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序章:初めましてこんにちは、役目ください

投稿するのは初めてでございます。

右も左もわからずパッと投稿した稚拙な小説……。

投稿の仕方もよくわかってません。何もわかりません。

誤字脱字あったら不安だし……。

何もわからないのでとりあえず多めに見ってやってください。

急な罵詈雑言が飛んでくると心臓飛び出て死んじゃいます。

宜しくです!


あれ?前書きってこういうのだっけ?



……生きる意味って何だろう?


誰しもが一度は考える事だろう。

そう俺も零歳から十七歳になる迄ずっと考えていた。

誰かのためにだとか、社会のためにだとか、そういうものでは無い。

なんのために生きて、何をやって死ぬのか。

考える。分からん。

なんで分からない?

小学校から大学へ上がって、社会に出てお金を稼ぐことが目的であって、金がなきゃ生きて行けなくて……、生きるために生きてて、でもこの世界って不安ばっかで………、って、あー、頭がグルグルするなぁ。

まあ、そう考えているわけで。

考えた結果、何か大衆とは違って生活をしようと思っているわけで……。

まあ、当然、変な目で見られて……、周りから叩かれるわけで。

全く何をどうすりゃいいか分かりませんな。

あー、どこかに俺の生きる意味落ちてないかな……。

平々凡々な俺が何やったって何も出来ないことは分かってるけど、さ。

頼むよ……。



……とは、言ったけどさ。

「何で……!?」

何が!?

「何が!?」

いつも以上に頭が働いて、なんか色々考えてるけど何も考えてないみたいな状況。

……俺にも分かんねぇんだよっ!

「まあまあ、落ち着いて……。一度回想入ろう!」

「いや、誰っ!」

とりあえず整理しよう。

ここはどこ?

上を見上げるとステンドグラス。壁面やその周囲には聖母マリアみたいなやつの像や絵やらがいっぱい。目の前を見れば、石像の台座の上に女の子、いや、悪魔が悪魔の笑みを浮かべてこちらを見ている。

大聖堂みたいだな……。

なんでこんな所に?

いやまあ、話せば長くなるか……。

なんのために?

……あ、何か役割と特徴くれるって言うからか。

…………あー。

役割、かー。

救援者ってやつだった。それをこの悪魔にもらって……。何すんの?いやまあ、これは良いよ。うん、生きる意味がそこにあるのならね。

たださ?

「特徴の『いつか本気出す』て!いつかて!マジで意味わからん!役割と合ってなさ過ぎない?ガチ寄りのマジなんだけど!いつ本気だすの?今で……、!出さないやつだよね?これ。何もしないやつじゃん……」

俺何言ってんだろ。

大聖堂に響き渡る声に今持ってる感情も一緒に飛び出しただろう。

「まあまあ、いつか本気出せるんでしょうねぇ」

そりゃそうでしょうけど。

「そうそう!気長に待とう?またなんか新しい特徴見つかるかもしんないしさ!」

「うーん、そうか、なぁ。……いやほんと誰っ!?」

「さ、回想回想」

さ、部活部活みたいに言わんでくれ。




いつも通りの時刻に家を出て学校に行くかいくまいか道草を食いながら悩んでいると、少し遅刻気味に学校の教室に到着した。

ニヤニヤとこちらを見下す視線や、こちらに気づか無いようにとそっぽを向ける者。どちらも痛い。

ただ、これは大衆と俺は違うと捉えていいんじゃないかと、ポジティブになってみる。

いつも通りニコニコとする俺の顔に不満をぶつける男達が五人がいる。

「よう……」

「おはよう」

挨拶をされたので丁寧に挨拶をし返す。ってあれ?机は?

「おめぇの机ねぇから!」

はっ!有名なやつだっ!

ギャハハと汚く笑う男達は、何が楽しくて笑っているのか分からない。

俺はお前らと同じにはならない。お前らには染まらない。一緒になったら結局同類だし。

「どこにあんの?」

「窓から下見てみろよ!はははっ!」

「えーと」

俺は窓から外を覗き込む。

「おっと、そこからじゃ見えないな?俺が手を貸してやるよ!」

俺は一人の男に蹴り飛ばされベランダに飛び出た。

「うわっ!」

「ちっ。そのまま外に落ちればよかったのになあ!」

「……」

パンパンと制服の埃を払って下を見た。

わあ、運動上に凛と机が立っている。

机上には、死ねっ!、気持ちわりぃんだよ、お前みたいな変人が来るところじゃないんだよっ!

