表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/15

第5話 街

 日曜更新って言ってあったので遅れたわけじゃないですよね、はい。



「エー、魔族と言うのハ、簡単に言えば人類に友好的な魔物の総称でス」

「友好的?」

「はイ。と言ってモ、単純に人が好きな者、人との敵対を避けようとする者なド、理由は様々ですガ」



 そうなのか。

 ちゃんと覚えておかないと。



「そうだったんですか。……教えてくださりありがとうございます」

「いえいエ。……本当に知らなかったんですカ?」

「はい。お恥ずかしながら。世間知らずでして」



 閻魔様からはゲームのような世界だという事、転生する小屋の事、……後ラノベの事くらいしか聞いていない。

 閻魔様にもっと聞いておけば良かった。

 あの時はなんか遠慮しちゃったんだよな。



「街へ行くには時間かかりますか?」

「いエ、もといた場所が浅い所ですシ、浅い所は魔物もほとんど出ないうえ二、出ても弱いのであまりかかりませんヨ」

「へぇ、街ってどんなところですか?」

「街の名前はアンタート。別名、始まりの街と呼ばれていテ、多くの冒険者がアンタートから始めていまス。

 先ほども行ったように弱い魔物が多いですかラ」



 ……えーっと?



「冒険者……?」



 確か、閻魔様が(あの3時間中に)そんな事を言っていたような気がするが……なんだっけ。



「…………冒険者というのハ、人々の依頼を受けテ、それをこなす仕事でス。他にも魔物の討伐ヤ、素材を売って生計を立てていまス。なので弱い魔物が多いこのあたりハ、新人冒険者にはもってこいの場所なんですヨ」

「あ、あぁ、そうなんですか」



 最初の沈黙はなんだろう、僕にはちっともわからない。

 世間知らず過ぎて呆れてるとか、そんな事は決してない。


 ……あるだろ。


 いや違うんだ。しょうがないじゃん。

 この世界で生まれ育ったわけじゃないんだし。

 知っとけと言う方がおかしい。



▽▽▽



 そのあとも少しすると森を抜けた。

 30分くらいだろう。

 その間ゴブリンさんに常識を教えてもらっていた。

 晴れて僕も常識人だ。



「ほラ、見てくださイ、あれが街でス」



 ゴブリンさんが指を指した方には、壁に囲まれた大きな街があった。



「立派な街ですね」

「はイ、では行きましょうカ」





 少し歩き、何事もなく門に着いた。


 遠くから見ても思ったけど、壁高いな。

 こんな高い壁作るのは大変だろうに。いや、魔法で作ったのかな? 見てみたい。

 門は3つ。左の門は綺麗な装飾が施されていて、真ん中が一番大きい、右は特に特徴がない。

 真ん中には十数人並んでいた。



「ここが入り口でス。左から貴族用、一般人用、冒険者用でス」

「僕は一般人用に並べばいいですか?」

「そうですネ。冒険者ではないようですシ、貴族でモ……ないですよネ?」

「はい」

「ではそれでいいと思いまス。

 俺はここデ。……一人で大丈夫ですカ?」

「は、はは。ダイジョウブデスヨ?」

「何で疑問系なんですカ……」



 大丈夫じゃない気がするからです。



「まぁ、本当に大丈夫だと思います(希望的観測)」

「そうですカ。……この度はすいませんでしタ」

「いえいえ、あなたのおかげで本当に助かりました。またどこかで会いましょう」

「──はイ。またどこかデ」



 そうしてゴブリンさんは冒険者用の門へ歩いて行った。

 冒険者だったのか。


 ゴブリンさん、いい人だったな……。

 お世話になったし、今度会ったらご飯でも奢ろう。

 ……あ、名前聞いてないや。




「次!」



 鎧を着た兵士が大きな声で言う。


 僕の番だ。



「身分証を出せ」



 ……身分証。



「……無くしました」

「そうか。ではそこの部屋に入り、中の兵士になくした経緯を説明しろ」

「はい……」



 大丈夫だよな?

 身分証がないから街には入らせない! 

 とかならないよな?


 言われた通りに部屋に入る。

 入ってきた扉の他に(おそらく)奥に続く扉と、(おそらく)街の中に続く扉があった。

 部屋の真ん中にテーブルがあり、向かい合うように椅子が2つ、その片方に外の人と同じ鎧を着た兵士が座っていた。


 兵士が話しかけてきた。



「どうしました?」

「えっと、身分証をなくしてしまいました」

「あぁ、ではこちらに」



 勧められて椅子に座る。



「名前を聞かせてください」

「はい……フライハイトです」

「フライハイト君ね」



 兵士は紙にメモをとる。

 部屋には紙束もあるし、紙は高価なものではないのかもしれない。



「この街にきた理由は?」

「……旅の途中で食料を切らしてしまいまして、近かったこの街によりました」

「なくした経緯は?」

「旅の途中で落としたんだと思います。気付いたらなかったので」



 どうだ……?



「はい、わかりました」



 良かった、嘘だとばれてないっぽい。



「ではこちらに触れてください」



 兵士は1枚の金属板を出してきた。

 僕が言われた通り触れると、刻まれた魔法陣のようなものが青く光る。



「これは?」

「犯罪者称号を読み取る魔道具です。青く光ったので、犯罪者称号はない、ということになります」

「なるほど」



 犯罪すると称号に出るのか?

 それに魔道具か、マジックアイテムとは違うのかな。



「では入街を許可しますが、5日以内に何らかの形で、身分を証明できるものをここに持ってきてください。持ってこなかったり、その前に街を出ると【不審者】の称号が現れます。これも犯罪者称号になるので、あらかじめご了承下さい」

「わかりました」

「では、通行料をいただきます。身分証がないので、上乗せして小銀貨6枚です」



 小銀貨、小さな銀貨のことだ。

 ゴブリンさんから聞いた。

 手持ちの小銀貨は13枚なので、足りる。



「6枚、確かに受け取りました。では──」



 兵士が立ち上がり、(おそらく)街の中に続く扉をあける。




「──ようこそ、アンタートへ」




 扉の先には、賑やかな街があった。


 ブクマ、感想、評価、レビュー、ありがとうございました。

 今回も読んでくださりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