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若葉マークの姫君  作者: May Packman
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高校生になりました

 十六歳を迎えようとしているこの春。私は一年生になりました。

 桃色に染めあげられた桜の花びらは、私の目の前を悠然と横切り、空に吹き上がっていきます。日向を歩けば羽織っていたカーディガンも要らないくらいになりました。信号待ちをしている人に目をやると、真新しい鞄を持った人が目立ちます。

 ランドセルや学生鞄、ビジネスバッグもちらほら。それに、ブランド名が控えめにプリントされた明るい色のトートバッグ、あれは少し前に雑誌で見たことがある今年の春の新作でした。なんと羨ましいことです。

 皆さん新生活に向けてやる気満々といった感じです。

 かくいう私も、周りと比べて小さい身体にとっておきのやる気を漲らせて、麗らかな陽気の中を闊歩しているのでした。鞄は姉のお下がりですが構いません。靴は中学のものと同じですが関係ありません。身を包んでいる制服が、私を新たな人間に変えた気がするのです。

 何よりも血が、そして私を突き動かす心そのものが違います。季節を通り越して得た真夏の日差しのように、いいえ、キラウェア火山の中心部に揺蕩うマグマのように、熱く燃えたぎっているのです。何とも暑苦しい女子高生へと、私は変身を遂げたというわけです。

《燃えたぎる女子高生》。なんと甘美な響きでしょう。そんな異名がついた人間に、きっとできないことなんてありません。薔薇色なんて言葉では女々しく弱弱しく思われます。そう、それは表現するに《灼熱色の高校生活》が唸りを上げて突進してくる以外ありえないのです。私は全身全霊をかけて受け止めてやろうと心に誓います。大変にワクワクするではありませんか。

 さあ待っていろよ、青春こんちくしょう!

 私は心の中で叫んで、また一歩大きく踏み出しました。今日は待ちに待った入学式なのです。


宜しければ短編、あるいは他の長編も御座いますのでご清覧下さいませ。お気軽に感想、評価をお願い致します。

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