至るまでにかなりのモンスターと遭遇する物らしいのだが、ここまでの道すがら都市軍の蹂躙に遭った怪物の死骸の散乱を見たたけである。
お陰で様々な種類の死骸を確認し、その都度ヘルガとクロアが怪物の名前や特徴を詳細に説明をしてくれた。
そして、本日ここから先は都市最大のギルド『魔石土竜』が独占していると主張するかの様に、魔石土竜のメンバーが道に立ち塞がる。
「おい、兄さん、ここから先は満室だ、浅瀬に、いやぁお家迄戻んな」
よく見たら先ほどの取り巻きの1人が纏めているパーティーではないか。
「あれ?このダンジョンは結構広いからまだあいているところあるんじゃないっすか?」
美里がしれっと言いのけ、そのまま横をすり抜けようとする、もちろんオリガが真横で不可視化してピッタリと護衛をしている。
そして天井には美里が召喚した312体の骸骨死霊達がギルド死霊秘法を護衛していた、もしも骸骨死霊を見ることが出来たら彼らも気絶していたであろうし、この後の地獄を味遭わずに済んだのであろう。
「おいコラ、お前ら魔石土竜に喧嘩を売ってるのかぁ?いや売ってんだよな!」
道を塞ぐ魔石土竜のパーティーのリーダーらしき男が杖を構えると、他の6人のメンバーも各々武器を構える。
「貴方、ギルド鋼鉄の戦追ってご存じかしら?」
クロアが唐突に魔石土竜のパーティーリーダーへ問いかけた。
「あぁん?なんだそりゃ~あ~!あのドワーフがリーダーしてたパーティーか!」
都合よく普通に知っていた様で何よりである。
「貴方たちが始末したのかしら?」
微笑んでいる様に見えるクロアの目に殺気が籠る。
「最後に会ったのは分不相応に結構デカイ魔石持ってたのを覚えてるぜ、前から何度も魔石土竜に勧誘してやってたのに断りやがったんだったな~、なんだ?知り合いだったか、あいつらも命乞いすんのが遅かったんだよな」魔石土竜のパーティーリーダーはゲスな笑いを浮かべた
「命乞いをしなさい、地面にはいつくばって」
クロアが冷たく言い放つ。
「あぁん?何だ糞女、旦那の前で犯されたいのかぁ?いや、もう許さねえ、お前らみんな死んだぜ?」
クロアが煽ったのだが、事情は察したのでもう問題は無い、そして男は決定的な言葉を口にしてしまった。
ドサリと人の倒れる音がした、パーティーのリーダーが振り返ると他のメンバーが全員が倒れ伏していた。
「命乞いするのが遅かったみたいね」
冷たい眼差しで微笑むクロアと自分を囲む可視化された無数の骸骨死霊、男が見た生前最期の情景であった。




