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9歳⑦


ゾラードの表情が更に落ち込んで搾り出すような声でボソっと吐き出した。


「それから、流石にみんな嘘だと言った王都へも……」


ん? 

二つの村が山火事に巻き込まれてダメージを負った話をしているんだと思ってたんだけど、何で王都? 

あそこは森がら大分離れてるし入り口から森を目視することも出来ないレベルだよ。


「王都は跡形も無く潰れて何も残ってない、城はかろうじて原型を留めていたらしいけど……」


ゾラードの言葉にミルが両手で握り締めていた腕輪を落とす。

カランカランと音を立てて自己主張する腕輪と表情が消えうせて真っ青になったミルが対照的だった。

私はゾラードが何を言っているのかよく理解できていなかった。


「そんなの嘘よ、ね、嘘だと言って」


ミルがゾラードの肩を掴みグラグラと力いっぱい揺さぶる。


「王都へ確認に行った自警団の人は皆人が変わったかのように怯えていた、嘘だとは……」


パニックに陥るミルを見ても私はまだ状況を飲み込めないでいた。

なんで森が火事になって王都が無くなるの?


「その冗談笑えないよ」


ゾラードがそんな冗談を言うわけがない事は私も短くない付き合いで知っていた筈なのに私の口から出た言葉はそんな言葉。

だって王都って超広いんだよ?

ゾラードの居る町なんて目じゃない位だよ?


「俺だって信じたくない……」


泣き崩れるミルをお母さんが支えて奥の部屋へ連れて行く。

私は理解が追いつかないままゾラードを町長の家へ案内する事になった。


「ヤルベがラグリムから最後に受け取った手紙だと相当状況がよくなかったらしい」

「え?」


歩きながらゾラードが言った言葉に私は目を丸くして驚く。

最後に受け取った……?


馬鹿な私は王都が滅んだという事とその場に居た筈のラグリム君やあの男、……そしてレナスが死んでしまったとイコールになっていなかった。


「ああ、なんか暗号文字を仕込んでの手紙だったらしいけど」


ゾラードがいう暗号文字というのは立て読みの事らしい。

『。』や『、』なんかの句動点、それに『!』文字なんかを避けて最後の文字を読むんだってさ。


そんな話を聞きながらふーん……と私が貰った手紙の事を思い出す。

私が引っ越す前にはラグリム君は年に1通程度手紙をくれていた。

残念ながらこの田舎の村には郵便屋さんが居なくて手紙一つ出すにも滅多に来ない行商のおじさんに頼むか町へ行く用事のある人へ頼むしかない。

だからこの村に来てからはラグリム君との手紙のやり取りは一度も無い。

2年前には私も手紙を受け取っていた。


初めて貰った時手紙と口調が随分違うなと違和感を持ったような気がする。

最後に貰った手紙はどうだった?

なんか変な内容だと思ったような気もした。


まさか…私の手紙にも!? 


私はゾラードを村長の家へ送ると直ぐに家へと、とんぼ返りしてあの時の手紙を読み返すことにした。

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