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第12話 異世界も大変です

012-1-010 (編集版)

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美里の心臓は激しく打ち鳴らされている。


建物から抜け出した美里薫はまだ暗い空の下で大きく深呼吸をすると、その身に降りかかった裏社会の人間達とのトラブルを思い返し、心の底から恐怖が込み上げて来るのを感じた。


生前にそんな恐ろしい経験など縁遠過ぎて想像の埒外であった。


学生の間で行われる『オマエドコチューダ』といったおママごとではない本物の争い。


『殺さなきゃ殺される世界』


自分の安全を守る為に戦力の増強をしなければならないと意識を改める。


実際に死を意識するというものは経験しなければ理解できないものであった。


美里はラヘイネンペラヘのアジトを出ると直ぐに死霊秘法(ネクロノミコン)を開き、その体で相手に触れれば人間を昏倒できる程度の霊体(アストラル)値を付与した低位幽霊(ゴースト)を新しく5体の召喚する。


そして容姿には敵対者を威圧するイメージを加える、戦闘用に骸骨姿にボロボロの修道衣を纏わせた構成を行い、見た目からして怖い姿を完成させる。


この召喚したゴースト達を1号の指揮下に置きラヘイネンペラヘの中を監視させるのだ。


明日、美里がこの建物に戻るまでの間に建物からの逃走者、または侵入者が現れた場合、可能な限り殺さぬように制圧するように命じた。


しかし、小心者の美里はこの程度で安心出来るはずもなく1号の更なる強化を行う。


魔力引き出され過ぎないよう慎重に・・・


ネクロノミコンを開き1号を指定すると階位値構成(ランクコンポジション)を発動させと階位(ランク)強化に必要な霊体(アストラル)値と精神(スピリット)値の上昇を感じる。


大きく魔力(マナ)が引き出されるのを感じたが、やはり美里の総魔力(マナ)量から見ればまだまだ問題が無い量である。


1号の階位(ランク)値上昇成功を感覚的に感じては居るが、正直見た目には大きな変化はない。


「見た目あんまり変化はないなぁ」

「おぉ...おおおぉ感謝いたします、我が主よ」

「しゃべった!」

やはり声もヘルガによく似ている。


1号は口角をあげで笑みを見せ、自らの創造主への感謝を口にするのだがその目元は笑っていないことに不気味さを感じる。



おっぱいの大きいヘルガたんである、霊体のため触れることができないのが歯痒いが見た目は巨乳のヘルガたんなのである、非常に喜ばしい。


「我が主人様のお情けにより我は更なる力を得た事を感じております」

強化した事で眷属の制御の維持ができているのか不安を感じていたのだが様子を見るに問題がないようで少し安堵する。


「じゃあ1号、色々お願いしても問題がないかな?」

「あぁあ...ぁあ我が主人様よ、心よりお詫び申し上げねばなりません。いと尊き貴方樣の望みの全てを叶える事は出来そうもございません」

1号はその表情から微笑みを消し、両手の掌を見つめると大袈裟なほど悲しそうに答ると美里は1号の言葉に身構た。


何が起こったのかと緊張が走る。


強化によって知性が上がり自我を得た事で美里からの支配を逃れたのだろうかと恐怖が湧き上がる。


何せ1号は元々屈強な男を一撃で叩き伏せる力を持っているのだ、美里は自らの命の危険を覚悟した。


「おぉ、悲しいかな肉体(マテリアル)を持たぬこの身では、我が主様が愛おしそうに見つめてくださる胸部を使い淫らで激しく熱い肉欲を満たして差し上げる事も叶いません!触れていただこうとも、御身の指は空を舞い冷たき霧へ手を伸ばすも同然、あぁ、あぁあなんと、なんと悲しい事でございましょうか!」

