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3歳

こんばんちは!

私ミリア、ついに念願の3歳になりました。

ついに明日私の魔力を教会で見てもらうんだって!

わくわくして眠れないでいるとお母さんが私の横にきて絵本を読んでくれた。

川から流れてきた子犬を助けたおじいさんの元にカエルの王子様が恩返しにきてみんなハッピー!

みたいな色々混じりすぎてよく解らない絵本だった。


うーん…私が大きくなったら絵本作家になってもっとまともな本を出すのも良いかもしれないなぁ。

しかもこの話この世界では「桃太郎」位メジャーなお話らしい。

それって言いすぎなんじゃないかと思うかも知れないけど本屋さんで見かける子供向けの本ってこれとあと2~3種類しかない。

本自体が高価な物だから仕方ないのかもね。


お子様な私の体はお母さんのお話を聞いている内にまぶたが重くなってきた。

…眠い…

これは寝るしかないなぁ。



気が付いたら朝でした。

白いワンピースに黒い靴。

教会に行くときはこれが正装なんだって!

この服シンプルで中々かわいい…気に入ったかも。


わくわくが止まらないまま連れてこられた教会は前世でみたヨーロッパの教会に似てる。

天井がすっごい高くてキラキラしたステンドグラス…それに入り口から真正面の壁には大きな十字架が。

キリストが吊るされては無いのでやっぱりキリスト教では無いんだと思う。

黒い服に包んだ神父様がその前に立ちながら並ぶ人たちの相手をしている。

左右にベンチがずらっと並んでいるけど座っている人は疎らだ。

みんな、神父様の前にずらっと一列に並んで静かに待っている。


どうやら今日は私のような子供の魔力を見て貰う日みたい。

私の前には10家族人以上並んでいる。

うーん?まだ遠くて会話は聞こえないけど神父様は優しそうな人でちょっと一安心かな。

連れてこられた子の額に神父さまが右手で触れる。

それから家族になにやら一言二言伝えて両親が頭を下げて帰っていく。


安心したような顔の人もいたし落胆したような人もいた。

私は両親にあんな顔させたくないな…

でも転生チートできっとすっごい魔法使いになれると思うんだ!

それからね!お父さんみたいなカッコイイ人と結婚したいの。


わくわくしながら待っていると隣に居たお父さんが私の頭をそっと撫でた。


「どんな結果になってもミリアは自慢の娘だよ」


目を瞑ってお父様の手の感触をしっかり味わう。

うふふ、ミリアはお父様をあっと驚かせて見せますよ!


ようやく私の番がきてにこやかに微笑む神父さんに頭を下げる。


「よろしくお願いします」


両親の言葉に穏やかな表情のまま神父さんは頷いて私の額にそっと手のひらで触れる。

かすかに触れているかも?位のソフトタッチで額にほんわかと暖かい物を感じた。

これが魔力ってヤツなのかな?

ぼんやりとそんな事を考えていると少し困った顔の神父さんが一言小さな声で漏らした。


「極端に魔力が薄いですね…」


薄い?薄いってなんだ!?

多いとか少ないとかじゃなくて!?


「ああ、やはりそうなんですか」


それを解っていたといわんばかりに父が頷く。

母は一瞬だけ悲しそうな顔になった。


「え?え?」


状況が理解できなくてみんなの顔を見回す。

父も母もいつも通り穏やかな表情で私を撫でる。


「ありがとうございました」


理解できない私を置いてきぼりにして両親は神父様に頭を下げる。

それに倣って私も一緒に頭を下げた。


属性とかそういうのじゃなくて薄いってなんなのさー!

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