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8歳⑧

「それでそれで?」


ミルに質問攻めに合いながらもゾラードの事を話す。

去年は一緒に祭りに参加した事、遊ぶ時はヤルベお兄ちゃんやヴィオラと4人一緒が多かった事。

最初はゾラードが何となく苦手だった事も。


でもその理由については話せ無かった。

だって私の実の父は「死んだ」事になっている。

母は嘘をつき過ぎてもはや本当に『死別』したのだと思い込んでしまってるのだから…


遠くに行ったラグリム君とヤルベお兄ちゃん以外には私は本当の事を話していない。

2人とも人の秘密をベラベラ喋るタイプじゃないからきっと大丈夫。

ミルの事は好きだし信用もしてるけどこの事は別問題だ。


だから私はミルへは一生伝えないつもりで居る。


「へー…ラブラブじゃん!」


私の話を聞いてどうしてそうなったのかミルはやるね~と私を肘で軽く突きながら冷やかしてくる。

そんなんじゃないと否定するけど前ほど心から否定するつもりはない。


別にゾラードから何か言われた訳じゃないけど態々馬を借りてまでこの村に来てくれるんだから少なくとも友達としての好意は持ってくれてる筈だ。

それくらいの自惚れは許されると思う。


「ミリアっちの事は心配してたんだよ~この村独身の男殆ど居ないし」


ああ、殆ど15以上年上で妻帯者ばっかりだね。

例外はレナス位だけど…

ミルとかなりいい感じだし私が割って入れないよね。

そもそもレナスもこの村の人じゃないしって考えてから気付いた。


そういやどこの村に住んでるのか聞いてないや。


もう何度も会ってるけどレナス自身の事はあまり知らない。

近くに住んでいるって事と、ミルと同い年って事位だ。

レナス聞き上手だし…気がついたら私とミルばっかり話してたなぁ。


「ミルはレナスとどうなのさ?」


からかわれてばっかり居るのが悔しくて私は逆にミルに突き返した。


「え…うん、まぁ」


しどろもどろで視線を泳がせるミルに私はにやりと口角を上げた。

これは私がゾラードと喋っている間に何かあったな?

私のこういうカンは前世から結構当たるのよ。


「あ、アタシの事はいいじゃない!」


ね、ね。

なんて繰り返すミルに無言でジト目を向ける。

人にだけ喋らせておいてそれはないよねー?


「今日はちょっと、アタシもそういう雰囲気だったっていうか…ええ~っとその…」


1時間近くかけて聞き出した内容を纏めると指を絡めて手をつないで、それからキスしたらしい。

ほほー、2人は既に出来ていたのか!


勿論私はニヤニヤしながらミルの事を冷やかしたよ。


「ラブラブだね~」


でも口には出さなかったけどこれはちょっと私が森へついていくペースを落とさなきゃならないなと強く感じた。

恋人達の逢瀬を邪魔ばっかりできないよね。

急に全く行かなくなると2人共気を使うだろうからまずは3回に1回位ついて行かない日を作ろう。

その為の理由も考えなきゃな~…。

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