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逃げる者、追う者
あの日から、全てが変わった。
傍らの彼は、もう永遠にいなくなった。
「エドー!また本見てるのかよ!」
「…ああ、ラウリ。」
「ったく。そんな本ばっかり読むなっての。ちゃんと飯食ったのか?」
「あ、そういえばまだだった。」
「だと思った!そんな事だろうと思って、ほら。」
「ありがとう。ラウリは優しいな。」
「…フン。」
ここは俺が住んでた都市、王宮よりずいぶん遠くに離れた小さな村。
ここまで来るのに、ずいぶんかかった。
ここは、かつて彼が住んでいた村。俺はここを永住の地として選んだ。
そこで俺はエドと名前を変えて、かつて侍従だったアデールと兄妹として偽り、慎ましく生きている。
ここでは、昔のようにただお世話されて生きていく程甘くない。
アデールは村の食堂で働いているが、アデールの稼ぎだけでは当然生きていけない。
俺は知識だけはあったので、この小さな村の教師として働くことにした。
はじめは全く慣れない生活で随分戸惑ったが、今はむしろやりがいさえ感じている。
ここに来て、むしろ体調は良くなっていき、逆に驚いている。