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8歳⑥

ミルの綺麗な巻き髪がずっと気になっていた。

前世でもあまり見ない綺麗な巻きで特に肩から下のボリュームの出し方は凄い。

私だってね、前世の時はコテ使ってそこそこ巻いてたりしてたけど今生ではクシで梳かすくらいしか出来ない。


だってドライヤーすら無いんだよ!

それでも私の髪は丈夫なのか細いわりにはあんまり痛まないし、綺麗なストレートだと思う。

ここは両親に感謝だよねー。


でもでもまるでセットしたかのようなミルの髪には憧れる。

私も女の子だからね、勿論オシャレには興味がある。


「え、私の髪?ミリアっち綺麗なさらさらで真っ直ぐだから私の髪型はお勧めしないけど…」


一回癖つけちゃうと中々取れないからねーと笑うミルはどうやら毎朝セットしているらしい。

なんと!こっちでもそんな事が出来るとは!


「アタシ一応この村唯一の髪結いなのよー」


えっへんと胸を張るミルにおーと歓声を上げながら手を叩く。

連れて行って貰ったミルの部屋には確かにクシだけじゃなくてブラシやカーラーみたいなのモノが沢山ある。

私にも教えて欲しいと強請るとミルの顔が曇った。


あれ…?もしかしてまずい事言ったかな…?


「うーん…ミリアっちにはちょい難しいかもね~」


そう言って視線を反らすミルに追いすがる。

だって私もオシャレしたいじゃない!


「えっとぉ…そうだ!今日は私整えてあげるからさ!ほら、座って座って!」


ミルはそう言って強引に私を椅子へ押しやった。

言われるがままに座る。


「この香油を使うと髪がツヤツヤになるんだよ~」


ミルが手のひらに100円玉位の大きさに広げた香油を見せてくれる。

鼻に近づけるとほんのりいい香り。

椿に近い香りかな。


「ミリアっち髪綺麗だから触ってて楽しいね~」


ミルがそんな事を言いながら私の髪に練りこんでいく。

目を瞑るといい香りが広がってきて凄くいい気持ち。


「熱かったら言ってねー」


ブラシで私の髪を梳きながらどこからともなく暖かい風がふわっと流れてくる。

まるで前世に戻ったみたい。

私はどこかふわふわした夢見心地でそれを甘んじて受ける。


気持ちいいな~。


…は!

そう言えばこの温風は何処から!?

気付いてハッと温風の方へ顔を向ける。

そこにあるのはミルの手だけ。


あ…。


そこでやっとミルが言いよどんだ理由がわかった。

魔法で温風を起こしてたんだ。


もう一緒に過ごして2週間。

私の魔力が薄い事をミルはもう知ってるから気を使ってくれたんだ。


「ミリアっちは私の大事な妹なんだからいつでもやったげるからね!」


落ち込む私を励ましてくれるミルにありがとうと伝える。

髪はホントにツヤツヤのサラサラになった。

髪結いって凄いね!

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