7歳⑨
私は即答せずに返事を保留にした。
だってだって…!
ヴィオラがずっとゾラードを好きだった事を私はもう知っている。
鈍い鈍いと言われる私だってゾラードに好意を持たれてる事を認める他ない状況に追い込まれている事も感じてしまった。
薄々は私もそうかも、なんて思ってた。
見ないフリをしている方が楽だったから、ヴィオラと友達で居たかったから目を反らしたの。
でもねでもね。
私自身がゾラードを好きかと聞かれれば首を傾げる。
前世の私ならお試しで付き合ってみるとかやっていたと思う。
嫌な奴じゃない事も、真面目で責任感が強いことも今ならもう知っている。
いや、だからこそ私は怖いのかもしれない。
あの男、私の父は真面目で責任感が強くて頭も良いし強くて…優しかった。
そんなあの男にゾラードはかなり似ていると思う。
顔とか体格とかそういうのじゃなくて、性格とか雰囲気とかそういうのが似てる。
それはゾラードが悪くない事も解っているけど簡単割り切れるものでないよ。
どうしていいのかもう解らなくなった私は自分でも何が正しいのか何をしたいのか答えが出ない。
誰かに聞いて欲しいけど相談できる相手もいない事に気付いて私は息を吐き出した。
明日の学校行きたくないな…ゾラードと会いたくない。
大人なのにこんな子供みたいな事言って自分でも本当に呆れる。
止まらないため息を吐き出しながら家に帰る途中でヤルベお兄ちゃんに引き止められた。
「ミリア、ちょっとこっちに来て」
そう言って私の腕を軽く掴むと走り出した。
結構速いペースで必死で付いていく。
ヤルベお兄ちゃんが私のペースを考えずに走るのは珍しい。
「お兄ちゃん早いよ」
「うん、じゃあもう少し早く走ろうか」
いつものお兄ちゃんとは正反対の会話のデッドボールに私は声を無くす。
「ほら、いくよ」
お兄ちゃんは言葉の通り本当にスピードを上げた。
うう…喋る余裕も無くなって私は必死になって付いていく。
そしてお兄ちゃんが私を連れてきた場所は初めてヤルベお兄ちゃんと遊びに来たクローバー畑だった。
懐かしい、最近来てなかった。
でも肩で息をするお兄ちゃんを尻目に私は座り込む。
だって、もう立てない限界だよ…
こんなに全力疾走したのは久しぶりかも。
そんな私の横にお兄ちゃんがペタンと座った。
「何があったのか解らないけど考えすぎちゃだめだよ」
お兄ちゃんの言葉に私は少しだけ頭がすっきりしてる事に気付く。
そうだ、ヤルベお兄ちゃんに相談すれば良いんだ。




