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力量



あれから二、三日して澪のいる館まで戻ってきた。

三人ともぼろぼろの姿のままベッドへ死んだように眠り、朝日が昇ってきて直ぐに目を覚ました。

「……道行」

「ん?澪、か」

「うん、えっと今大変なんだってね」

「まあ、そうだな。今日がターニングポイントってやつだな」

「そう……」

「どうしたのか?」

「えっと、いえ、何でもないわ。あなたの顔を見に来たくなっただけよ」

「……」

「……」

あからさまに何か言いたそうにしている澪と、俺は沈黙を何秒か続ける。

「……ちゃんと帰ってくるから」

「うん……。待ってる」

「絶対な」

「うん……」

俺のことを心配でもしてるんだろう。いそいそと動いてでっかいアンノウンを倒して、……これから何か、何もわからないから不安なんだ。

言葉でしか伝えられない。どうなるか正直俺もわからない。でもやらなきゃいけない。

心苦しい気持ちがある中、澪の頭を撫でて少しでも和らげることしかできない。

俺は澪じゃないから。澪の感覚を変えることはできない。

澪は顔を強張らせて自分の仕事へと戻っていく。

そこまで思ってくれてるのは解った。

頑張らないと……。


和子は自分の道に向かって走り出したみたいだ。

少し会話しただけで理解して、自分の気持ちと向き合っていた。

世界を見透かしているというか、間違っている場所がよくわかるんだろう。人に伝えなきゃいけないから。それをするには物事を全て知って自分の考えもなけりゃいけないから。

「……ますたー」「主」

「起きたか二人とも」

「……行くの?」

「ああ」

「出発だね。神のもとに」

「うん」

俺たちは身支度を整えて、神のもとへと着いた。

ピリピリとした緊迫した空気が俺の心臓の鼓動を早くさせる。

俺たちがここにきて何を言い出すのか分かっているのか、ウェルカムという感じではない。

真顔で待っている、いつも通りきれいなお姉さん。

「お久しぶりですね」

「そうだな」

「言いたいことがあるのでしょう?」

「ああ」

「早急におっしゃってください?私が直ちに返答いたします」

俺は言葉が出るように唾を飲み込んで深呼吸した。

「愛はどうしてる?」

「元気ですよ。あっちの世界でね……」

「そうか」

「……」

「……」

俺は警戒のあまりだんまりになってしまう。

頑張ってきたんだ。……大丈夫。

「……早くおっしゃったらどうです?あなたはそんなくだらないことを聞きに来たわけじゃないでしょう?」

「そう、だな」

俺は深く深呼吸をして心を整えた。

「……俺の目にかかっているフィルターをとってくれ。アンノウンってのはお前が俺にかけた何か違う物体だ」「無理です」

神は間髪入れずにそういった。

「なんでだ」

「フィルターをとってアンノウンを消し去ることは出来ますか?」

「無理だ」

「あなたはこの世界で人を救っていればそれでいいのです。何のためにアンノウンのフィルターを外せと?」

「和解したい」

「話を聞いてくれるかわかりませんよ?」

「会話できない前提がおかしいだろ」

「なぜそんなことを」

「人を救うためだ」

「アンノウンを殺せば済むはずでしょう?」

「それができないんだ。人を生きているものは殺せない。だから和解が出来るようにして欲しいんだよ」

「まず、何故和解する必要があるのです?」

「この世界が全て正しいとは思わない。あっちにも何か考えがあるんじゃないか?」

「そんなものはない!こっちの世界が全て正しいんです。あっちの考え方が間違ってるから……。やはりあなたは……。私の世界が間違っているというのですね」

「間違ってるなんて言ってないだろ。でも、不満を持っている奴を見たことはあるか?いや、目を反らしてんじゃないのか?何が起きてる?何でこうなってる?その根本は世界の生き方にあるんじゃないのか?」