などの罵詈雑言が文字重なり合って書かれている。

はあ……、とため息ついて、抗いたい。でも、力じゃ勝てない。

先生は……。

「おーい。席につけぇ!おい、道行ぃ!机をどこにやったぁ?ベランダに出ていいと言ったかぁ?後で覚えておけよ」

この通り。はあ……、後には体罰が待っているんだろう。

……周りに仲間はいない。頼れる人は自分だけ。

自分が死んだら自分はこいつらに屈したことになってしまう。それだけは駄目だ。こいつらと一緒のステージになってたまるかよ。

俺はいつも通りヘコヘコと頭を下げて机を教室へと戻し……、

ん?あれ?

ふと思いたったんだけど、学校って行く意味あんの?

自分のしたいことがないのに。行かなきゃ行けないところなの?

……行かなくてもいいじゃん。行ったら痛い目にあうし、金稼ぐ手段なんてそこらじゅうにあるし、別に生きてく金だけで十分じゃね?

学校やーめた!

そういう考えに至ったのは一瞬のことだった。

他とは違うことを望んだ結果、なんだろうか、逃げなんだろうか、なんなのかはよく分からない。

多分、楽しいことがしたいのは確実だろう。他と違うことをしないと、見ないと何も分からずじまいは嫌なんだろう。俺は平凡だからね。

んー、と運動場で背伸びをして机を教室へと運ばず、昇降口?に置いておいた。

さて、帰ろう。そうしよう。

俺は踵を返して運動上から金網を登り路上へと出た。

開放感がすごい……!

俺はルンルンのスキップで街を徘徊する。

いかれた野郎だと思われているはず。……あははははは、心地良いぃぃいいい。

よっーしっ!これから皆がやらないことをどんどんこなして行くぜぇえええええええええぇぇぇえええええええ?

……ぇぇえええええええ?え?えええ?

まてまてまてまて。要らん事言ったからか?何か非日常的な光景に出会ってしまった。

ルンルンにスキップしていた足が止まる。

いやいや、早いよ。

日常からの逸脱が早いよ。

目の前の光景を見れば分かる。

女の子を壁に寄せ囲いそれを至近距離で見下げる男二人。

なんだってこんな所で真昼間っから……。

「いいじゃんかよー」

「そうそう。減るもんじゃないしさぁ。付き合ってよ」

男達は密接するんじゃないか、というくらい女の子に近く迫る。

「や、やめて……ください……」

女の子を男達の隙間から除くと、顔を背け涙ぐんだ儚げでお淑やかな少女が目に映る。

正直一瞬目を奪われてしまった。

女の子が嫌がってる。これ昼間です。犯罪です。

普通の人は助けないだろうが俺は違うんだっ!俺に助ける才能があるかもしれない。よし行こう。

正直バカ怖い。

普通にやったんじゃあ平凡の俺がガタイの良いイケイケ二人組に敵うわけないっ。

やり方がありますね。

俺は背後から二人に気づかれない様にコソコソと腰を低くして近寄る。

よし、敵のおしりがよく見える。うんうん。いいケツですね。

「うおおおおおお!」

最強の必殺技を使うような勢いで一人のケツに両手の人差し指を突っ込む。

「うああああああああ!」

一人の男はケツを抑えながら斬撃でも食らったかの如く悲鳴を上げ、倒れた。

「だ、誰だっ!てめえっ!」

「うわっ!」

もう一人の男は驚きながらに俺の方を見た。

呆気に取られてるうちにっ!

俺はサッと女の子の手を握ってひたすらに走った。

「おい待てっ!」

男はもう一人のケツの様子を見ながら俺が逃げていくのを見ていた。

よしっ、計画通り。



ふう、ここまで来たら安心だろう。

「あっ」

「あっ!ごめん」

握っていた手を咄嗟に離した。

にしても綺麗で可愛い……。

一般的に言う百年に一人の逸材とか、絶世の美女とか言われるやつだろう。

艶々とした輝いて見える白銀の長髪に、色白の肌。パッチリと開いた吸い込まれる様な青色の瞳、チャームポイントとなりうる長めのしたまつ毛、スラッとした体型。外人?モデルみたいだな……。

