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5歳③

おばあちゃんに手を引かれやってきたお隣の家。

勿論こんな田舎に呼び鈴などある筈も無くおばあちゃんはドアを軽くノックしたあと遠慮なくあけてしまう。

ま、まじで…?


「ごめんください~」


おばあちゃんの声に反応してお家の方が出てこられた。

お母さんと同じくらいの年の人かな。

茶髪でゆるくウェーブのかかった髪に垂れ目でそばかすが印象的な優しげな人だ。


「あらあら、マウラさんどうなさ…あらその子は…?」


うちの孫だよ、とおばあちゃんが私を紹介してくれる。

女性は私に視線を合わせて屈んでくれた。


「私はネッセって言うのよよろしくね」


その後おいくつかしら、5歳のお決まりの紹介が続く。

こんな優しげな人となら上手くやれそうだな~怖そうな人じゃなくて良かった。


「じゃあうちのヤルベと一つ違いね」


フフっと優しく笑うネッセさんに私は首を傾げる。

一つ下なのか上なのかどっちなんだろ?

連れて来るわねと奥へ引っ込んだネッセさんはすぐに小さな男の子を連れて戻ってきた。

身長は私と変わらないくらい。

丸い輪郭とそばかすが特徴的かな。

デブではないけどちょいぽっちゃり体系。

イケメンではないけど大きめの瞳と自己主張の強い眉。


ああ、あのクソ男とは正反対だなぁ。

なんて思ったらまだ何も喋ってないけどなんとなく好きだなぁって思う。


「初めまして…ヤルベです」


少しのんびりとした口調で挨拶されて私もお決まりの5歳の流れをやる。


「ヤルベは一つお兄さんなんだから、ミリアちゃんが困っていたら助けてあげなきゃだめよ」


ネッセさんの言葉に頷く少年。

優しそうな子だし是非共お友達になりたいなー!


「よろしくね!」


笑ってそう言うと向こうも少し笑ってくれた。

それから少年は少し考えて首を傾げながら私に問う。


「明日から学校にも来る?」


え、どうだろ?

5歳は普通なら学校に通うらしいんだけど…

隣のおばあちゃんを見上げるとおばあちゃんもそうねぇ、と困り顔だった。


「先生にお話しなくちゃいけないから明日から直ぐに通えるかはわからないけど2~3日のうちにはミリアちゃんも学校でお勉強することになると思うわ」


おばあちゃんを見上げてその返事に小さく頷きながらヤルベくんは聞いていた。


「じゃあ僕今から学校まで案内するよ」


ヤルベくんの提案に頷いて私は学校まで一緒に歩いた。

そこで気づいたんだけど私のペースに合わせてゆっくり歩いてくれるんだよね。

学校は町の中心にある建物。

やっぱり寺子屋って感じは否めないけど城下町ですらアレだったのにこの町にもっと立派な学校が建ってるとは思ってなかったからまぁ想定内かな。


「学校って何持ってけばいいの?」

「え?ミリアちゃんは学校初めてなの?」


目を丸くして驚くヤルベくんに私は頷く。

お父さんが、と言い掛けて口を閉じた。

こんな話他の人に聞かせるような事じゃないよね。

魔法の事とか教えてもらえるのかも!って楽しみにしてたんだけどな…

あんなことが無ければもう今頃学校に通ってた筈なのに。

思い出すと目頭が熱くなる。

ああ、考えないようにしようと思ってたのに…


「ええと…僕、君のお父さんにはなれないけど、お兄ちゃんだと思って頼ってくれていいから、ね?」


私をなんとか励まそうとしてくれるその気持ちが嬉しい。


「ありがとうヤルベお兄ちゃん」


泣き笑いの表情でなんとかそれだけ伝えるとくすぐったそうな表情を浮かべた彼は私の頭を軽く撫でた。

ああ、やっぱりこの人なんか好きだなぁ。

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