第3戦車小隊長と対人危機感知センサー
誤字脱字が多いかと思います。ご了承下さい。
-6月13日13:45-
倉田と昼飯を食べに行ったが食堂には誰も居なかった。つい、いつものように食堂に来てしまったが、当たり前である近くでドンパチやっているのに呑気にここで飯食うバカなやつなどいない・・・オレらバカか?
「そういやアメリカの海兵隊が来るらしいですよ、河口少尉が言ってました。」
倉田が配給係りにもらった弁当を食べながら言ってくる。
「アメリカ?」
「はい、第21海兵戦車大隊と第72歩兵連隊です。」
「結構来るな。」
「支援ということになっているそうですが、お偉方が本当に支援だけで部隊送ってくるとは思えませんが・・・」
「まぁ、お偉方のことはオレらに関係無いし、助けてくれるならそれはそれでいいんじゃないのか?」
「それもそうですね。・・・」
「・・・」
「・・・」
なに?この沈黙・・・気まずい!!
普段バカなことをいう奴がたまに真剣な顔で何か言うと大体こうなる。倉田もその沈に耐えきれなくなったのか、いつもらしいバカなことを言ってきた。
「ねぇ知ってます?21大隊の第3小隊の隊長、金髪碧眼の美人らしいですよ?」
「誰が言ってたんだ?」
「河口少尉です。」
「ウソだ、河口に限ってそんな事いう訳ない。」
「バレました?言ってたのは、久保さんです。」
「いや、ウソと呼べないレベルだよ、てか久保さんって誰よ・・・」
「久保さんは久保さんです。」
「そうか・・・」
いや、説明になってない。そう言おうとしたが飲み込んだ。
-14:15-
弁当を食べ終え、この後各戦車小隊長などを集めて会議があるというので、集合場所へ向かう。恐らく海兵隊のことだらう。
もう既に席はほとんどう埋まっていて後ろの方の席しか残っていなかった。
しばらく待っているとドアが開き、自衛軍の軍服を着たてっぺんハゲとアメリカ海兵隊の軍服を着た中年太りの男が入ってきた。
「各員、起立、敬礼!!」
その言葉と共に室内にいた、全員が、ザッと音を立てて敬礼したする。
「え~こちらは、アメリカ海兵隊、第21戦車大隊、 大隊長トニー・ベイリー中佐だアメリカから支援に来てくれた。」
「ありがとう、座ってくれ、私はトニー・ベイリー海兵戦車大隊の大隊長をしている。今回、海兵隊の小隊と自衛軍の小隊、二個小隊一組、計8輌で行動してもらう。」
通訳者がトニー・ベイリーと名乗る人物の言葉を訳す
「尚、編成はこちらで決めた。」
てっぺんハゲが言う。
その後数十分、会議が続き、堅苦しい空気から解放された。
第6小隊とペアの小隊は第3小隊だった。
「そ~いや、倉田が第3の小隊長、美人とか言ってたな・・・」
一人ごちる、金髪碧眼と聞いて興味が無いわけでわないが、あまり期待はしていない、小学校の頃からボッチに近かった柴田は新しく入って来る人間にあまり興味が持てなくなっていた。
第一まず最初にアニメで金髪碧眼と言えば主人公と甘酸っぱい恋に落ちるのがの定番だが、リアルではそんな事99.9パーセント無いだろう。
戦車に戻って車長席に座る。特に用は無いがとりあえずここに居ることにした。
「隊長、なにやってんすか?」
「特に用は無いが、なをとなく居る。」
「そうですか・・・そういや会議の方どうでした?」
「海兵隊と二個一組で行動することになった。」
「どことペアですか?」
「第3戦・・・」
「ヨッシャー!!」
言い切る前に倉田がいきなり変な声を上げた。
「そこまで嬉しいのか?俺には解らん。」
「逆に隊長は何でそこまで興味なさそうなんですか?」
そう言われても興味が湧かないものはしょうがない。金髪碧眼でそんなに珍しいのか?柴田には解せない。
