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8歳⑩

帰ってきたミルは私が玄関先に新しく作った小さな花壇に目をやった。

私がこれを作りたかったから今日は行かなかったのだと判断したらしい。


まぁそれは後付の理由なんだけどミルがそう思ってくれた方が都合がいいので興奮するミルに適当に話を合わせる。


「へ~それでプロポーズの時にはこの花を交換するんだ!ロマンチックー!」


興奮冷めやらないミルに私は何度も頷く。

私も初めて聞いた時には似た様な感想を持った気がする。

正直もうあんまり覚えてないけど……


「じゃあ花壇も出来た事だし明日から一緒にいけるね~」


ニコニコと笑うミルにとりあえず頷く。

し、しまったー!

テトラの花は朝夕の水やりさえ欠かさなければそこまで難しい花じゃない。

つまり花壇さえ作ってしまえばもう断る理由にならないのだ。

そんな当たり前の事にすら気付かなかったなんて……


それにしてもミルはお邪魔虫の私がついていく事をどうして嫌がらないのか、謎だよね。

ふつうさ、恋人が居たら私みたいなのが一緒に来たら嫌だと思うんだけど。


とりあえず明日は着いて行ってそれから先の事はまた何か考えよう。

私だって別にレナスと会いたくないってわけじゃないし。


その翌日レナスにテトラの話をすると聞いた事があると言い出した。

レナスもあの町に居たのかと聞くと首を横に振る。

そうか、住んでいたら聞いた事があるなんて言い方しないか。


あれ?それとも、もしかしてあの町だけの風習じゃない?


「僕を育ててくれた人は凄く物知りでね…本当に色んな事を教えてくれるんだよ」


笑顔で語るレナスだけど『父』とか『母』とか言わないで育ててくれた人なんて含みのある言い方に首を傾げる。

でもそれを突っ込んでいいのか解らなくてそっとミルの方へ視線を向けると彼女も少し困った顔をしていたから私はそれに触れない事にした。

人間触れられたくない事の一つや二つ位あるもんね。


私の場合はそんなもんじゃないくらいあるけど!


思い返せばレナスは私達の知らない知識を沢山知っている。

きっとその『育ててくれた人』は凄く博識だったんだろうな~

そう言えば、昔話してくれたあの話を思い出す。



「この国と隣の国は戦争をしていてね…今は休戦中だけどどっちの被害も甚大で結局決着が着かなかったんだ」


隣の国との戦争の話に私は怯える。

転生する前は戦争なんてTVの向こう側の他人事だった。

こっちに産まれてからも喧嘩以上の争いごとを見た事が無い。


色々あっても平和な国だと思っていたのにまさか戦争中だったなんて…!


「切欠は向こうの人間がこちらに迷い込んできた事だった、国境は高い山で分断されていて今まで人の往来は無かったんだ」


ほうほうと、レナスの話に聞き入ってミルと2人で頷く。

学校ではこの国の話はあっても戦争の話なんて聞く事は無かった。


「その男はこちらではあまり見ない小柄で黄色い肌と黒い髪でね…こちらの人間は彼をイエローモンキーと呼んだよ」


なんだろう聞けば聞く程嫌な気分になってくる。

私は耳を塞ぎたくなった、だって話しぶりから私が想像してしまうのは前世の自分達だ。


「彼が言うには本人だけが特別小さい訳ではなく向こうの人間は皆そうらしい」


大きな山を一つ越えないといけないから行き来は無かった、けれどその人間が迷い込んできた

その小猿が言うには向こうの国は中々豊からしい。


「そしてこの国王は思ったんだ、そんな野蛮な民族に豊かな土地など勿体無いと」


要は植民地にとこの国が望んだのだ。



…すごく嫌な話だけどどうしてこんなど田舎に住むレナスがそんな話を知っているのか疑問だった。

だって私が3年通った学校では一度もそんな話出なかったんだもの。

でもきっとその『物知りな育ててくれた人』が教えてくれたんだと今なら解る。


もしかしたらその人も王都に居たのかもしれない。

一度会ってみたいなぁとぼんやりと思った。


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