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妖精とワイルドな王子様  作者: 爽健茶美
15/35

15 海デート②





 

 レイ達を降ろした船頭は、船の清掃やら折り返し運転までの間に船を定位置へ戻したり、休憩を取る前にやる事が沢山あったので、ワイワイ楽しそうにレイ達の後を歩くお客達を羨ましそうに見た。

 その群れから少し離れて、異世界人専用護衛のニールもいる。


 いいな

 私もレイ様の水着姿

 見たかったな


 船頭は肩を落として船を定位置につけると掃除道具を取り出した。



 レイはルカと手を繋ぎながら船を降りると、なぜか自分達の後ろをゾロゾロついてくる船のお客達を振り返った。 


「皆様もこちらへ?」


「き、奇遇ですね!ここは穴場なんですよ」

「あれぇ?アナタ、釣り場は向こうでは?」

「いやっ?今日はこちらで魚の様子を観察します」

「小島などいつでも行けますしね!」


 皆、それぞれ苦しい言い訳をし始めた。

 それを聞いた数少ない女性のお客達は、ハシビロコウの目つきになっていたが「ねえねぇ、ルカも水着の代わりは何か持ってきてるのよね?」「ったりめーだろーが」という会話を聞いた途端に急な方向転換をして、ししゃなりしゃなりとこちらも後をついてきた。


 ニールは、もうそろそろ慣れてもよさそうだったが、この世界の人々がどんだけ異世界人に憧れてるのか毎回色々な場面を見てきて驚いていた。

 あと、割と恥ずかしかった。



 レイとルカが一緒にお着替え小屋に入ると、お客様達は「密室であのような格好に!」と衝撃を受けた。

 ところがレイが最初にぴょこん、と小屋から出てきた時、男性陣は胸を押さえてガン見したが、レイは意外にも半袖短パン姿だった。


 ルカがゾロゾロついてくる男性の群れの目つきで色々と察し「ビキニは可愛いけど、今は上にコレ着とけよ」と不思議がるレイに無理矢理着せたのだ。

 男性陣は少しだけガッカリしていたが、それでもこちらでは下着の上に透けないキャミソール姿で現れたも同然の姿だったので、可能な限り自然な動きでチラ見をし続けた。


 女性陣は、また例の鳥の目つきをしていたが、鍛えられた細マッチョな上半身を惜しげもなく晒し、膝までのこちらも短パンを履いてヒョイっと現れたセクシーなルカに、鼻血が出る一歩手前まで興奮した。


 そしてニールだけが鋭い目つきを更に例の鳥仕様にして、そんなお客達を眺めていた。



「ニール、屋台とかあるから適当に何か食って待っててくれよ。金は後から請求していいからな。レイ、ほら行くぞ」

「ルカ、待って〜」


 二人は手を繋ぐと慣れた様子でパシャパシャ膝まで海に入ると


「あ!よかった、全然冷たくないわ」

「てか温いくらいだな」


 と口々に驚いた。


 お客達は、そんな事で喜んじゃって可愛らしい、と微笑ましく眺めていた。


 ルカは「あっち行ってみよーぜー」とニョキッと水中に登りやすそうな高い木が生えている沖の方指差すと「えー遠いじゃない。ルカ抱っこして」とレイに言われていた。

 「お前なかなかに無茶言うよな?」とルカが笑うとレイは「だってルカ鍛えてるでしょ?これも鍛錬よ」とこちらも笑った。

 そして「仕方ねーな、首に掴まれよ」「はーい」とラブラブな二人はくっついてキャッキャ笑いながら「マジ溺れるだろ!上向いて浮けよ」「キャー」と楽しそうに泳いでいった。


 お客達は、私達は一体何を見ているんだろう、と

 虚しくなってきて一人また一人と去っていった。



 ニョキッと生えた木は、ガジュマルを巨木にしたような木で、黄緑色の葉っぱは伽羅(きゃら)のような上品な香りがした。


 結構泳いできたが、深いはずの海底が見えるほど水が清らかで澄んでいる。

 ルカは木の枝に足をかけると、レイをヒョイっと持ち上げ、僅かに水面から出た太めの枝の上に座らせ、自分も海中の適当な枝の上に立った。


「よし。もう脱いでいーぜー」


 レイは半袖短パンを脱ぐと、お胸をカバーしてくれるグラデーションの黄緑色のフリフリビキニ姿になり「うーん」と伸びをした。


「いーねぇいーねぇ。あれ?お前胸デカくなった?」


 ルカは、レイの白くて細長い脚を撫でまくるとニヤニヤ笑った。


「ヤダー、もうルカったら」


 ルカはフリフリ水着の威力をわかっていてわざと褒めてくれたのだが、日々お胸の成長を期待するレイには最上級の褒め言葉だった。


 ここまで来るとカラフルな小魚だけでなく大きめの黒っぽいお魚もチラホラ泳いでいたが、皆優しいお顔をしていて、レイ達に気づくと離れていってしまったので、レイは全然怖くなかった。


