03.22 閑話:「仕方ありません。いつものように2人で勉強しましょうか」
中間試験の結果を受けて、四人で一緒に勉強しようと約束していたのだが……
「いつの間にそのような関係になったのです?」
水無が問いただしているのは透さんと伊織さんの関係だ。確か、つい先日までは違ったはずだ。少なくとも、こんな風に人前でイチャつくバカップルではなかった。水無が般若になりかけているのも判らなくもない。
「台風の夜かな〜」
伊織さんの腕にしがみつきながら透さんが答える。何とも幸せそうだ。
「強風で家が揺れて、電気も消えちゃってさあ。凄くドキドキしたんだ〜」
「それは吊橋効果というものなのでは?」
「吊橋だろうと鉄橋だろうとお互いの気持ちが確認出来れば何でもいいよねー、伊織」
「うん。そうだね、透」
この通り、伊織さんも否定しない。
はあ。こんな事になるなら一緒に勉強を、なんて言わなければ良かった。水無も同じ事を思ってるんだろうな。
伊織さんが着けているネックレスはあの時透さんが買ったもので間違いないだろう。リアラなんていう架空の幼馴染まで設定してね。
只のボディーガードか。判っていたことだけど、こうして現実を突きつけられると堪えるな、やっぱり。
透さんが同じものを着けているのは伊織さんからの贈り物なんだろうな。
学年主席と次席、しかも義姉弟でミス高天原が付き合い始めたとなれば、その情報はまたたく間に広まり、当然ながら尾ひれはひれがついて学校中の知るところとなった。
当然、面白く思わない者も居るわけで……
「マイ・プリンセス。これはいったいどういうことだい?」
「うげっ、出たなウザ男っ」
うげって、警告なってたし、指摘もしてあげてたんだけどな。
「変な噂が流れているから来てみれば……、いや、僕の気を惹こうという涙ぐましい努力なのか。なーんだ、そんな必要は無いんだよ、マイ・プリンセス」
「何で此処に居ることが判っちゃったんだろう。ひょっとしてまた情報が漏れてるのかも。もう1回システムのチェックしないとかな」
まあ、システムとかじゃなくて、そんなにイチャイチャしてたら皆んな気付くし、他にもほら、噂のカップルを一目見ようと生徒が集まってるじゃないか……
「さあ、そんな演技は終いにして、僕と行こうじゃないか」
「行くわけないじゃん。頼むから消えてくれないかな、この世界から」
「照れなくてもいいんだって、マイ・プリンセス」
相変わらず理解し難い人だな、この人。
しかし、これでは勉強どころではないな。
「集中できそうにないので、場所を変えましょうか」
「いや、何処へ行っても状況は変わらないだろう。当分一緒に勉強するのは無理かもしれないね」
ギャラリーも追いかけてくるだろうし、何より、当の本人たちはずっとこんな感じなんだろうから。
「それもそうですわね。仕方ありません。いつものように二人で勉強しましょうか」
「そうだね、水無」




