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9歳④

初めに異変に気付いたのはミルだった。


「なんか変な臭いしない?」


ミルの声に私も慌てて臭いを嗅ぐ。

確かに何か変な臭いだ。

でも何の臭いだろ?知っている気がする。


……なんだろ煙の臭い?


っと考えて空を見上げた。

うっすらと赤い。


まだ夕方じゃない。

っという事は……私は最悪の事態が頭を過ぎった。


「山火事だ!」


ミルの手を引っ張って村へ走る。

ここに居ちゃいけない。

文明の進んだ前世でも山火事で亡くなった人は沢山いる。

消火に当たった消防士が巻き込まれて亡くなったなんてニュースで見た。


「早く村へ!」


踏み固めた道を2人で駆け出す。

けれど私達が気付いたのが遅すぎたのが火の勢いは馬鹿に出来ないのか、まだ炎は見えないというのに凄い熱気で体中の水分が流れ出して行くんじゃ無いかと思うほどの汗が出る。


ヤバイヤバイヤバイ。

焦る気持ちはある、足も止めてない。


なのになのに! 


周囲の温度がどんどん上がっていく。

ああ、このままじゃ本当に間に合わないかもしれない。

死が頭に過ぎってそのまま離れない。


私はまだ死にたくない! 


思わず首から下げたお守りをぎゅっと握り締めた。

クシャっと紙の悲鳴が響く。

それと同時にお守りを貰った時の事を思い出した。


『2年の間ずっと手元において置いて』


ヤルベお兄ちゃんは何か意図があってコレをくれた筈だ、私は藁にも縋る思いでお守りの中身を出した。

中には白い小さな紙と2つの赤黒い実。


【大丈夫、ミリアなら30分あれば生き延びられる】


小さな紙に書かれた懐かしいお兄ちゃんの文字。

そしてこの実は、きっとあの恐ろしいアルウィストロの実だ。


そうか、そういうことか。

たとえ寿命が半分になろうが今ここで死ぬよりずっと良い。


「ミルこれ飲んで、絶対生き延びてレナスにもう一度会わなきゃいけないんだから!」


私は何も説明せずにミルにアルウィストロの実を飲み込ませた。

ミルをここで死なせる訳にはいかない。

残りの一つはすぐに自分の口へ放り込む。


するとあれほど暑かったのが嘘かのように急に温度を感じなくなった。


「なにこれ、急に涼しくなった!」


喜ぶミルの手をとって私は村へ走る。

大丈夫、あと30分もあれば村へは十分に間に合う筈だ。

煙が広がってきて視界が悪くなっても踏み固めた道が私達を導いてくれる。


私達がアルウィストロの飲み込んで10分もしない内に火が追いついてきた。

想像以上に早い! 


あの実を飲む判断をしていなかったら既にもう死んでいたかもしれない。

命からがら、本当になんとかかんとか…私達は村へたどり着く事ができた。

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