「良かった、こっちのお魚はお顔が怖くなくて」


 ルカが日本で海釣りをしてくる魚は高級魚らしいのだが、お顔が怖いものばかりだったのだ。


「ルカが得意気に釣ってきた鬼カサゴだったかしら?あの毒々しい色とお顔ったら凄かったわよね」


「まぁトゲに毒があって危ねーからな。釣ったらすぐ切るから大丈夫だぞ。それよか口開けたらヒラメなんかの方がマジ怖いんだぜ。歯がサメみてーだから、釣った後一番気使うんだよ。鬼の方はほとんど歯がねーからな」


「そんなこと知らないわ。とにかくこっちのお魚のあどけない可愛らしいお顔ったら。食べられてしまうのが可哀想なくらいだわ」


 レイが言うとルカが笑った。


「適当に泳いだら釣りするけどな」


「えー!」


「可哀想とか言うなよ、命に感謝して有り難ーくいただきゃいーんだからな」


 ルカは予めレイには伝えていなかったのだが、冒険者専門店で既にお魚捌きセットを購入していて、船頭のニーチャンに詳しい話を聞き、バッチリと釣りの計画を立てていたのだ。

 朝食はレイが「お船に酔うかも」と心配していたのでお城で軽く作ってもらって食べさせたが、お昼は海で釣った魚を食べようとしていた。


 そしてここでレイがとても重要な事に気づいた。


「ちょっと待って。餌は何かしら?」


「さぁな、可愛い顔した虫じゃねーか?」


「やっぱり!虫に可愛いとかないんですけど!?」


「そうか?」


「いいかしらルカ。背中に笑ったように見えるお顔がついた虫とかいるわよね?皆んなアレを可愛いとか言っているようだけど、頭がどうかしていると思うわ。よく見てみて?全っ然可愛くなんかないんだから!むしろ、あのふざけたお顔でこっちを油断させて、何かしてくる気満々なんだから!」


「虫だぞ?何も企んでねーだろ」


 レイがお魚の餌問題に反対してギャーギャー煩かったので、ルカは仕方なく小エビを餌にするお約束で釣りを許された。


 それから二人は潜れるところまで潜ってみたり、仰向けにプカプカ浮いて大自然を満喫したり、精霊様の浄化魔法でうっかり飲み込んでしまっても大丈夫だという海水の中でイチャついたりして、海をたっぷりと堪能した。


 ルカが「そろそろ行かねーとな」と、気分は釣りになったところで、レイの半袖短パンを肩に括り、今度はビキニのレイをちゃんと自分で泳がせて岸まで戻って来た。

 するとそこには、無愛想に佇むニールの横で、レイ達を乗せてくれた船頭が腰を下ろし飲み物を飲みながらボンヤリと海を眺めて休憩しているところだった。


 船頭は海から上がってきたレイの水着姿をモロに見てしまい、飲み物を吹いてむせていた。

 ニールも驚いて細い目を見開き瞠目した。


「あっヤベ」


 ルカが気づいたが、レイは涼しい顔をして濡れた髪の水分を両手で縛っていた。


「ニールお待たせ。あら、船頭さん」


「ごごごご機嫌、ゴボッようでございます!」


 レイが微笑みながら船頭に近づいた。

 船頭が驚愕の表情でレイを見上げた。

 レイは話しやすいように少し屈んで微笑んだ。


「帰りも船頭さんのお船に乗りたいです」


「乗っ……」


 船頭は真っ赤になって接近してきたレイを見て固まってしまった。


 ルカが「もーその辺で勘弁してやれ」とレイを片腕に担いで回収すると小屋の中へ入っていった。


 船頭はパタリと横に倒れ数分間気絶していた。

 ニールはため息をつくと、しゃがみ込んでグッタリとした船頭を介抱した。



 レイのお着替えが終わった後の釣りで、ルカは小エビを餌に大量のお魚を釣り上げた。

 レイはニールと岸でお留守番をしていたのだが、水着から普通のワンピースに着替えていたレイを見たニールに、


「あのさ、さっきみたいな服は破廉恥すぎるから、着るのやめたら?」


 と言われてしまった。



「お、イサキみてーのと鯛みてーのが釣れたな」


 ルカは慣れた手つきでサッサとお魚を捌いた。

 お昼は朝市で買ったおにぎりとルカのお魚のバター焼きやお刺身を食べ、船着場近くで売っていた何かの花の香りのお茶も飲んだ。

 お魚は全く生臭くなく、身も新鮮なのに柔らかくて、適度に脂がのっており、とても美味しかった。


 ただ、三人だけでは食べきれなかったので、道行く人や帰りの船頭さん、それから同じ船に乗り合わせたお客達に分けてあげてみたら、物凄く喜んでくれた。


 レイ達は「今日は海デートなんだし、お土産無しでもいいかしらね?」と二人で話していたのだが、海の朝市では王都で珍しいフレーバーの日焼け止め薬が沢山売っていたので、味も気になって我慢できずに色々な種類を大人買いしてしまった。



 お城に戻ると、今日のお土産は何だろう?という侍女と騎士らがレイ達のお部屋までの通路にウヨウヨしていたので、ちょっと怖かった。


 そんな彼らに「お土産は皆んなの休憩室に置いておくから、適当に好きなのを持っていってね」と微笑むと、どこからともなく現れた侍女頭と騎士団長がサッと一礼し、お土産をキッチリ数えて管理し始め、余ったら二個貰っちゃおうかな軍団をガッカリさせたのだった。







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