「小隊長は絵の中の女の子にしか興味が湧かないのですから仕方ありません。」
ハッチから顔を出し、周りを見渡してみると、真鍋が立っていた。
「オイその言い方だと俺がオタクみたいじゃないか。」
「隊長、いい加減認めては如何ですか?自分がオタクだと。」
「隊長・・・休暇中の内容がアニメ鑑賞とアニメイベントへの参加だけの人が言える言葉じゃないですよ。あんたはもう立派なオタクです。」
「・・・オタクじゃないぞ・・・」
2人の集中砲火を浴びて顔を伏せたくなる。
「て言うかアニメで金髪碧眼といけばヒロインの定番じゃないですか、なのに何故?」
倉田が更に追撃してくる。
「倉田上等兵、それは先ほど言ったように隊長はリアルの女の子には興味の無い人ですから。」
真鍋が更なる追撃・・・精神的に撃墜寸前である。
「だから、俺はオタクじゃ・・・」
「「まだ言いますか?しつこいです。」」
見事に2人の声がハモった。
しつこいのはどっちだ、と言いたくなる。
「はぁ・・・もういい」
「そう言えばいつ会うんですか?顔くらい合わせた方がいいのでは?」
真鍋が聞いてくる。
「そうですよ、いつ会えるんですか?」
倉田も聞いてくる。
-15:10-
50メートル程離れた駐屯地内の道路をM1A2、エイブラムス戦車4輌が時速20キロくらいでトロトロと走っている。
目の前には、サラサラの金色の髪を後ろで一つに纏め、意志の強そうな青色の目を持った、24か25歳ぐらいの綺麗な女性軍人と、その後ろに白人で背が高いひょろっとした軍人と身長は同じぐらいで横幅が白人の1.5倍ぐらいありそうな黒人が立っている。
「Hello my name is Kurata Yousuke」
倉田が最初に自己紹介をする。地味に発音がうまいのが何かイラッとする。
「お気遣いなく、日本語喋れますので。」
「あ、そうですか・・・」
金髪碧眼の女性軍人は冷たく言い放った、さっきは倉田の発音がうまいのが何かイラッとしたが、今度は何故かその発音がバカみたいに聞こえる。まぁ元々コイツはバカなのだが・・・
「私は、柴田・・・」
「柴田俊成中尉、でそちらの方が真鍋千鶴伍長で間違いないですね?」
「は、はい・・・」
ヤバい、他人の言葉を聞かないタイプの人だ・・・柴田の幼い頃からのボッチ生活より育まれた「対人危機感知センサー」が早くも柴田の頭の中で鳴り響く。
「あの・・・」
「クロエ・ベネット中尉です。よろしくお願いします。」
「えっと・・・」
相手の一方的な喋り方に、「はい・・・」とか「えっと・・・」とか、そういう返事しか返せない。
「あと、仕事以外の事で私に喋り掛けないでください。」
それだけいうと、クロエ・ベネット中尉は綺麗な金色の髪を揺らしながら、スタスタとどこかへ去っていった。
神よ!!!何故この様な面倒な事を私に・・・!?
そう叫びたい衝動に駆られるが、なんとか抑え込む。対人危機感知センサーの敏感な柴田は恐らく、一般の30倍ぐらいは面倒に感じているだろう。
彼女の話し方もとりあえず敬語を使っているという感じだ。
「あ・・・えっと・・・」
呆然としていると、クロエ・ベネットの後ろにいた黒人男性が近寄ってきて何か言っている。多少英語は話せるが、ここまで本格的な英会話は出来ない。
「あんなこと言ってたが、結構いい人なんだ、許してやってほしい。と、言ってます。」
真鍋が訳してくれた。確か真鍋は結構英語ができると言ってた気がする。
「はぁ・・・何か面倒な人ですね。・・・」
倉田がそんな事を言う。
「いや、お前が言うな!!」
ついツッコミを入れてしまう。それと同時に胃が早くもキリキリと痛み始めた気がした。
ヒロイン登場!!