「そんなことは……ありえない!この世界が正しいんです!私の世界を……否定……、しないでッ!」

神の怒りの中にある悲しみ。

解ってもらえない駄々っ子のようだ。

「否定じゃ……。ただ他の方法が「そんなものはないんです!私は知っているんです!世界を担う役目なんです!だから知っているんです!あなたが……、敵だってことを!」」

「て、敵なんかじゃ「黙ってください!!」」

聞く耳を持たないんじゃあどうしようもない。

何が間違って正しくて、それを言ったところで聞きはしないだろう。じゃあ見せるしかない。和解できるところを。

「私の世界から消えて!!アーサー!」

「!!」

神は涙ぐんだぐちゃぐちゃの顔で救世主を呼んだ。

「……また、立ちふさがんのか」

「今回はオリジナルだけどね。残念だよ。君が……、救世主だった君がこの世界を間違っているなどというなんてね」

「この世界で生きてきて、何も思わない方が不思議だろ。反乱者が出てくる理由を考えたらどうだ?」

「……やって。アーサー」

「君が何を言おうが私は今、神の守護神なのでね」

「そうやって自分の価値観でしか生きていけない。自分のままならない問題から目をそらす。それで何が正しいだ……」

「うるさいっ!」

「解決しようともしない。何も成長しない。何が得られるんだよ!」

「おしゃべりはそこまでだよ!!」

「ぐっ!!」

アーサーは俺の首を掴み息を止めに来る。

「知っているよ。君の能力。さあ、本気で戦いなよ。今なら出せるのだろう?自分の覚悟次第だと」

知っている……、か。神の能力か。

……それは俺の可能性に入れていた。

「「一閃!!」」

俺と桜は瞬時に判断しそれを放った。

「ふん、君たち二人のことはよーくは聞いてるよ」

「なっ!」

アーサーは桜の刀身をもう一方の手で受け止める。

化け物か。

「はは、君が本気を出そうと、そうでないと、結果は変わらない。修行?一緒一緒」

嘲笑し余裕を振りまくアーサー。

「私の能力は君みたいな悪に対して無料対数の力を出せる。要は無敵だよ。そして君たちの悪魔の攻撃は効かない」

「修行を知ってるなら……」

「ん……?」

「お前が負けるビジョンも知っとくべきだったな」

「ははh、何を言って………、」

五全いつぜん

「ほう、修行の?知ってるさ!!」

俺たちから離れるアーサー。

俺たちは言葉だけで、技までは打つことをしなかった。

警戒させることはできた。五の力はそれだけの力を持ってるってことか。

「それが奥の手だろう?はっはっは!私の敵うなどと思わない方が身のためだぞ?今なら許してやるが」

俺はその言葉に安心する。そして笑ってしまう。

「な、なにを笑っている、おかしくなったのか?」

「いやあ。お前が知っていることが全て、なんてどんだけ上から目線なんだよ」

「何が言いたい!」

「お前は知らない。何も。知れることを知ってるだけだ」

「……さんざん修行した」

「そう。俺たちの努力を……、てめえらの価値観に収めんじゃねえよ」

「!?」

俺たちはアーサーの懐へと入る。そして柄で甲冑を粉砕させる。

アーサーは反応できずに、唖然として動くことはない。

少し距離をとって戦闘態勢を続ける。

「な、何をした」

「何?知ってんだろ?俺の力の事」

「本気を出す、覚悟の力で……」

「そうだ。ただお前らはどの規模かを知らない」

「き、ぼ?」

「そう、俺の救う役目の大変さ、それに大じて本気の力を受け取れる」

「……今の君は」

「今の俺は、世界を救うという規模で力をもらっている。まあ代償は……、考えたくないけど」

「ありえない……。それが私の力を凌駕する……?」

「そうだ」

「でも、何故……」

「言ったろ。知ってるのは許容範囲だけ。俺はこの世界の住民じゃない。世界のことを知れる神、でもそれから逸脱した俺の力は解らない」

「だが、トリガーが分かったのはなぜだ!」

「役目、特技の使い方を知っているだけ。それ以上のことは知らない。最初会ったときわからない、って言ったのを思い出してな」

「……なんてことだ。だが負けることはあり得ない!そう神は知っている!」

「小さい世界に囚われすぎなんだよ」

「修行したのは……」

「お前らを倒すため」

「なぜ……、それを知っている。私が神のところにいると」

「やっぱり見えてなかったんだな」

「な、何が」

「今から教えてやるよ」

存在が見えない。幽霊。目に見えない、死んだ存在を誰かが知っているか?知らないんだよ。

力を分け与えた、存在をなくした時点でもういない。

「桜!」

「……うん!」

「……いくぞ、ミズキ」

俺はぼそっと合図を送る。

――うん。

変形する二つの剣。

俺は桜で斬りかかる。

「一閃!二連」

「それは効かないぞ!」

流石だな。俺が最速力のモーションで振った二撃を止める。

知っている故、そして、悪の技が効かない故か。それほどの力をアーサーは持っている。力は互角くらいか。

さっきのは不意打ちなだけ。勘違いするな、自分。でも……。

俺は防御しているアーサーに対して至近距離で左手をふるった。

刹那、アーサーは左方向へと吹き飛んでいく。

「悪の力を防げる?容量でもあんのかもしれないな。無料対数?自分の力を測れていないだけだろ」

「グゥっ!な、何をしたんだ!」

「見えるものが全てじゃないぞ?」

俺はニヤッと笑って、桜を振った後にミズキを上段から振る。

「くそっ!何かいるな!調子に乗るなよ!」

「おっと!」

アーサーはミズキの剣を防ぐ。

俺の手の動きから推測したか。でも……。

「みずき」

――うん。

俺は距離は五メートルほどの距離をとった。そして二つの剣を構えた。

アーサーは警戒する。

「残念」

「!?」

俺は飛び込まずにアーサーは後ろへと吹き飛び甲冑を完全にお釈迦にした。

「なんなんだ!さっきから!」

「見えない存在は、形がないんだよ。俺の認識、こいつの認識次第だ」

「何を言っているんだ!」

「わからなくていいんだよ」

ミズキは伸ばした刀身を素早くしまった。

「調子に……」

「ん?」

「調子に乗るなよっ!反逆者の分際で!!!!!!」

「うおっ」

気圧された。

アーサーの圧が俺たちに危機感を植え付ける。

「図に乗るな……。いつ私が本気といった!!」

アーサーは自らの手に剣を宿す。

「聖剣!」

アーサーは巨大な剣を振り、俺を突き飛ばす。

「!!」

起き上がる暇はない。躊躇なくアーサーは剣をふるう。

ち、力が増した?

「……アーサーが本気で私たちを悪とみなした」

「本気で潰す気か」

「……そう」

「じゃあこっちも」

「……うん。ワクワクしてた」

「余裕そうだなあ」

「……ますたーもでしょ?」

「まあな。正直」

「何をしゃべっている」

「ミズキも行くぞ?」

――あれ?

「そうそう」

――おっけー!

「潰れろぉおおおおお!愚人がぁああああ!」

「お前……、必死で哀れだな」

俺は本当の本気を出す。

何故だろう。気になる!ってところで終わらせたくなってしまう。

ヒロイン殺したほうが面白そうとか、主人公ボコボコにしたくない?

え?俺だけですか?

あと四、五話くらいです(知らんけど)

二週間ほどで終了させ、新作を上げますね!


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