「す、すみません。ウンコがついた手を触る性癖はありません」

「うんこついてねえわ」

言葉とのギャップすごい。

「え?でもケツに手ぶっ刺してましたよね?」

「いや、やったけど……」

「うんこの粉が付いてるんじゃあ……」

「少し否定出来ない……」

ってかうんこうんこうるさいな。

「あっ、ありがとうございました」

「距離があるね、うんこ気になるのかな?」

女の子は五メートルの距離を置いてお辞儀をした。

「いや、気にしてないよ」

「な、何故助けたのですか?」

「ん?」

「平々凡々の人間が何故私を……」

「喧嘩売ってんの?」

「ああ、いえ、すみません。普通に嬉しかったです」

「え?」

たたた、と駆け寄って後ろから俺をそっと抱きしめる。

その行為にトキメキが止まらなく、心音が聞こえてないかと不安になる。

「ここならうんこはついてませんし!」

「気にし過ぎだよ!?」

「あの場で助けて頂けるのって普通の人じゃあしませんよね」

「まあ、だからこそ助けたんだけど」

「だから、こそ?」

「そうだよ。俺は人と違うことがしたい。人と違うところで価値を見出したい、生き方を見つけたい、から……」

「……なるほど。私の相手にも……。あの世界にもピッタリだね」

「え?」

「いえ!なんでも!」

パッと体から離れ、俯いて言った言葉はボソボソと、俺の耳には届かない。

「本当に助かりました!また機会があればお会いしましょう!」

「あ、うん」

急に立ち去っていく少女を急すぎて引き止められず、そのままポツンとそこに取り残された。

なんなんだ?急に抱きしめて。

惚れそう……。我ながら容易いな。

……ん?なんだ?

ボケーッと彼女が去っていった後を見て我に返ったところでコンクリートを見ると、落し物が……。

なんだ……これ?二泊三日の旅行券が当たる、……抽選券?

あれま!期限が今日までだ!何かの縁かな?

すぐ近くのスーパーで抽選やってるみたいだし、行ってみるか……。

俺はキョロキョロと周りを見渡してから、スタッと立って目的地へと直行。


えーと……。あっ。

スーパーの出入口でそれらしきチケットを持った人を見つけ、後を追う。

ごめんなさい、変質者じゃないんです。

自然に自然に不自然になりながら、ここか……。

赤い羽織を纏った女の人がくじ引きの箱の前に立っていた。

な、なんかドキドキするな。

チケットで……、まあハズレはティッシュか。

ハズレを確認していたら、前に並んでいた人がいなくなっていた。

お姉さん、ニコニコと笑っている。

「抽選ですかぁ?」

「あ!はい、そうです」

俺はチケットをパッと見せて、はい、と確認を貰った。

箱に手を伸ばし中を弄る。

ゴソゴソ……。

これだっ!

俺は勢いよく引き抜いた。

「はい、中開けますねぇ……お!」

「?」

お姉さんのニコニコが満面の笑みに変わる。これは!?

「おめでとうございまぁす!一等の旅行券です。ペアチケットとなりますのでぇ、私と行きます?」

「い、いえ……」

「そうですかぁ。おめでとうございますぅ。明日の朝出発となりますぅ」

「急過ぎない!?」

「いえぇ?そうですかぁ?」

すっとぼけてるのか?なんか怪しくないかな。

チケットを交換してニコニコの笑顔がどんどん悪魔の笑顔に見えてくる。

いやいや、考えすぎだって。

帰って支度しよ。

俺は良い気分転換、とポジティブに変換し悪い考えを払拭した。

その後、ご飯を買い、家へと戻り支度し、飯を食べ、風呂に入り、次の日が来た。


えーっと、集合場所は……。ああ、近くの駅か。

チケットの裏を見て場所を確認、靴を履いて玄関を出た。

「いってきます」

その一言は、シーンとした部屋にうち消えた。



ふう!と着いた。朝4時半……。

「早くないっ!?」

俺は駅の前にいる人に向かって叫んだ。

「やっぱこのツアーおかしいよね?」

「そう、ですかぁ?」

「いや、あんた抽選の人じゃん」

「いいえぇ?今日はバスガイドですよぉ?行きたすぎて来ちゃいましたぁ」

「行きたくて来ていいところじゃない」

「ええ?まぁ、置いときましてぇ、行きますよぉ」

もっかい言っていい?

「おかしくないっ?なんで自家用車!!」

「おかしくないですよぉ、私と二人ですしぃ?」

いや、その状況おかしいんだって、……まあ乗るけど。

女の子と二人だし?

抽選のお姉さんはスタスタ歩き補助席のドアを開け、誘導した。

うん、迷いなく入ったよね。何か良いシチュエーションにならないかと胸を踊らせてね。

「では、行きますよぉ?」

「はーい」

楽しんでる自分がいる。

「あ、お茶いりますぅ?」

「あ、ありがとうございます」

用意してあった紙コップのお茶を手渡され流れのままに飲んだ。

……ごくごくと喉にお茶を通していく……。

……………………。

「え……、あれ……?」

眠くなって……。

「おやすみなさぁい」

少し頭がクラクラする。ふと意識が夢の中へとシフトする……。

何事……。





ガタガタ……、と、車が揺れ動くのが鮮明に聞こえて……、止まった?