1号は右手で顔を抑え左手で胸を持ち上げつつ大袈裟なまでに悲しみを表現する。


少しイラっとしたが、胸を見ていたことがしっかりとバレていた様でとても恥ずかしい。


「えっと1号くん、君にはさっき召喚した低級幽霊(ゴースト)達とリビングコープス達の指揮を頼みたいんだ、出来るだけ死人が出ない様に立ち回ってくれるかな?」

「拝命いたします」

1号は美里の指示を受けルト冷静な表情へ戻すと(うやうや)しく頭を垂れる。


不安が残るのだがここは1号を信用するしかない。


「そういえば1号は魔法とかは使えるかな?」

「はい、我が主様の御力を頂いた事により幾つかの魔法と素晴らしき権能を授かることが出来ました」


「え?権能?スキルの様な物?」

「どの様な表現が正しいかは被災なこの身に表現のすべがございませんが、我が主様より賜った権能の素晴らしさは何物にも勝る価値を感じております」

1号の権能の説明を求めると美里の次に眷属を統率し命令を下す事ができる能力らしく眷属を無限に増やすことができる美里の能力とは親和性が高い。


美里と別行動をとった際に現場指揮を任せたり、美里が指示を出せない等のトラブルが発生した場合には代理として眷属を指揮できるのだ。


その能力の有用性に感心をすると1号はその大きな胸を自慢げに張る。


「再確認するけど、俺の言うことは絶対?」

「絶対に御座います。我が身の胸も身も心も、その全ては主様の為だけに存在しております」

1号は恭しく頭を垂れるのだが、ちょいちょいと挟まれるオッパイネタが美里の羞恥心を煽る。


女性相手の目線は注意すべき事だと異世界に飛ばされて再認識させられる事となった、本当にごめんなさい。


1号とのやり取りで多少緊張感が緩んだのか急激な眠気が襲ってくる。


「では明日のお戻りになられる迄はこの建物全体の監視いたします、ゆっくりとお休みくださいませ、我が主様よ」

真剣な面持ちで胸に手を当てると1号は緩やかにその姿を不可視化し姿を消す。


不可視化していても美里にはその眷属の存在がよくわかる、これが召喚者と眷属の絆なのであろう。


「もし逃げ出す人が居でも、殺さない程度にしてね」

不可視化している1号とゴースト達に念押しの指示を出すと、ひつつ欠伸をつきヘルガの待つインスラヘと足を向けた。


とっとっとっと・・・


ふと足元を見ると、いつの間にか先程召喚していたリビングコープスのクロが美里の横をテクテクと並んで歩いている。


無表情だがスキップの様な軽快な足取りである。


「そっかクロは夜道を守ってくれるんだね」

ふと立ち止まり、クロのふわふわな頭を撫でまわし少しだけ心が癒された気がする。


クロかわゆす。


インスラの前まで到着したが流石に大家の許可もなく(クロ)を屋内に入れるわけにもいかない。


クロへは明日の朝まで玄関付近でゴロゴロしてくれるように言い含め、何か危険があれば吠えて教えてくれるようにお願いしてみる。


クロが「わん」と小さく返事返し3回クルリと回ると、玄関脇で座り込む。どうやら言葉は通じているようだ。


「異世界にきて早々、裏社会と関わるとかどんな罰ゲームだ」

美里は置かれた状況にボヤキつつ、ヘルガの眠る4階の自分の部屋へ向かう。


「ただいま」

美里は自室の前まで到着すると小さな声で部屋主の帰宅を知らせると、その声に答える様にゆっくりと扉が開く。


小さなヘルガの姿をした眷属2号、ロリガが美里を迎える。


部屋の中を覗けば、だらしない格好で眠るヘルガの姿が見える。彼女は深い眠りに落ちているのか、美里の帰還に気付く様子は全く可愛らしい寝息を立てている。


幸せそうに深く眠るヘルガたんが可愛い・・・だらしない寝顔である、守りたいこの寝顔。


そして目線をヘルガの胸元へと移すと、何か納得したかの様に何度か頷く。


ヘルガの寝顔を眺めつつ、彼女を起こさぬ様にベット脇に置かれた椅子へと座り目を瞑る。


今夜起きたトラブルを思い返し、実験を行うにあたり無計画過ぎたと反省する。


まさか、死体の知り合いが現れる事も。


まさか、死体が生前の姿で復活する事も。


まさか、その知り合いが怖い職業の人だった事も。


まさか、蘇生死体に着せる服が必用だったという事も。


結果的に彼女(ヘルガ)を巻き込む可能性を生んだ事も。


浅慮に過ぎた。


人が死んだ事、これからも恐らく人の命を奪う可能性がある事、今後異世界で起こる様々な事、それらと対峙する決意をすると扉の横に待機した2号へと視線を向けた。


「お前も強化しておくか」

死霊秘法(ネクロノミコン)取り出すと2号へ意識を集中する。


「お前は可愛いマスコットにしておきたかったんだがな」

そう独り言ちると階位値構成(ランクコンポジション)を発動し1号と同等程度の強化を行う。


緊張と疲労、そして慣れない魔力を使い過ぎの為か、美里は意識を失い、そのまま深い眠りに落ちてしまう。






zzzzzz...

ここまで異世界のんびりネクロ生活をお読みいただきありがとうございます。

稚拙な作文でありますが楽しんでいただけましたでしょうか?


少しでも楽しいな〜面白いかも?と感じていただけましたら幸いです。

もしよろしければ、イイネやお気に入り登録をいただければ作品の投稿の意欲に繋がりますのでよろしくお願いいたします。


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