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いじめ部非化学班活動中!  作者: 花見和の如く
第一章:この部活はいじめを行なっている。/彼女は全てを知っている。
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1-0.ボードゲーム部

 皆さんは超能力というものを知っているだろうか。その名の通り、超常的な能力のことを指す。

 しかしどうやらその超能力者。


「この間夜に、見ちまった人がいるんだってよ。超能力者」


 存在するらしい……。


「あっそ」


 今俺が話しているこの相手、奥寺(おくでら) 幸作(こうさく)。こういうどうでもいい話を好んで喋る奴だ。

 そして俺の計画を一番に邪魔してきている彼こそが、俺の旧友にして迷惑野郎である。

 なぜ迷惑野郎か、それは俺の計画。

 ずばり新たな俺を作り上げる計画――名門高校(?)を受けて誰も知っている人がいない場所で普通の生活を送る計画を、阻止してくる人物の一人であるからだ。

 他にも


「はろはろー、こんっにっちはだよ~~」


 お馴染み天然にして幼馴染迷惑キャラ櫻井(さくらい) 美和(みわ)


「へっぉ!!」


 超謎迷惑謎ばかり変人キャラ永谷(ながや) 聖也(せいや)、と恐ろしく嫌な程に俺の知人は程にいる。しかもなぜか、このクラスに集中して!!


「美和!! 挨拶を重ねるな、そして聖也は謎の挨拶を製造しない!!」

「と言ってもな、これは僕にとって定番の挨拶何だよなぁ」


 聖也が首を撫でながら言う。

 俺は溜息をついた。それはそうだ、このままでは本当に、高校生活が危うい。


 誰かが一人三人くらいいてもいいじゃない? と言うかもしれない。

 ああ尤もだ。しかしそれが、俺でなければ。

 そう、俺は中学悪目立ちしていたのである。列記とした煩いオタクとして。

 だから今の俺じゃダメだ、変わらなければ、と思ったのだ。脱オタ・煩いキャラの卒業のために、誰も志望している友達がいないこの高校を選んだと行っても過言ではない……はずだったのに。


「なあ奥寺。お前中三の時訊いたよな? 第一志望と第二志望。オープンから併願の二つ。そしてその学校の中にこれ含まれてなかったよな?? この学校より下のところ言ってたよな??」

「いや~~ねぇ。仕方なかったんだよ。俺、頭悪いじゃん? どうせ落ちる学校志望しているのバレたら笑われる気がしてな」


 ……うん。恐らくここ通っている所為で、お前第一志望の学校通っている奴らに「この程度の試験落ちたのか」と思われているぞ??

 全く、そこを配慮できてないところが正しく莫迦である。


「まあ? 聖也は訊いてなかったし、良いとするよ。美和……お前第一志望から第三志望まで全部これより上、都内だったよなぁ。で、併願とか全然違う場所だったよな? てかここ併願学校じゃないし」


 そうだ、普通第三志望まで決めているなら、第三志望より低い偏差値の学校に行くことはない。それはあったとしても併願だ。しかしお前はそれより下の偏差値のここにいる。なぜ?

 予想できるが一応訊いてみる。


「うん、落ちた」

「うんやっぱりそうか訊いて済まなかった」


 ……あれ、でもそれにしては。


「じゃあなぜ併願じゃなくてここにい……」

「…………」


 うん、嫌な空気を察したのでやめておこう。


 はぁ。全くもって呆れるばかりだ。

 俺は知人が誰も入ることが無く、まあまあの名門の学校を探したはず。それは確かだ! まあ実は一人いることは知っていたが、そんなこの学校に、その一人以外の俺の知人が三人いるのだろう……。

 しかもよりによってこのメンバー。全員が目立つ陽キャたちということによって、俺はまた目立ってしまう。恐らく、また悪目立ちだ。

 高校生活、授業開始初日にして終わったらしい。


「あのな、俺は新たな学校生活を満喫したいんだ。お前らなんかに関わってると、また俺が悪目立ちする。違う意味でな。だからお前ら、あっちいけ。お前らなんかに興味ないんだよ」


 まあでも、俺もだから考えなしに諦めているという訳ではない。

 そう。俺はこういうこともあろうかとある程度どうするか考えていたのである。その名も……旧友を俺に興味向けさせないようにしよう作戦!!

 え? ネーミングセンスがない?? まあそれもそれでいいではないか。

 内容はとても単純。

 このように適当にあしらうのである。


「いやだからって入学してから誰とも話さないのは無いだろ~~」


 奥寺の言葉。

 まあうん、それは正論なのだがそれはお前らを警戒してのことなんだよ。お前らが関わらないことを約束したら新たな友人関係に花を咲かせるさ。

 そう俺が言うと三人は不思議そうな顔をする。そんな顔に俺は言葉を投げかける。


「いや仮に俺が違う人と話したとする。するとお前ら何するか? ああそうだ、昔の話を持ち出す。いやでもコイツ乙女ゲーム好きなんだぜ~~とか何とかいうだろ? 俺の昔の趣味に関して何か言うだろ!!」

「お、おう。よく分かってるじゃん」


「いや分かりたくねぇよ!!」


 ほらほら~、そんなこと言っちゃって結局私達と話したいんでしょ?

 そう言う櫻井が一番うっとうしいというか何言ってるか分からん。

 一つ、溜息。


式部(しきぶ) 雄士(ゆうし)君呼ばれてますよー!」


 そんなところで、俺の名前が呼ばれた。


「式部、呼ばれてるぞ」


「分かってる!」


 俺は他学年の人と思われるその人に駆け寄る。

 俺を呼んだその人は、何とも凜々しい俺の上の学年だと思われる女性だった。


「えっと、何でしょう」

「君が式部君なのかな?」


「あ……はい」


 茶色がかった長髪の彼女は、少し興味深そうに俺の顔を覗く。

 そしてしばらくすると、納得したように少し笑んだ。


「あの……何の用ですか?」


 俺が問いかけると彼女は「あ、そうか」とまるで用を忘れていたかのように言う。

 まだ何も話していないのに。


「いや~、ちょっとこれについて気になってね」

「これ?」


 彼女が指さすのは、入学後最初に作らされた自己紹介カード。

 何とも変なことは書いてないはずなんだが……。

 俺は俺の自己紹介カードを見直す。


「志望部活動、ボードゲームだなんて、珍しいじゃないか」


 確かにボードゲーム部、そう書いた。

 何せこの学校で最初に目に入り、興味を持った部活だったからである。

 将棋部、囲碁部、それらを差し置いて、というより統合してボードゲーム部。何とも変わったものだと興味をそそられるのは当然だ。


「だから一度会ってみたいと思って、ね」


 それだけだよ。すまなかったね。

 彼女はそう言って、髪をかき上げた。


「ああ、申し遅れて済まない。わたしはそのボードゲーム部の部長をさせてもらってる、杜美友紀(と みゆき)だ。君の入部を心待ちにしているよ」


 彼女は歩を進め始める。

 俺はその後ろ姿を、ただ無言で見てしまう。


 ボードゲーム部に入部したのは、それから数日後だった。

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