「……さん、道行さん?」

ふと俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。

……死ぬ、前か?

俺は重たい瞼を頑張って少しだけ開けた。

………あ、れ。車に乗ってたはずじゃあ。

見慣れない天井に、……この子は。白銀の……。ああ、俺はもう最後なのか……。じゃあ、最後に一つお願いしよう。

俺は手を動かして女の子の頬に触れる。

深刻そうな顔を見せる女の子。

「ああ……、俺と結婚……、してください……」

「……わかったー!」

「わ、わかった?」

あれ?俺今何言った?ってかこいつ誰だ?

何かの違和感にふと目が覚めた。パチクリと目を開けるとそこには知らない人が……。

白銀の髪ではあるがツインテールをしており白いブカブカのパーカーを着用、短めのチェックスカートを履いていて、昨日のお淑やかさが微塵も感じられない。

「いやいや!私からプロポーズしようと思ってたのに!まさかだよね!嬉しいよね!」

いや、俺が知ってる人はこんなアホみたいな言葉使いしない……。

「いや、誰……」

「ええー?昨日あったじゃん」

「信じない」

「信じてっ!ほら!」

結んだ髪を下ろして見せつけてくる。

くそっ。面影がっ!

ふふーん、と、してやったりという顔。

「で、誰?」

「信じない気だっ!」

「ここは、どこなんだ?」

「異世界だよっ!」

「…………え?何言ってんの?」

俺の頭がおかしいのか。ああ、寝よう。

「現実逃避かなあ?」

「コラコラ、愛?そんなオイタしちゃいけませんよ」

頭の方から声が聞こえる。こちらも聞き覚えのある……、あれだっ!抽選のお姉さんだっ!

にしてもキャラ違い過ぎないか?

「すみません。挨拶もせずに……」

「えっと……」

「まずここは、異世界です」

「いやだから!」

「信じられません?」

「そりゃワケわからんし、車乗ってそういうテーマパーク来たんじゃないの?」

いつまで経っても信じられない俺に真顔になる二人。

不味い事言った?

などと考えていると。

「……え?なにそれ?魔法?」

お姉さんの手から火花が上がった。

何か仕掛けがあるのかと疑うがどうみたって手から出ている。いや?マジックはトリックがわからないのが凄いところ……。

「まだ信じられないかしら?」

……。

「これはもう……」

次に見せたのは、何も無かったところに生成される小さな人形。しかも足から胴体、頭と言う形にゆっくりと現れる。

「信じざるを得ないかもしれない……」

意味わからんもん。

「よかった!」

「でも……、なんで俺が?」

「生きる意味……欲しいのでしょう?」

「…………くれと言ったら、くれるのか?役目を。俺のための役割を?」

「貴方が望むのならば……、授けましょう。ここはそういう世界ですから……」

「そういう世界……、貴方は、神?」

「まあ、世界を作ったのは確かに私です。そういう点では神と呼べるのかもしれないですね」

歯切れの悪い回答だ。

「貴方の世界……」

「そう、私の世界です。皆に役割を与え、生きる意味を与える……。それが世界を続ける上で一番必要なものでは無いですか?」

「……」

何か……、いや、やめとこう。

「ルールはなく、やりたいように楽しく役目をこなす、この世界……、どうでしょう?生きる価値は……、あると思いますが……」

まあ、裏になにかあるかどうか……、考えたって仕方ない。俺が欲しいものをくれるって言うんだ。

「よろしく……頼むよ」

「わーい!」

「そう言ってくださると思っておりました!ただその前に少し説明を交えましょう」

「説明?」

「この世界のことです。皆さんが成長を楽しく行い、生きる意味、役目を成長させ、幸せに死んでいく。この世界の成長は皆の成長です。ただ厄介なものが一つあります」

「厄介なもの」

「はい。アンノウンという敵の存在」

「そ、れは?」

「言葉通り未知の物です。どんな姿かも捉えることはできません。ただ何か生物であることは確かです」

「?そいつらが何なんだ?」

「私達の敵になります。何万といるその存在はこの世界の滅亡を望んでいる」

「え?」

「何処からともなく現れるアンノウンは私たちを見つけるや否や殺しにかかります。理由はわかりません。ただ倒さなければ殺られるのは確かですし、楽しく成長もままならない状態であることも確かです」

