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8歳④

「え、この村には学校無いの!?」


思わず大きな声を出してしまった。

ミルと新しいお父さんは申し訳なさそうな顔で謝る。


「アタシでこの村の子供は最後だったからさぁ…先生引き上げちゃったのよね」


申し訳なさそうなミルに更に何ともいえない気持ちになる。

この村は思った以上に『限界集落』に近い状態みたい。


つまり私に一番歳が近いのは姉のミルって訳か…


「あ、ほら!アタシで解る所は教えてあげるし!」


任せなさいと胸を叩くミルに頷きながらも…正直大丈夫だろうかって気持ちのほうが強い。

町で学んでいた時だって私の成績は悪くなかったんだよ。


歴史とか地理とかはさっぱりだけど。

けれど教えてくれるという気持ちを無碍にするのも悪いし我侭を言った所でどうにかなる問題でもない。

これは腹くくるしかないな~。


「じゃあミリアっちこの村案内してあげるからおいで」


そう言って伸ばされた手を掴む。

あ、既視感。


前の町についたばかりの時を思い出す。

あの時もこうやって案内してもらったっけ。


「まず、ここが村長さんのお家~村で困ったことがあったらとりあえず相談してみようね」


そういって連れて来られたのは村の真ん中にある立派なお家。

他の家と違って石造りの塀があるから凄くわかりやすい。


「ここがステラおばさんのお家、すっごい料理上手でたまにお料理教室もやってるよ」


ふむふむクッキー食べたいなと思ったけれど流石に口には出さなかった。


「それからこの家にいるのがうちの村で唯一の自警団員ルブルさんだよ、魔物がでたら彼の所に駆け込むんだかんねー」


そう言って連れて来られたのが村の入り口にあるしっかりした木の家。

ヤルベお兄ちゃんの時と案内してくれる場所の雰囲気が全然違うのは男女の差か年齢の差がどっちだろ?


今回ミルの案内してくれた場所はこれからこの村で生活していくに当たって覚えていないと困る人たちの家だ。

凄く役に立つし覚えてあり難いな~って素直に思える。


「そうだ、最後にアタシの王子様を紹介するよ」


そう言ったミルの顔がにやけている。

王子様ねぇ…


「こっちこっち」


そう言いながら私の手を引っ張ってミルはずんずんと森の奥へ奥へと進んでいく。

この森に入っちゃダメって口をすっぱくして言い含められた私としては目を白黒させながらミルについていくしかない。

一応『姉』になるのだから仲良くやっていきたいし…

でも、お母さんからはダメって言われてるからなぁ。


なんて私の葛藤など気にも留めない暴走姉は30分以上森の中を歩き続けようやく立ち止まった。

急に立ち止まるもんだから私は勢い余ってミルの背中に体当たりをしてしまう。


「その子がミルの言っていたミリアちゃんかい?」


そう声をかけてきたのはミルと同い年くらいの男性だった。

うーん…少年と青年の丁度間位かな。

ミルが王子様というのもわかる位のイケメンだ。

前世なら某男性アイドル事務所が放っておかなかっただろう。


「僕はレナス、よろしくね」


私は伸ばされた手を多少どぎまぎしながら握り返して握手を交わす。

さわやかな笑顔に少しだけ体温が上昇するのが自分でもわかった。


これが私とレナス、そしてミル三人の出会いだった。

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