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6歳⑬

「ブレイクさんそいつと組むんですか!?」


顔に超不満ですっと貼り付けたような解りやすい表情でニールがブレイクに詰め寄った。

リンサは無言で私をずっと睨んでいる。

こっちの方が怖いんだけど… 


「ああ、そうじゃなきゃハンデにならねぇだろ」


ブレイクは挑発するようにゾラードの方をみた。

ええー…宝探しってそんなハンデとかいらんでしょー?


「お前らじゃ俺が有利になりすぎちまうからな」


ブレイクがそう言うとニールとリンサはしぶしぶ引いた。

なにそれ?

私が足手まといって酷くない!


「ほら、さっさといくぞ」


ブレイクは無言のまま動かない私の腕を掴んで無理やり立たせる。

ちょっと!レディの扱いがなってない!

そんなんだからファナに3回も振られんのよ!

っと言わなかった私は最高に大人だと思う。



「俺は負けない」


ギッとブレイクを睨みつけるゾラードにブレイクは満足気に笑う。

なんか勝手に解り合ってて私は相変わらず蚊帳の外なのよね。


「ま、精々期待してるぜ」


ククっと喉を鳴らせて笑うブレイクは悪役そのものだ。

目つきが悪いのを除けばそこそこ整った顔なのにそういう所がモテナイんじゃないですかね。

そんな事を思いながら私はブレイクと一緒に教室を後にする。


「さてと、祭りまで時間がねぇから簡単に説明するぞ」


どうやらブレイクは4年連続ペア格闘部門で優勝してるらしくシード枠で必ず出ないといけないらしい。

え、格闘ってマジですか。


「お前は俺が守ってやるから心配すんな」


固まる私に笑顔で頭をガシガシ撫でられたものの納得はいかない。

恐らくブレイクの次の優勝候補がゾラードなのかな、だからあんなに挑発してたんだろうと勝手に結論付ける。


「特訓って戦いの?」

「バカか!1日2日で強くなれるなら誰も苦労しないだろうが」


ええーじゃあ特訓なんて意味無いじゃない。

不満を隠さずにブレイクの方を見るとあー…っと頬を掻きながら困ったような顔で私の方を見た。


「お前が何が得意かわかんねぇからなとりあえず一通り試すって事だ」


試す?

ブレイクはどうやら私の長所を探してくれるつもりらしい。

それはいい機会だと思う。

戦闘センスの塊らしいブレイクに見てもらえば私の才能も開花するかも知れないし!


「んじゃまずは軽く走ってみっか」


ダッシュに腹筋、腕立て、逆立ち、木登りにダンスまで。

ずっと険しい顔をしているブレイクに答えを聞かなくても解る。


「あー…ダンスは変な動きだけど逆に受けるかもな」


変な動きって!? 

前世の時に学校で習ったヒップホップなんだよー?


「まぁ体動かす系じゃ無い方があってるかもしれないぜ」


ダメだと断言こそしなかったものの私に戦闘センスは皆無と言う事なんだろうなぁ。

ブレイクははっきり言わなかったけど一般的な6歳の身体能力より私だいぶ低いのかもしれない。


「じゃ次いくぞ」


ブレイクに連れてこられたのは林の入り口。

昔お兄ちゃんに茸を教えてもらった所だ。


「お前この周辺で何か感じるか?」


ブレイクの言いたい事が解らなくて首を捻る。

特に何も感じないけど…。


「じゃあ洞窟探索はムリだな、じゃあ次は…」


そう言ってブレイクが取り出したのは私が両腕でギリギリ抱えれるくらいの倒木を頭と同じくらいの大きさで輪切りにしたもの。

ナイフを渡されてこれで何か作ってみろって。

そんな事言われてもなんも出来ないよ。

なんとか時間をかけてウサギのような物を作ったモノの自分でもこれは才能無いわっと愕然とした。


「筋悪くないかもな」


私と全く反対の反応をしたブレイクに呆れた視線を向けてしまう。

2人で同時に1つの木塊を彫って1つの彫刻を完成させる競技もあるらしいけど私達のような急造コンビにはきつそうだ。

他に頭を使う系の競技もあるらしいけど…


「わりぃけど今年は諦めてくれ」


まぁブレイクに恥かけとは私も言えないからね。

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