06.03 「触って確かめる?」
「あれ……、戻ってない?」
鏡に映る顔は……、変わってない。今回はしっかり発熱したし元に戻れると思ったんだけど……
でも、無くなってる……、胸が真っ平らになってる!
って事は……、あるっ! ちゃんとついてるっ! ちょっと……、いやかなりちっちゃくなってるけど、
「戻ったんだ。僕、男に戻ってるよ!」
「透?」
凜愛姫の声だ。来てくれてたんだ。
「入って、凜愛姫」
透華ちゃん。それに義母さんも来てくれてたんだね。
「透……、戻ったって」
「うん、戻ったよ」
「えっと……、何も変わってないように見えるんだけど? ねえ、透華ちゃん」
「ええ。以前と同じお顔ですけど」
「えっ、まあ顔はあまり変わってないかな。自分でもまた失敗かーって思ったもん。でも体はほらっ」
パジャマのボタンをはすじて見せてあげる。あっ、支えるものを失ったブラが……、これも外してっと。
「どう?」
「お姉様の胸が……」
「うん、確かに無くなってるけど……」
凜愛姫の視線の先は……、あっ、うん、こっちか。こっちは……
「触って確かめる?」
流石にここで皆んなに見せると言うわけにはいかないからね。
「どうしたの、凜愛姫。確かめないの? 代わりに確かめてあげようか?」
いや、義母さんに確認されるとかはちょっと……
「確認なら私が。お姉様、いえ、お兄様、私に確認させてください」
実の妹にってのもちょっとな……
よく考えたら凜愛姫に確認させるってのもダメだよ。
「冗談、冗談。さっき確認したから間違い無いって」
「そうよね。本人が戻ったって言ってるんだから戻ったんでしょうね。そこは信じましょうか。でもー」
義母さんのこの表情……、碌でもない事言い出しそうな気がするぞ。
「ちゃんと機能するのか不安よね?」
やっぱり……
「ちゃんと機能って……、そうよね。透……」
確かにそれは僕も気になるだけど……、凜愛姫も気になる、よね。結婚の約束もしたんだしさ。
「確かめ……、ないとかな……」
「凜愛姫さん、ダメです、未婚の女性がそんな事。ここは実の妹である私がせ、せ、せ、誠意を込めて……」
「何言ってるの透華ちゃん。兄妹でそんな事させるわけには行かないじゃないっ。私は透と結婚の約束をしてるんだから」
「結婚って何の話し何ですか? 聞いてないですよっ、お兄様」
「だから、私が……、ね、透」
「えっ、う、うん。でもね……」
「お兄様、答えて下さい。凜愛姫さんと婚約したんですか?」
「そうだよ。うわ、ちょっと、透華ちゃん」
僕に抱きついて凜愛姫を睨みつける透華ちゃん。
「お兄様は誰にも渡しませんっ!」
気持ちは嬉しいんだけど、そういうわけにはねぇ。
「盛り上がってる所、水を差すようだが……」
大穴牟先生だ。
「機能するかどうかについての確認なら採取して調べてみないとな」
「「「採取?」」」
「だってそうだろ? 単に勃起すればいいってわけでも無いんだし、元気な精子が造られてるか確認する必要があるんじゃないかな? 彼女は妊娠を希望しているわけなんだから」
「それは……」
ぼっ、勃起……、精子……、妊娠?
「違うのかい?」
「……」
違わないけど……、そんなストレートに言われると……
凜愛姫も透華ちゃんも顔が真っ赤だよ。義母さんは、ニヤニヤしてるか。
「というわけだから、採取ルームに行こうか」
「だったら私も」
私もって、凜愛姫が?
「私も行きますっ!」
だから透華ちゃんはダメなんだってば。
「折角だけど病院の規則でパートナーに手伝ってもらうってわけにはいかないんだよ。代わりにそれなりのオカズは用意してある。今どきの高校生なら刺激が強すぎるって事も無いだろうがな」
◇◇◇
ううっ、凄かった……
何が『刺激が強すぎるって事も無いだろう』だよ。どうしよう、このまま出たら『早かったね』とか言われそうだし……、でも、ずっと見てたらそれはそれで何か言われそうだよね……
「透、えっと、その……」
お気遣いどうも。結局、こんな刺激の強い動画をただただ見ているというわけにも行かず、皆んなの所に戻ることにしたんだけど……
「ちゃんと出せたの?」
義母さん、ストレートだな。凜愛姫もそこは気になるみたいだけど。
「う、うん」
出るには出たんだけどね、やっぱ縮んでるよね、これ。病気の影響なのかなぁ。このままじゃちょっと悲しいんだけど……
「もしかして、サイズの事を気にしてるのかな?」
「……」
ううっ、図星。大穴牟先生もストレート過ぎませんか、ねえ。
「だったら気にすることはないさ。ついこの前まで豆粒程の大きさもなかったんだからね。そんな急激に大きくなったりはしないものさ」
「そうなんですかっ?」
「多分な」
「多分って……」
希望の光が見えた気がしたのに、多分ってなんだよ。
「まあ、そういう事例も確認されているようだから気にしないことだ。それに、サイズを気にするのは男だけだぞ。女からしてみればもっと重要な事がある。だろ?」
サイズより重要な……、凜愛姫もサイズじゃ無い……、のかな……
「えっ、私の顔見られても……」
「まあ、彼女と一緒に育てていけばいいんじゃないのか?」
凜愛姫と一緒に育てる……
凜愛姫が真っ赤な顔で僕を見つめてる。
「あの、凜愛姫?」
「えっ、何? 透」
「いや、何でも……」
育つ……、のかな……




