第1話 ステータス、オープン
視界の白が晴れた先は、木製の家具だけが並んだ、殺風景な部屋だった。
「うん、予定通り」
ここに跳ばされることは閻魔様から聞かされていた。
転生は成功したらしい。
そしてまずやることと言えば──
「服、どこだろ」
そう、今僕は真っ裸なのだ。
幸い寒くはないので、そのまま探す。
確か、クローゼットに服を入れておいた、と言っていた。
この部屋にはクローゼットがないので、移動する。
扉を開けた先は寝室だった。
「あった」
クローゼットを見つけた。
さっそく開けてみる。
すると、様々な種類の服が視界に飛び込んで来る。
物理的に。
「うわぁ!!」
あっという間に服に埋もれてしまった。
もぞもぞ。
「ぷはっ……ビックリしたぁ」
服の海から出る。
……明らかにクローゼットに入りきらないだろう、という量がある。
カエルの着ぐるみに、やけにトゲトゲがたくさん付いた革のジャンパー、これは……地球の人間が通っている『学校』の制服、かな?
何でこんなものを用意したんだ、閻魔様。
他にもたくさんあるが、目についたのは黒いフード付きのローブだった。
それは着なれている死神の制服に似ているが、明らかにそれよりも質のいいものだ。
とはいえ、着なれていることにかわりはない。
これを着ることにしよう。
クローゼットに備え付けられているタンスから下着を取り出す。
こちらも色々な種類があるが、無視して地味目な物を履き、シャツとズボンも地味な物を選ぶ。
その上からローブを着れば──
「よし、おっけ」
とりあえず服問題は解決。
散らかっている服をクローゼットに入れ直して、入りきらないものはたたんでクローゼットの横に置いておく。
さて次だ。
僕はベッドに腰を掛け、
「ステータス、オープン」
と、唱える。
転生したらまずステータスを確認しろ、と閻魔様から言われていた。
が、服を着なければ社会的にどうかと思うので後回しにしたのだ。
目の前に微かに青白く発光する、半透明な板のようなものが現れた。
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[名前]フライハイト[年齢]0
[種族]人間族
[Lv] 1
生命値:100/100
魔力値:200/200
闘力値:50/50
筋力 :31
耐久 :27
体力 :26
俊敏 :35
魔力 :50
魔耐 :48
魔操 :44
精神 :1598
器用 :72
固有スキル
【心魂ノ大鎌】
パッシブスキル
アクティブスキル
【鑑定-Lv 10(Max)】【神化】
称号
【閻魔長の加護】【不屈の精神】【転生者】
【神格者】【最下級死神】
───────────────────────
結構色々なことが書かれている。
閻魔様から貰った名前もちゃんと標示されているな。
……ん? 0歳? ……あぁそうか、この世界にはさっき生まれたばっかりだからか。
他にも色々気になる事があるけど……(精神の項目を見ながら)。
何がなんだかわからないな。
そんな時に役に立つのがこれ、【鑑定】スキル。
閻魔様が
『異世界転生と言ったら、【鑑定】だよな!』
と言って、与えてくれたのだ。しかもLv Max。
ありがたやありがたや。
ではさっそく、
〝鑑定〟
〔人間族:世界で最も多い人種。ステータスは平均的、個々の能力は多種族にやや劣るが、集団での連携が得意〕
情報が頭に流れ込んでくる。
この感覚は少し気持ち悪い、慣れるまで時間がかかりそうだ。
だが、ちゃんとできた。
閻魔様の話では種族は適正のあるものになるらしい。
『適正とは何ですか?』
『魂と肉体の相性みたいなモンだ。通常の生まれ変わりは、魂を初期化してから行うから、そんなもんは少ししかねぇんだが、自我や記憶、肉体、親の魂なんかの影響で魂が変質しちまうと相性が出てくるんだ』
『なるほど』
『適正がない種族に無理やり転生すると、魂も肉体も、その肉体を身ごもっている親もろとも爆発四散する』
『…………』
だそうで、 僕は人間族に適正があったようだ。
他の種族ってどんなのがいるんだろう。
会ってみたいなぁ。
他のものもどんどん見ていこう。
〝鑑定〟
〔Lv:今までの経験を数値化したもの。経験値が一定に達することでLv UPし、ステータスが上昇する。上昇値には個体差がある〕
レベル! ゲームっぽい!
へぇ……経験値?
これって鑑定結果もう一度鑑定できるのかな?
〝鑑定〟
〔Lv-経験値:経験を数値化したもの。生物を殺害することで取得する。経験値が一定に達することでLv UPする〕
ふむふむ。ちゃんとできたな。
閻魔様によると、この世界にはやはり魔物がいるらしい。
しばらくは比較的弱い魔物を倒してレベル上げをするのも良いかもしれない。
よし、どんどん鑑定するぞ!
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