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2 憂さ晴らし

王城から離れて数日、


僕は近場の村でけがの治療なんかをして、


お金を稼ぎつつ、


生まれ故郷のウェルラントに向けて歩いていた。



・・・扉壊すのはやりすぎちゃったかな・・・。


悪いことしちゃったな・・・。


正直、僕は王に対しての怒りはない。


僕は今の彼の立場というものは理解しているし、


いずれこのようなことになるというのは予想していた。


だから、彼女たち勇者の成長を早めるように努力したし、


彼の立場が少しは良くなるように王直属の騎士団の指導にも当たった。



けれども・・・




・・・僕もまだまだ修行が足りないな・・・。




すると、急に変な気配を感じた。


ぞわぞわっ!


「な、なんだ・・・今のは・・・?」


何者かが魔術を使ったような気配。


その瞬間、体中に障壁を重ね、


様子をうかがう。


そして1分後、


「・・・何も起こらないな・・・ということは襲撃ではない・・・か?」


遠くに何かが見えた気がした。


そちらに向かって歩く。


すると、


「ん?


あれは?」


・・・祠か・・・?


恐る恐る中を覗き込むと、


2体の戦士の銅像が鎮座している。


そして、中央には手の形のオブジェにはまった指輪。


「・・・ここはいったい・・・?」


祠の中に足を踏み入れる。


瞬間、


部屋の中に引っ張り込まれる。


「うわっ!?」


尻もちをつき、


さする。


「痛てて・・・あっ!」


石造の一撃が振り下ろされる。


その瞬間、僕は障壁を重ね掛けて防ぐ。


「・・・危ないな・・・。」


しかし、


パリンッ!


「あれ?」


パリンッ、パリンッ、パリンッ、パリンッ!


「まずいっ!!」


障壁を重ねようとするが、


弾き飛ばされてしまう。


「うっ!」


ドンッ!


ゴロゴロゴロゴロッ!!


土煙が舞い上がる。


「・・・ははは・・・そう言えば、もう一体いたんだったね・・・。」


・・・5枚の障壁をいとも簡単に・・・。


「・・・これは魔王の幹部より強いんじゃないかな・・・。


こんな強いゴーレムなんて初めてだよ、ははは・・・。」


・・・・・・。


・・・・・・。


ガゴ~ン、ギィギィギィ。


ゴーレムが動いてくるのが分かる。


「・・・はあ・・・疲れるから嫌なんだけどな・・・。」


僕は体内のおびただしい量の魔力は放出する。


瞬間、2体の像が一気に襲いかかってくる。


目の前には先ほどまでと同じように障壁が現れる。


ガコ~ンッ!


「?」


「不思議かい?」


「・・・。」


「さっきは簡単に割れたものね。


当然だよ。」


「・・・。」



「突然だけど、僕はさっきまで教育者でね。」


「・・・。」


「突然なんだと思うかもね・・・。


でも付き合ってもらうよ。」


「・・・。」


僕は先ほど考えていたことを散々この玩具に話しかける。



「君にはわからないだろうけれど、


教育というものは難しいものでね。


教え子と同じ目線で教えることが胆なんだ。」


「・・・。」


「けれど僕は特異体質のせいか、


魔力の生成速度が常人の10倍以上。


最大の内積量に関しては30倍は優に超える。」


「・・・。」


「お陰でこんなに体型。


それが原因で追い出されてしまった。


途中で彼女たちの投げ出す羽目になってしまった。」


「・・・。」


ゴーレムは何度も何度も棍棒や斧を振り下ろす。


けれども・・・障壁は一枚も砕けない。


「・・・まだ1枚も割れないのかい?


それは残念だな・・・。」


僕の言葉に苛立ちを覚えたのか、


ゴーレムがさらに力を加える。



が、


まったくビクともしない。


「要するに僕は傷心中だったんだ。


・・・そんな中にね。


君だったかな?」


1体のゴーレムに視線を送る。


「僕にこんなに痛い思いをさせてくれたんだ。


だからね・・・お返しはしないとね・・・。」


ミシミシミシッ・・・グシャンッ!!


一枚の障壁で1体を押しつぶす。


「・・・少々、いたぶらせてもらうけど、恨まないでね。」


そこからは憂さ晴らしが始まった。



「・・・ふう・・・久々に真面目に動いたせいか、


体が軽いや・・・。」


先ほどまでの姿と打って変わって、


スラっとした男が立っていた。


「うわ~・・・久々だけど、こんなに痩せてたんだな・・・。


5年ぶりくらい?


・・・久々、細い方の僕。」


・・・・・・。



ゴーレムはピクリとも動かない。


というか・・・


原形すら保っていない・・・。


一体は最初の一撃でぺちゃんこ。


もう一体は燃えていたり、


雷を帯びていたり、


はたまた凍っていたりと見るも無残な状態。



・・・・・・。


「・・・何やってるんだろうね、僕は・・・。」


若干先ほどまでの自分のことを引きつつ、片付けを行う。


「このゴーレムの素材は・・・うわ~・・・すごいの壊しちゃったよ・・・。


これよく見るとアダマンタイト合金じゃないかな・・・初めて見た・・・。」


火や残った雷なんかを魔法で消しながら、作業をする。


「・・・壊しちゃったものは仕方ない。


持ち帰って、見分でもしようかな。」


いらなかったら、形を整えて売ってもいいしね。


収納の指輪を使い、中に入れていく。



それが一段落してから、


指輪の存在を思い出し、


祭壇から、指輪を外す。


「・・・あんなゴーレムを置くくらいだもんな。


この指輪はどんな機能があるのかな?」


指輪を鑑定する。



賢者の指輪


使用者の魔力を吸収し、貯めることができる。


最大容量、ユグドラシル2本分



「・・・これはすごいな・・・。」



・・・なんてものだ・・・。



・・・こんなもの世に出していいものじゃない。



現在、魔法国で確認されている最高峰の魔石で上位魔法数発分程度。


(因みにこれは僕が眠る前に安全装置として付けているものだ。)


・・・あの魔法国のものが霞むなんて。


・・・ユグドラシル・・・世界樹2本分・・・。


・・・・・・。



・・・まあ、僕にとってはちょうどいいものかもだけどね。


さっき久々に本気で動いてみてわかったんだけど、


なんか成長したせいか、


魔力の最大量が増えちゃったみたいだし・・・。


このまま成長を続けて行ったら、


寝ているだけで・・・なんて・・・。


笑い話のように語っているが、


成長がこのまま止まらなければありえない話ではない。




・・・持っていこう・・・。



というか、ゴーレム倒しちゃったし、


このままおいていくわけにはいかないからね。



そして指輪を手に取った瞬間、


体の力が抜け落ち、倒れ伏す。



・・・忘れてた・・・さっき魔力使いまくったんだった・・・。



体系が元に戻ったのなんて久々だ・・・


一体、何日眠ることになるだろう・・・。


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