「……怖い話だな」

「そうなんです。役目の中にアンノウンの討伐も含まれています。その時は御容赦ください」

……そっか、別に自分がしたいことが役目になるとは限らないのか……。自分が決めるわけじゃないから……。

でもまあ。

「わかった」

「……この世界で役目を使って楽しんでください。成長してください。私は見守っております。アンノウンが来たら役目に任せてください。貴方は貴方の思うままに力を……。さあ、役目を与えましょう」

「……」

お姉さんはスカートをすらないように裾を手で持ちながら台座を下りて俺の手に触れる。

「終わりです」

「え?」

何事もない。手に触れただけだ。何も起こってない?

「今からお伝えしましょう」

「ああ、はい……」

「ズバリ貴方の役目は!」

ゴクリ、喉が人生の中で一番大きく鳴った日だった。

心音も凄いことになってらあ。

「これです!……救援者!です!」

お姉さんは声を張り上げてそう俺に役目を告げた。

「おお!なんかカッコイイ!」

「……救援者って要は?」

「要するに人助けですかね」

「俺にその力が備わっていると……」

「まあ、自分のために人を助ける姿勢を見てると確かにって思うよねぇ!」

「ふむ……、でも具体的にどうすれば?」

「現実的に人を助けてください。困っている人がいたら手を差し伸べる」

「ま、まあ分かるけど俺にそんな力が……?」

「あります!役目を与えられた者には特技、特徴といったものがつくのです!」

「おお!それは!役目に役立つ特徴って所か!」

「そうです!ズバリ!」

「……ズバリ?」


「えー、んー。『いつか本気出す!』です」


「……は?」

もう一回言っていい?

「……は?」

そして、最初に戻る。




「さて!回想も終わったところで行こっか!」

「いやいや、嫌だよ!」

「もう!そんな駄々こねないの!」

「待って!お前はなんで俺と一緒に行く体なんだ!」

「それはですね。この子が貴方の嫁、兼支える、という役目(無理やり変えかさせられた)だからです」

「え、えええええ?」

「さっきプロポーズしてくれたから契約は成立したし!私の役目はあなた全てだし!ウィンウィンだね!」

「まじかー。こんな性格じゃなかったらなあ。ってか、なんかさっきボソッと無理やりとか言わなかった?」

「気の所為!だよね……?ね!?」

「は、はい……」

な、何か圧を感じる……。

「で、お前は俺に付き添うのか……」

「うん!ずっとね!」

「……」

ちょっと、ちょっとだけな?凄い嬉しい!

「まあ、いいや。で、こっから役割果たす………って言ってもどうすればいいんだ?」

「この神殿を出て森を抜けたところに小さな街があると思います。そこに寄れば、街の困っている人達の依頼が書かれている看板が貼られているお店があると思います。そこで依頼を受けて解決していってください。取り敢えずは……ですけど。そこで何か見つけて、やりたいことがあるのであればそっちを優先してもらっても構いません」

まずは困ってる人の依頼を受けて解決していく、か。わかりやすくていいかもな。

「おけ。そう言えば食事とかはどうするんだ?」

「料理を作ってくれる人がいると思うのでその人のところへ行けば無料で手に入りますよ。ただ街にしかないので取り敢えずは私から与える分で我慢してください」

「か、金とかはないのか?」

「人それぞれの役目があります。料理を作る人は皆に料理を振る舞い、笑顔にさせる人は笑顔を振る舞います。そういう風に世界が作られているのですよ」

ふふふ、とお淑やかに笑う顔がいいなぁ。

「あー、顔赤らめて!浮気だ浮気だ!」

「う、うるさいなお前は」

「だってだってぇ!」

小学生みたいなやつだな。こいつの特技ってなんだろうな?俺を支えるとか言ってたけど、精神的にとかなのか?

そういうもの役目にはいるんだな。

「もう、大丈夫ですか?」

「ああ、でさ……、今更なんだけど、名前……」

「……私の名前はルーチェ」

「私は(まなだよ!」

「よろしくな。俺は道行みちゆきだ。知ってると思うけど……」

「色んなものを見てきてくださいね!」

「ああ。不安しかないけどかんばるよ」

「はい!」

俺と愛は外へと出て、見送ってくれるルーチェに手を振って森へと潜る。

ふと、後ろからボソッと何か聞こえる。


「……私の世界が正しいと証明して」


「え?」

と、振り向いた時にはもう、ルーチェはいなかった。

なんて言ったんだろう。

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