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プロローグ 1 仕事行かなくちゃ……

 はじめまして、蜂蜜柑です。

 初投稿ですのでご指摘などがありましたら、コメントで伝えていただけると幸いです。

 不定期で更新していきます。


ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ「ぅ、うるさぃ」リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ──チン


「……仕事、行かなくちゃ……」


 朝日が顔を出す少し前。

 大音量で鳴り響いている目覚まし時計を手探りで止めた後、第一声がそれだった。


 僕は死神だ。

 まぁ、そんな大層なものじゃなくて、下っ端中の下っ端だけど。


 疲れがとれていない頭と体を強制的に動かして、布団から這い出る。

 そして冷蔵庫から昨日買っておいたミックスサンドを取り出し、包装を剥がし、かぶりつく。


 美味しい……のだろうか。

 味が感じられない。

 最近は何を食べてもそうだ。


 朝食を済ませた後、準備を初める。

 タンスを開け、中から制服を取り出す。


・黒いフード付きのローブ。(ボロ)

・骸骨の仮面。(ボロ)

・草刈り鎌サイズの鎌。(ボロ)


 うん。ボロ。

 仮面なんかヒビ入ってるし。

 そろそろ買い替えかなぁ。

 中級神以上なら無料で支給されるらしいけど。


 神には階級があり、


・最上級

・上級

・中級

・下級

・最下級


 となっている。

 僕は当然、最下級だ。


 ───はぁ……。

 大きいため息を心の中でして、家を出た。



▽▽▽



 死神の仕事は色々あるけど、最下級はだいたい魂の道案内だ。

 担当範囲内の死人の魂を冥界に連れて来るという、一見簡単そうに思えるけど、結構大変なものだ。

 言うことを聞かない魂や、混乱して発狂する魂も多い。


 そうこうしている間に、朝礼が終わり、人間界に向かう準備をする。

 すると、こっちに歩いてくる奴がいた。

 肩に手をまわして、周囲に聞こえないように小声で話しかけてきた。


「後輩ク~ン?」


 ……またか。


「はい、なんでしょうか」

「いや~、ちょっとねぇ? 外せない用事ができちゃって~、俺の担当範囲もやってくれないかなぁ?」


 もちろんイヤだ。

 イヤだが、答えは、『はい』しかない。


「はい。先輩の分まで頑張らせていただきます」

「お、いい返事だね~。後輩クンが働き者で俺らは嬉しいよ~。あ、もちろん俺の範囲を先にやってね。じゃ、よろしく~」


 そうして先輩は去って行った。


 こんなやり取りをほぼ毎日やっている。

 もう50年はやってるじゃないか?

 さっきの奴だけじゃない。他の奴とローテーションを組んでいるっぽい。


 ……まぁ、いつものことだ。



▽▽▽



「おい」


 仕事が終わり帰ろうとすると、後ろから声をかけられた。

 中級神、つまり上司だ。


 日はもうとっくに落ちている。

 先輩の分までやっていたので遅くなってしまった。

 まぁ、毎日なんだけど。


「はい。なんでしょうか」

「これもやっとけ」

「これはなんですか?」

「あ? 俺の分の仕事だよ、情報処理」


 自分でやれよ……。

 そう、思った。


 そう、思ってしまった。

 ……少し表情に出てしまったらしい。


「なんだよその顔は?」

「ぁ、ぃやな──」

「俺らはな? 今日は悪霊退治があったんだよ。疲れてんだよ! わかるか!? てめえら最下級どもの楽な仕事とはちげーんだよ!わかったらさっさとやれ!」

「──はい」

「ったく……」


 そう言って帰っていった。


 まぁ、いいか。

 少し仕事が増えただけだ。

 それだけだ。

 さっさと終わらせてさっさと帰ろう。



▽▽▽



 帰宅途中、それは起こった。


「遅くなっちゃったな……」


 明日も仕事だ。

 きっとまた仕事を押し付けられるだろう。

 明日に備えて早く寝なければ。

 明日は今日みたいに誰かを怒らせないようにしなきゃな。


 そんなことを考えながら、少し早足で歩いていた。

 その時、急激なめまいが僕を襲う。

 バランスをとろうとするが、体が凍ったように固まり、言うことを聞かない。


 僕はそのまま────













 ─────────バタンッッ!!!


「いッッ! 痛った──くない?」


 ? 確かに思い切り地面に頭突きを食らわせたはず。

 痛くないわけがない。

 何故か軽くなった体を腕で持ち上げ、起き上がってみた。


 …………………………………………はぁ?。


 今、僕の目の前には、僕がいる。倒れている。

 何を言っているのかわからないと思うが、僕も何がどうなっているのかわからない。


 目の前にあるピクリとも動かない僕。

 強打したのに痛くない頭。

 消えた疲労感。

 聞こえない心音。


 え、ま、まさか……。


「──死んだ?」


これからよろしくお願いします。

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