8歳⑨
昨日はミルに着いて森へ行った。
ゾラードとの事を聞いていたレナスにも散々からかわれたけど、私は笑ってごまかした。
反撃したい所だけど正直薮蛇になりそうで……
今日はしたい事があるからとミルに断って村に残る。
正直に言えばしたい事なんて何も無かったけど毎度あの二人の邪魔をするのは悪い。
それにしても暇だなぁ。
ミルが森へ出かけた後私は何もする気になれなくて机へ突っ伏した。
思えば私がこの村に来てからはずっとミルと一緒だった。
唯一離れた時はゾラードが来てたし…
この村には歳の近い子も居ないし、ミルを除けば遊び相手は村の外へ求めるしかない。
う~ん……
机に突っ伏して居ても何も解決しない。
そもそもミルには『したい事がある』と言ったのだ。
何かしら『したい事』を見つけて言い訳を考えないと次に断るときに困る。
どうするかなぁ。
考えてみても当然答えなんて出ない。
仕方ない、ちょっと気分変えてみようかな。
「よっと」
私は椅子から立ち上がると宛なんか一切無いまま家の外へ出た。
ぼんやり散歩しながら考える。
それにしても軒先一つとっても町とは全然ちがう。
あの町には必ずあったテトラの花が無い。
花を交換してのプロポーズってちょっとトキメキっていうか夢があって良いなと思ってたのになぁ。
はぁっとため息を吐き出して気付く。
あ、もし私ゾラードと結婚なんてなったら一方的に貰うだけになっちゃうの?
それってヤバイ!
っと一頻り焦ってから気付く。
プロポーズどころか付き合ってすら無いのに私何を考えてるんだか。
皆があんまり茶化すからついその気になりすぎてしまった。
みんな元気にしてるかな…一人になるとついついそんな事ばっかり考えてしまう。
この前ゾラードに皆元気だって聞いたばっかりなのに。
私は思ってたよりもずっとずっとあの町が大好きだったんだなぁ。
今思い出しても殆ど嫌な思い出が無い。
精々ゾラードの事をからかわれた位だけど…それだってこっちに来てもあるしなぁ。
ちょっぴりホームシックになりながら散歩を続けているとある家の庭先で見覚えのある小さな白い花が目に入った。
「あ、テトラだ!」
懐かしくなって私はついしゃがみ込んでテトラの花を見つめる。
この香りも色も形も何もかもが懐かしい。
私の声が大きかったのか中にいたお婆さんがひょっこりと顔を出した。
「なんだい、今日はミルと一緒じゃないのかえ?」
珍しいというお婆さんに頷く、私だってずっとずっと一緒に居るわけじゃないんだからね!
まぁ全く説得力ないだろう主張を一応しておく。
「そうかいそうかい、そういやお前さんはあっちの町から来たんだったねぇ…あたしもそうさ」
そこからお婆さんがこの村に嫁いで来た時の話がはじまる。
年寄りの話が長いのは前世の時から変わらない。
でもどうせ暇だったし付き合うのも悪くないかと私は時々相槌を打ちながら続きを諭す。
長い話を聞き終えて私は町からテトラを持ってきてない事を話すとこのテトラのうちの1株を譲ってくれる事になった。
やることその1、花のお世話をゲットしたぞー!
私は喜び勇んでテトラを持ち帰ってきたのだった。




