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若葉マークの姫君  作者: May Packman
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待っています、校長先生

 入学式は大変恐縮なことに、盛大に行われました。七十二部合唱で奏でられたヒップホップ調でタガログ語の校歌斉唱を皮切りに、部活動の余興が始まりました。

 演劇部の『帰ってきたテレビデオ ~ベータマックスの逆襲~』の上演、サッカー部の顔面ストライカー、バレー部VS化学工作部の断崖絶壁チキンレース、文芸部の緞帳裁断、陸上部の玉入れ。

 その中でも特に見ものだったのが、校長先生の試みです。お話の途中から一枚一枚自然に衣服脱ぎ捨て、一糸纏わぬ状態になった途端、四股を踏み、淫語を呟きながら(後でクラスの方に聞いて知りました。意味はよく分かりませんでした)尽善尽美な女性の先生の方にお相撲さんの如くすり足で近づいて行くのです。

 少しの時間野放しにされた校長先生でしたが、待ち構えていたかのように屈強な男性教師陣が隊列を組んで素早く囲まれてしまいました。何という手際の良さでしょうか。圧巻です。

 諸先輩方は『今年は見応えあったなあ』『また当分見られなくなっちまうんだなあ』と楽しそうに話しています。

 なるほど、あれは出し物の一環、いわば演舞のようなものだったのだとようやく気付きました。学校の長ともあろうお方が、あれほど身体を張って入学式を盛り上げてくれたのです。穿った見方をしそうになった私は心底反省致しました。

 さて、入学式は終わりクラスに戻ります。ホームルームのときに一年間担当する係を決めました。

 私は単三電池充電係に決まりました。

 他にも四季折々三段弁当係、二宮金次郎像代役代理代替係、夏祭りテキ屋摘発担当大臣係、金杉十字路二段階右折係や定時帰宅部包囲網係など大変魅力的で摩訶不思議アドベンチャーなものがありましたが、厳正なるルーレットの結果、上記に決まったのです。オリビアさんは可愛いらしい『桃係』に決まって喜色満面の様子でした。まだ何をやるのか見当もつきませんが、一生懸命頑張るつもりです。

 最後に先生の口から、校長先生はとある塀の向こう側でお勤めに励むことになった、と報告がありました。校長たるもの、あらゆる環境に身を置き、自身を研鑽させなくてはいけないのです。これぞ校長の鑑。


宜しければ短編、あるいは他の長編も御座いますのでご清覧下さいませ。お気軽に感想、評価をお願い致します。

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